「骨太の方針」の閣議決定について(党政調会見解)
2021年6月18日
幸福実現党政務調査会
政府は18日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針2021)」を閣議決定しました。感染症を克服し、持続的な経済基盤を作るといった政府の考えは理解できますが、今回掲げられた「脱炭素化」や「デジタル化」を推進することによって、日本の先行き見通しが明るくなるとは言えません。
政府や自治体によるこれまでの緊急事態宣言とそれに伴う自粛要請などにより、日本経済は疲弊を極めています。また、この間、政府は一連の経済対策を実施してきましたが、政府財政は極めて危険な領域に達している状況です。コロナ禍がもたらす経済的な影響について決して楽観視できない中、これまでと同様の方針をとることは、経済・財政両面から見て現実的ではないと考えます。
また、政府は東京五輪・パラリンピックをいわば強行的に開催しようとしていますが、これが今後のコロナ第5波、第6波につながる可能性は高く、感染拡大を防止するという方針に矛盾が生じていると言えます。
雇用確保や、持続性ある国家財政の実現、また、社会インフラの喪失を避けるためには、必要な感染症対策を実施した上で、「経済を回す」方針をとるほかなく、国家として、経済活動をむやみに制限すべきではありません。なお、骨太の方針で言及されている「最低賃金の引き上げ」については、雇用を減らす恐れも高いと言えます。
以下、「骨太の方針」に示された政府方針の主な論点に対する、党政調会の考え方となります。
少子化対策、子どもに関する政策について
「少子化の克服と子供を産み育てやすい社会」を実現するとの方針が掲げられていますが、その施策の一つは、出産育児一時金の増額の検討であり、政府の歳出が一層拡大することが見込まれます。これは、今年秋までに実施される衆院総選挙を見据えたバラマキ策と思われますが、このような、将来的な大増税を招く恐れが高い“大盤振る舞い”には反対します。
「脱炭素」の推進について
エネルギー分野では、「2030年度の温室効果ガス排出削減目標を13年度比46%」とするとの記載がありますが、わが国が早急に脱炭素を進めることになれば、経済活動が抑止されて日本経済が大きく冷え込むことが危惧されます。国家としてグリーン投資を推し進めるなどすれば、現状として、資源や部品を調達するなどの面で中国経済を利することにもなりかねません。コロナ禍と脱炭素化のダブルパンチに見舞われることになれば、日本経済はもはや二度と立ち上がれない状況になる恐れが高いと言えます。わが党として、政府の「脱炭素」を進めるとの方針には反対します。
「デジタル化」の推進について
「デジタル庁」の創設を核とするデジタルガバメントの確立やマイナンバーカードの普及など、政府によるデジタル化の推進方針は、日本の「監視社会化」を推し進め、「全体主義国家」への基盤となりかねないと危惧するものです。個人情報の漏洩リスクを考えても、デジタル化により国民は多大な損失を被りかねません。
外交・安全保障について
外交・国防分野についての方針も十分とは言えません。国家の“サバイバル”という観点から言えば、コロナ禍を背景に覇権を拡大している中国の動きを抑止することは急務と言えます。「骨太の方針」では、基本的な価値観を共有できる国々との連携を推進するなどして、外交・安全保障を強化するとの旨が書かれていますが、「中国の覇権を抑止する」との文言については記載されておらず、踏み込み不足と言わざるをえません。香港やチベットにおける中国政府による人権侵害を通じて欧米諸国は中国に経済制裁を課すなど、主要国は「中国包囲網」の形成に傾く中、日本が先進国の足並みを乱していると言えます。まず日本は、反中国の姿勢をとるとの態度を明らかにすべきであり、その上で、対中包囲網の形成に向けた戦略的な外交と防衛力の強化を推進していくべきです。
このほか、日本経済はこれまで、中国への接近を強めてきましたが、中国経済を利するのみならず、国内企業が中国企業に買収されることを通じて、ともすれば、日本の高度技術が中国の軍事力強化に寄与してきたとも指摘されています。経済安全保障など含めた、国益確保の観点からも、日本は中国経済とのデカップリングを進めるほか、経済安全保障の確立に向けた万全な体制を整備すべきだと考えます。
コロナ禍の下、日本は経済・安全保障面を含め、あらゆる面にわたって危機に直面しているというのが実情です。これまでの政治のあり方というものをゼロベースで見直し、国家の生き残りと国民一人一人の幸福の実現に向けて、今こそ、実行すべき政策とは何かについて、その哲学を練り直すべきです。
本来、政府として、国防費の倍増や、食料・エネルギーの安全保障の確立など、国の“サバイバル”に向けた投資戦略を効果的に実施しながらも、歳出のあり方を抜本的に見直して、健全財政の達成を見据えたメリハリある財政運営を行うべきです。一方で、民間を元気にする減税・規制緩和を実施する「小さな政府」路線を踏まえた経済運営を実施することが望まれます。社会保障については、その増大が増税につながっている面が大きいため、「自助と共助」を軸とし、民間を生かす制度改革が求められると考えます。
幸福実現党は“信仰”と“自助論”をベースにした政策実施こそ必要との考えを、引き続き訴えてまいります。
以上