【ザ・ファクト】皇室を守るための大統領制とは~

幸福実現党釈量子党首に聞く「大統領制と皇室」

【皇室を守るための大統領制とは~
幸福実現党釈量子党首に聞く「大統領制と皇室」】

 

「大統領制と皇室」について、釈量子党首に聞く

釈量子

Profile
1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、1994年、幸福の科学に奉職。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より幸福実現党党首

里村英一

Profile
1960年生まれ、新潟県出身。在京のテレビ局宣伝部を経て、1991年、幸福の科学に奉職。月刊「ザ・リバティ」編集長、幸福の科学グループ広報局長などを経て、現在、幸福の科学専務理事(広報・マーケティング企画担当) 兼HSUビジティング・プロフェッサー。 ネット番組「THE FACT」メインキャスターも務める。

 
里村:先日の安倍首相の憲法改正に関する発言。これに続き、日本では国のあり方についての議論が起きるようになっています。幸福実現党は立党以来、この国のあり方として、大統領制がふさわしいのではないかという提案をしていますが、幸福実現党に寄せられる意見、質問の中でもっとも多いのが、この「大統領制と皇室について」だということです。そこで、今日は、この大統領制と皇室を含めての話を、釈党首にお伺いします。よろしくお願いします。

:よろしくお願いいたします。

里村:さて、幸福実現党には、大統領制と皇室について、いろいろなご質問やご意見が寄せられるということですが。

 

百年・千年と皇室を護るために必要なこと

:特に多いのが、2009年に幸福実現党から『新・日本国憲法試案』という、新しい国のかたちを提示した時から、非常に誤解が多かった内容でもあります。「大統領で皇室をつぶそうとしているのか」という御意見があるのですが、これは本当に大きな誤解です。

これから百年、千年と皇室を守るために、「どうあるべきか」を考えるとともに、やはり現在の議員内閣制には限界があるのではないかというのが、根本的な考えとしてあります。

里村:では何故、「大統領制なのか」ということをお伺いしたいのですが。

 

議員内閣制の限界

:今、日本は議員内閣制、つまり衆議院の方が優先されます。基本的に衆議院で多数を取った党の首相になるというのが、今の議員内閣制ということになるわけです。今の国会が空転したり紛糾したりする姿をみると、問題の根源は、まさに議員内閣制にあるのではないかというのが見えてきます。

 

議院内閣制はもう限界!

  • 最終責任が不明確
  • 意思決定者が不明確
  • 閣議決定は全員位置が原則
  • 短期政権が続き国家戦略の実現が困難
  • 国民が選んだ覚えのない首相が出てくる
  • 自治体首長に勝てない首相が出てくる

統治機構が国家の未来を分ける

 

最終責任が曖昧な日本の政治

里村:最終責任、意思決定者が不明確。これが非常に日本の曖昧さとして、昔からずっと指摘されてきましたね。

:そうですね。いったい誰が判断しているのか、まったく見えません。言葉はきついかもしれませんが、密室政治といいますか、そういったものを連想しやすい政治体制になっていると感じます。

里村:(日本は)1年も持たない短期政権の傾向がありますが、今の安倍政権は、比較的長く続いています。

:やはり、支持率の問題がありますが、支持率が下がってくると交代という話題になるので、国の政治がマスコミ報道に大きく振りまわされる現象も、よく見てきたところかと思いますね。

 

国民が選ぶことのできない「総理大臣」

里村:そうですね。そして、国民が選んだとは思えない首相が選ばれる。これはものすごく「顕著」です。

:権謀術数に長けた、そういった方がふっと上がってくる。

里村:1990年代の村山富市氏が首相になった時も、「えっ、なんで?このおじいさん、誰?」のような、本当に驚きました。この人がリーダーで、我々の命や安全や財産の全責任を負っている人なのかと思うと、途端に怖くなったという記憶がございます。

:実際に、国のトップが何をしたいのか、どの優先順位でどういう政策を掲げているのかが、国民に分からないうちに、日本の首相が決まっているのが、現状ですよね。

里村:議員内閣制の限界である、最終責任の曖昧さを解決するということですね。それ以外には、大統領制の何がいいのでしょうか。

 

閣議決定が必要な政治の限界

:やはり国にとって、かなり緊迫感の高い問題が目白押しですよね。この危機への対応、特に他の外国との戦争に巻き込まれるかもしれないという時の対応において、やはり行政の長として、強い権限があった方がいいと思いますし、国家にとってドラスティックな改革、根本的な改革をする時も、やはり権限が強い方がいいと思います。

事例としては、リンカーンです。奴隷解放の宣言を出す時に、閣僚の7名が反対していた中、それを無視してリンカーンは奴隷解放宣言を出しています。日本の「全員一致の閣議決定」では、こういうことはできないわけですね。

例えば、ミサイルが飛んでくるかどうかの瀬戸際で、北朝鮮に対して敵基地先制攻撃の有無という議論が国会でもなされていますが、閣議決定を待っていたらもう撃ち込まれてしまっているわけですしね。そういう意味で、日本は行政の方が迅速に判断できる体制を整えなければいけないと思います。

統治機構が、国の未来を左右します。議員内閣制がいいのか、それともそれに代わるものを考えなければいけないのか。まさに今、この憲法議論が湧き上がってきているこの時期に、真正面から考えていくべきテーマだと思います。今日・明日にでも、すぐにどうこうできる問題ではないと思います。これは大きな統治機構の変革ということになりますが、今の政治の限界というものを明確化するという意味では、こうした議論はすごく大事です。

里村:なるほど。やはり今の日本のあり方におかしなところがたくさんある。それを前提に、大統領制という議論を中長期的な課題として、問題提起をされたいということですね。

