1 憲法が「政教分離」を定めているから、宗教は政治に参加できないのではないでしょうか?

1 憲法が「政教分離」を定めているから、宗教は政治に参加できないのではないでしょうか?

「政教分離」とは、政治が宗教を弾圧しないために設けられた規定であって、宗教が政治に参加してはいけないという規定ではありません。

日本国憲法は、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」(憲法20条1項前段)と規定して「信教の自由」を保障するとともに、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」(同条項後段)、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」(同条3項)などと定めることで、「政教分離」を規定しています。

この規定の意味は、明治憲法下の国家神道のもとで、さまざまな宗教が圧迫・排除されてきた体験から、それを防止することで、「信教の自由」を制度的に保障しようとしたものです。つまりこれは、少数者の宗教が弾圧されないための規定なのであって、一般的かつ広範囲に宗教が政治や社会に関与することを制限するような規定ではありません。

そして、ここに「政治上の権力」とは、憲法学上、たんに政治的影響力のようなものを言うのではなく、課税権や裁判権など、国家が独占すべき統治的権力を意味しているとされています。

したがって、宗教団体が母体となって政党を生み出し、政治の分野に進出することが、憲法の「政教分離」規定(政教分離の原則)に反するようなことはまったくありません。

むしろ宗教団体の政治活動や団体設立は、「信教の自由」とともに「結社の自由」「言論、出版の自由」(憲法21条1項)でも保障されています。もし、宗教が政治に参加してはならないのであれば、それこそ憲法が定める「信教の自由」「結社の自由」「言論、出版の自由」に違反していることになります。さらには、信条等により政治的差別を禁止した「法の下の平等」(憲法14条)に反することにさえなってしまいます。

この問題に関する判例は見当たりませんが、国会では創価学会が設立した公明党が問題とされて50年以上にわたって議論が重ねられており、政府も国会で繰り返し、「憲法の定める政教分離の原則は、憲法20条1項前段に規定する信教の自由の保障を実質的なものにするため、国その他の公の機関が、国権行使の場面において、宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨である。それを超えて、宗教団体または宗教団体が事実上支配する団体が、政治活動をすることをも排除している趣旨であるとは考えていない」と答弁を重ねることで、法的にも政治的にもすでに決着した問題と言えましょう。

なお、「信教の自由」は世界的に確立した普遍的な権利と言えますが、「政教分離」は普遍的なものではありません。世界には、一つの宗教を国家の宗教とする「国教」を定めている国(イギリス、イスラム諸国など)や、公的地位を与える宗教を複数認める「公認宗教」を定めている国(ドイツ、中国など)が少なからずありますので、たとえば「世界人権宣言」や「国際人権規約」においても、「信教の自由」が宣言されてはいても、「政教分離」については触れられていないのです。

わが国でも、僧籍を持ちながら総理大臣を務めた石橋湛山氏や、神主でありつつ衆議院議長を務めた綿貫民輔氏、敬虔なクリスチャンと知られつつ総理大臣を務めた大平正芳氏の例は、政治家と宗教との関係をあらわしたものとして、よく知られています。

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