【及川幸久 海外を分かり易く解説!】トランプのFBI長官の電撃解任をどう見るか

トランプチャンネル №20

 
こんにちは、及川幸久です。今日もトランプ大統領の最新のTwitterを見ていきます。

実は、5月9日にトランプ大統領は、ジェームズ・コミーFBI長官を電撃的に解任しました。今、アメリカでは、このニュースで持ちきりです。今日はこのテーマを採り上げていきます。

今、いったいどのような問題が起きているか?昨年の大統領選挙時に、ロシアがアメリカ大統領選挙に介入したのではないか?という疑惑が出ているのです。このロシアの疑惑についての捜査の指揮を執っていたのが、コミーFBI長官でした。

コミー元FBI長官

コミー元FBI長官

しかし、その指揮を執っている最中に、疑われている側のトランプ大統領が彼を解任した。これは捜査妨害に当たるのではないかと言われても仕方がないわけですね。これによって、アメリカのマスコミは一斉にトランプ批判を始めています。民主党や、身内であるはずの共和党からも批判が出ています。共和党の重鎮であるジョン・マケイン氏は、この件で「議会の中に特別捜査委員会を設置すべきだ」と主張しています。

こうした中で、トランプ大統領は5月9日、このようなツイートをしています。

「コミーは、ワシントンのほぼ全員から信頼を失っている。それは共和党も民主党も、両方からだ。そして、事態が落ち着いたら、きっとみんなは私に感謝してくれるようになると思う」

このようなことを述べています。

 
「ワシントンのほぼ全員がコミーの信頼を失っている」というのは、これは恐らく真実です。

 

ヒラリーの私的メール事件

何が起きたか。まず、昨年を思い出してみましょう。ヒラリー・クリントン氏の「私的メール事件」がありました。

ヒラリー氏が国務長官をしている時に、私的メールを使っていました。この疑惑に関して捜査をしていたコミーFBI長官が、昨年7月の大統領選挙の最中に突然記者会見を開き、「この問題は訴追するに値しないので、捜査を打ち切る」と発表したのです。

この記者会見が、実は異例だったのです。

ですから、その後、昨年10月、11月の大統領選挙投票日の直前になって、再びコミーは記者会見を開き、「このヒラリーの私的メール事件をもう一度捜査する」と言い始めたわけです。これに、ヒラリー側の民主党は、大批判を始めました。

 

ロシアによる大統領選介入疑惑

そして選挙が終わって、トランプ氏が大統領になったあと、今度はロシアが選挙に介入したのではないかという疑惑が起こりました。ロシアがトランプの選挙本部と関わっていたのではないか、という疑惑です。コミーFBI長官はその捜査をしながら、今度はマスコミや議会で、あたかもそれが真実であるかのような発言を始めました。それに対して今度は共和党側が怒ってきたわけです。

こうして、コミーという人物に対して、民主党と共和党の両方が、批判をしている中で、トランプ大統領がコミーFBI長官を突然解任しました。

 

FBI長官を解任した理由

ロッド・ローゼンスタイン

ロッド・ローゼンスタイン司法副長官

トランプ大統領が「解任」という判断をした材料は、司法省からあげられてきたコミーFBI長官の行動について分析したメモです。このメモを書いた人物は、司法省のナンバー2である、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官です。

実はこの人、このメモを書いたわずか2週間前の4月末に、トランプ政権によって司法副長官に抜擢されたばかりなのです。このローゼンスタイン氏は、このメモの中で、幾つか重要な指摘をしています。

昨年、このコミーFBI長官がヒラリー・クリントン氏のメール事件で記者会見を開き、捜査中の事件について、個人的なコメントをしています。「これはそもそもFBI長官としてのルール違反である。捜査中の事件について意見を言えるのは司法長官であって、FBI長官ではない。これは司法長官の権限の侵害である」と指摘しています。

さらにコミーFBI長官は、マスコミに対してベラベラといろいろなことを話したわけですが、マスコミに対して、個人的な意見を言うというのは、連邦政府の検察官や捜査員が一番やってはいけない、教科書にも載っているような当たり前のことなのですが、それを完全に破っているのです。