:また、安倍政権が長期政権化してきましたけれども、では、安倍首相が大統領になったらどうなのか、という話もよく聞きます。

 

独裁者の登場を止める大統領制

里村:独裁者のようになってきたと言われますが。これ関しては、この議院内閣制の独裁者というのは、立法と行政の両方を握ります。これが一番のスーパー独裁者です。

:立法と行政の癒着という問題ですね。

里村:これは本当に怖いですよ。立法府がちゃんと戦え、カウンターになる。そして、実はスーパー独裁者の登場を止める意味で、やはり大統領制は効果があるという見方もできるわけですね。

:そうですね。今の政治は、選挙を何度も繰り返し、首をすげ替えながら、ずっと同じ政治構造ができています。(大統領制にすることで)その人の考え方がどういったものなのかを、国民が選ぶ自由と権利があるとともに、その政治がどういうものになったのかを、ある程度の任期を決めて検証できます。これは日本の政治にとって、とても大事なサイクルになると思います。しかし、今は、どんな失政をしても、ずっと同じ政党が権力の側に居続けることができ、その積み重ねが財政赤字1000兆円をつくってきたのではないでしょうか。

 

皇室の存在は「日本の歴史」そのもの

里村:さて、もう一つの論点ですが、皇室と天皇陛下をなくすために、この大統領制を実現しようとしているという批判や疑問がある点ですが。

:大統領制の目的は、その真逆だということをしっかりとお伝えし、この誤解は解きたいと思っております。やはり万世一系の天皇を維持することは、日本にとって非常に大事な問題だと思います。(皇室の存在は)「日本の歴史」そのものであると思います。天照大神という日本の主宰神が、自分の直系を地に降ろして政(まつりごと)を行う。これが今の日本の政治のルーツであり、国のルーツです。つまり、この天照大神の流れをくむのが皇室であり、この皇室が天照大神を主宰神とするこの国の政(まつりごと)、神様からつながる国であること、ここをしっかりと護っているというところが大事です。したがって、皇室は末永く存続すべきだと私たちは考えております。

 

皇室に敗戦責任を負わせる現在の体制

:しかし、「王冠は敗戦を乗り越えられない」というラスキという政治学者の言葉があります。例えばハプスブルグ家ですが、第1次世界大戦の敗色が濃くなったオーストリアで、皇帝カール一世がスイスに亡命して、王朝が終わってしまいました。ドイツではホーエンツォレルン家という有名な王家がありましたけれども、1918年にヴィルヘルム二世もオランダに亡命しました。まさに戦争の敗戦のあとに王家、中世から続いた非常に立派な王家が消えました。

里村:滅亡して断絶しているわけですね。

:はい。日本の皇室がこれから残っていくかどうかといったとき、今日本の周辺をみると非常にきな臭い状況が立ち現れています。

里村:北朝鮮や中国等の問題で、万一があった場合、つまり日本がいわゆる敗戦国や被占領国、占領される事態になった場合、国家元首の立場に皇室・天皇があると危険があるということでしょうか。

:(皇室に)政治責任を負わせる体制にしておくと極めて危険だということは、誰がみてもわかる問題だと思います。

里村:政治責任を負わされる立場になるというこのあたりの視点は、あまり保守派からも出てこないところですね。

 

大統領制は「皇室を護る」ための制度

靖国神社参拝

毎年「終戦の日」に靖国神社へ昇殿参拝をする幸福実現党

:長い皇室の歴史を振り返ったとき、政治と皇室の関係というのは非常にいろいろな変遷があります。例えば、鎌倉時代、元寇の時は政治責任から離れていましたね。幕府が政治を見ていた、国防体制を持っていたというところがあります。また、当時の天皇は祈る存在だったと言われております。そのような流れの中で、また天皇が政治利用される可能性というのはあります。今、国事行為という形でされている多くのお仕事は政治の仕事になっています。したがって、文化的、歴史的な象徴としてのご存在として、永く皇室の存続を願うべきではないかというのが、私たち幸福実現党の考えです。

里村:そうすると、重ねて問いますけれども、幸福実現党が訴えている元首としての大統領を日本にも置くべきだというのは、決して皇室を廃するとかなくすためではなくて、護るためであると?

:はい。明確に元首を、例えば大統領とした場合、何か事態があって、責任者として絞首刑になるのは大統領であり、皇室は護らねばいけません。やはり皇室は、政治的なものからかけ離れた超越した存在です。それは明治の時の大日本帝国憲法や、十七条憲法の前からずっとある存在です。やはり宗教的な神秘性やそうしたものを踏まえた存在だというところの認識も、日本人としてとても大事だと思います。また、そこまで言えるのは、私たち幸福実現党しかないのではないかと思っています。皇室が単なる血統主義ではなく、天照大神からつながるルーツを持つ尊い存在であると同時に、日本神道の神官の長であり、この宮中の祭祀を中心としたご存在であることが尊いのだということを、日本国として持つべきではないでしょうか、という提言も含めて、私たちは訴えています。

里村:なるほど。そういうお考えのものに、幸福実現党は靖国神社にも行かれるし、あるいは伊勢神宮にも昇殿参拝されているということですね。

:はい。そうですね。

里村:釈党首のお話をお伺いして、大統領制というのは国民の生命・安全・財産を守ると同時に、日本の皇室と天皇陛下を護るという、大きな意味合いを持っているものだということを、納得致しました。

:そうですね。世論に流されることなく、時代を超越した存在である皇室を護りつつも、さまざまな国際環境の中で、どのようにこの国を舵取りしていくべきなのか。この国の統治のあり方について、私たちの考えをお話しさせていただきました。

里村:今日は、ありがとうございました。

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