7月20日(木)、党幸福実現党沖縄県本部が、玉城沖縄県知事宛に、「県民の『生命・安全・財産』を損なう地域外交を改め、国との連携強化を求める要望書」を提出いたしました。
下地玲子沖縄県本部代表(沖縄県庁にて)
要望書を渡す金城竜郎沖縄県本部統括支部代表
令和5年7月20日
沖縄県知事
玉城デニー 殿
幸福実現党 沖縄県本部
代表 下地 玲子
県民の「生命・安全・財産」を損なう地域外交を改め、国との連携強化を求める要望書
中国政府は軍備を急拡張し、力による現状変更を試みています。特に沖縄周辺では、台湾有事が懸念され、7月6日には中国の習近平国家主席が、対台湾作戦を担う東部戦区の将兵に「戦争に備えよ」などと指示したことが明らかになっています。
中国が武力で台湾を威圧する背景には、台湾が「中華人民共和国」の一部だとする「一つの中国」という見解があります。しかし、台湾は大陸の共産党政権の施政下にあったことは一度もありません。2020年の台湾の世論調査では、自己のアイデンティティを「台湾人」とする割合が67.0%であるのに対し、「中国人」とした割合は、わずか2.4%でした。同じく2020年の別の世論調査では、中国が主張する一国二制度による台湾統一に「賛成しない」が88.8%、「中国の武力威嚇に反対」も90.9%となっています。
こうした現状にもかかわらず、「一つの中国」に中国政府が固執することで、緊張が生み出されているのです。
この台湾有事の問題から、沖縄県も無関係ではいられません。沖縄県は中国にとっての重要な防衛ラインである第一列島線上にあり、万が一にも中国が台湾侵攻を開始すれば、沖縄県民も突然有事の波に飲み込まれてしまいます。6月には習近平国家主席が北京の資料館を訪問し、尖閣諸島は明代より中国固有の領土であると説明を受け、習氏は「(福建省の)福州で勤務していた際、琉球との交流の根源が深いと知った」と述べました。これは「異例の『琉球』言及」であり、沖縄の帰属を問題化させ、日本を揺さぶる狙いとの見方が報道されています。知事は、習氏の「琉球」を巡る発言を「今後の交流進展を希望するという意見だった」と評しましたが、沖縄と本土の分断工作にはまってしまう懸念が拭えません。
この緊迫した情勢下、玉城デニー沖縄県知事が本年7月に訪中し、中国共産党序列2位の李強首相と会談しました。会談では、コロナ禍で停止した沖縄・中国間の空路の直行便回復などを求める一方で、尖閣問題については棚上げし、中国公船の領海侵入に言及しませんでした。
玉城知事は、本年3月に訪米し、外交を通じた緊張の緩和や沖縄県民の基地負担軽減を訴えました。国内においては、沖縄に対する反撃能力を有するミサイル配備に反対するほか、日米訓練等での民間施設の使用に不快感を示し、民間港湾や空港の緊急時以外の米軍の利用に自粛を要請するなど、中国政府の所望に沿うような行為を重ねています。
玉城知事は、人民日報系の環球時報のインタビューに対し、7月3日付で台湾情勢に関して「日米両政府は平和外交と対話を通じて緊張を緩和させるべきだ」と述べていますが、中国共産党の本質を見誤っていると言わざるを得ません。中国共産党は、立党以来、暴力と殺戮行為を繰り返しており、近年では、ウイグルでのジェノサイドや香港での苛烈な人権弾圧が批判されています。
共産主義は暴力革命を肯定します。そうした暴力革命によって誕生した中華人民共和国は、その体制の維持・発展のために暴力を用いることを厭うことは何らありません。それがウイグルや香港などで起こっていることの現実であり、台湾で起きようとしていることなのです。全体主義国家から、自由や民主、信仰などの普遍的な価値観を守ることが台湾問題の本質であり、これを無視したとき、次に脅かされるのは、台湾に隣接する沖縄の人々です。戦後最大の緊急事態が、私たちの沖縄に迫っている状況なのです。
この緊急時、知事としては「万が一に備える」ということも重要な職務の一つとされるのではないでしょうか。国民保護法に基づいたリーダーシップを発揮する立場におられるのが、沖縄県知事であるはずです。「『平和外交』のみで県民の命を守る」というのは、聞こえは良いのですが、最悪の事態に備えることも行政の長としての責任であることも忘れてはなりません。
よって、知事におかれましては、県民の「生命・安全・財産」を損なう地域外交を厳に戒め、有事に万全の備えをすべく、下記の通り要望致します。
記
1 台湾訪問等で、中国共産党の侵略行為を助長させかねない地域外交を戒めること。
2 地域外交においては、経済的利益の優先によって、県民の安全保障環境を脅かすことがないよう努めること。
3 中国と地域外交を行う場合、中国共産党に対し、中国公船の領海侵入などの行為に対し、毅然として抗議すること。
4 長距離ミサイルの配備や米軍の民間施設利用の反対など、全体主義国家である中国を利する行為を慎み、国および米国と適切な協力関係を構築すること。
5 国民保護法に基づき、台湾有事を想定した具体的な避難計画を早急に策定し、それに必要なシェルターなどのインフラや輸送力とその防護力、必要物資等を明らかにすると同時に、その準備を着実に進めること。
以上