そして、コミーFBI長官は、議会でも証言しているのですが、「FBI長官としての私の使命は、真実を示すことである」と言っています。しかし、FBIの長官にそんな使命はなく、勝手に記者会見を開いて自分の個人的な意見を言ってはいけないことになっているのだ、という指摘をしています。

このローゼン・スタイン氏のメモに関して、アメリカの一部マスコミ、例えばウォール・ストリート・ジャーナルは「その通りだ」と同調しています。

ローゼン・スタインという人物は、ワシントンでものすごく評判がいい方です。もともと司法省にずっと勤めていて、時の政権が民主党であっても共和党であっても、両方に仕えていたのですが、決して党派制に偏らず、いつも独立性を保った仕事をするということで評判の高い人です。

この人をトランプ政権が抜擢したわけです。ワシントン・ポストの社説では「トランプ人事の中で、ベストである」と称しています。

このローゼン・スタイン氏は、一躍注目の的になりました。彗星の如く現れた存在といえます。これに関して、彼の友人は「こんな問題に関わって、せっかくお前は評判がいいのに、この後、どうなるかわからないぞ。すぐこの件からは手を引いたほうがいい」と忠告されたそうです。しかし彼は地元新聞のインタビューで、

「私は合衆国憲法を守るということを、神に誓った。決して自分の評判を守ることを誓ったわけではない。ワシントンの人たちはいったい何が問題かと、もし聞かれたら、答えはこうだ。ワシントンの人たちは皆、国家を守るためではなく、自分自身の立場を守るために忙しくしている。これが一番の問題なのだ」

と、このように述べています。

これから、このローゼン・スタイン氏は大注目です。

 

FBI長官罷免問題の本質は何か?

さて、このFBI長官の罷免問題の本質は、一体何なのでしょうか。5月14日、幸福実現党の大川隆法総裁が京都で講演会を開き、その中でこの問題について、

「まず、今この問題を考えるにあたって、一番大事なことは、実は北朝鮮の問題なのです。アメリカがこの北朝鮮問題を解決するために、ロシアとの関係を友好な関係に持って行くことが、非常に重要である。もし、ロシアが今、アメリカと敵対的な関係になって、この北朝鮮問題で北朝鮮を助ける側に回ってしまったら、この北朝鮮問題はこじれます。これは国家戦略として、ロシアとの関係を良好に持って行くということは、非常に重要である」と、重要な指摘をしています。

北朝鮮問題におけるロシアとアメリカの関係が、とても重要なのだということは、このトランプ・チャンネルの第9回でも指摘しました。

大川隆法総裁はさらに、「FBI長官が個人的な考え、ある種の私利私欲で自分の立場を守るために、個人的な意見を言うことが国家戦略の足を引っ張るのであれば、これはFBI長官として十分、罷免するに値する」と、トランプの判断を評価しています。

※→トランプ大統領のFBI長官解任は正しい判断 大川隆法・幸福の科学総裁 京都講演で(The Liberty Web)

 
そうなのです。この問題の背景にあるのは、実はロシアなのです。

 

トランプ大統領のFBI長官更迭は、正しい判断

そもそもトランプ大統領は、ロシアとの関係をよくしようとしています。そして、あのウクライナ問題でアメリカが中心となって、ロシアに経済制裁を科しましたが、この経済制裁を解除する方向に持っていこうと考えています。これについては、アメリカ議会もマスコミも、よく知っています。

これを絶対にやらせたくないために、トランプ大統領によるコミーFBI長官解任をことさら利用し、トランプ大統領はロシア問題での自らの悪手を隠しているのだというPRを、一生懸命やっているのです。

しかしアメリカにとっても今、一番大事なのは、北朝鮮の問題です。いったい議会も民主党も、いつまでこのFBIとロシアの疑惑を続けるのでしょうか。

トランプ大統領のFBI長官更迭、これは断固、正しい!

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