【緊急声明】復興財源確保法の成立を受けて

本日、東日本大震災の復興財源としての臨時増税を盛り込んだ復興財源確保法が成立した。所得増税を25年に期間延長する法案修正がなされたことで事実上の恒久増税となり、「将来世代に負担を先送りしない」との復興増税の論理は完全に破綻している。我が党がかねて指摘してきたように、国債の日銀引き受けや国債整理基金特別会計の剰余金活用等による財源捻出が可能だったにもかかわらず、長期に亘り国民に負担を強いる増税が決定されたのは誠に遺憾である。

また、政府・日銀は現下の円高対策として、10月末に7.5兆円規模とみられる為替介入を実施、8月の介入と合わせて約12兆円と復興増税額を超えるが、その原資は政府短期証券の発行による民間調達である。政府は介入資金名目で借金を膨らませ続けているが、単独介入の効果の薄さを踏まえれば、介入資金枠をこそ復興財源に回すべきであったことを指摘しておきたい。
 
さらに、野田政権は消費増税に向けて、今年度末までに関連法案を国会提出する方針を掲げ、増税路線をより鮮明にしている。しかも、今月初旬の仏カンヌG20サミットでは、消費税引き上げを国際公約するなど、国民の合意を全く得ていないにもかかわらず既成事実化を図っている。その手法は、民主主義の手続きからは大きく逸脱しており、「国民不在」も甚だしい。そもそも財政健全化は経済成長によってこそもたらされることを知るべきだ。

野田政権が国民負担を増やすことに汲々とする傍ら、我が国の安全保障環境は日増しに不安定化している。自らを「どじょう」に喩えることからも窺える野田首相の自尊心の低さと、これによる交渉力の弱さが、各国の利害が衝突する国際政治の中で、国益が損なわれる事態を招来しないか危惧を持つものである。近隣国との関係では、現在、韓国が竹島に大型埠頭や観光施設等の建設計画を進め、実効支配強化を図っており、日本政府としての毅然とした対応が急がれている。10月の日韓首脳会談で、過度なウォン安阻止のための日韓通貨スワップの拡充が合意されたが、竹島問題で韓国の態度が改まらない場合、年内の韓国大統領訪日の際には、野田首相からスワップ拡充の見直しに言及するよう要望するものである。主張すべきは主張することで、真の未来志向の関係も構築できるのであり、国益を守る姿勢の徹底が国家の気概を示すことにもなるだろう。
 
対中問題に目を転ずれば、成長に伴う旺盛なエネルギー需要から、資源獲得にひた走る中国が尖閣諸島周辺の豊富な石油資源を狙っていることは明らかだ。折しも、今月中旬には米国が豪州への海兵隊駐留計画を発表したが、日本における米軍のプレゼンスの低下に繋がりかねないだけに、日米合意どおりに普天間基地移設問題の解決を図ることで日米同盟の紐帯を改めて確認し、内外に日米同盟による守りを鮮明にすべきである。具体的には、辺野古沖の埋立て許可権限を県知事から国に移す特別措置法の制定を急がなくてはならない。また、我が国の防衛産業や国会・行政機関がサイバー攻撃を受ける事態が頻発しており、中国の関与が濃厚と見られている。我が国も米国に倣い、サイバー攻撃に対する軍事的報復も排除しない姿勢を示すべきであり、来月の野田首相の訪中時には、単に捜査協力を求めることで終わりとせず、我が国として非核三原則にとらわれない実効性ある抑止力強化を検討することも示唆すべきだ。

隣国との摩擦を恐れるあまり、領土や資源など日本の富が他国に奪われるリスクを助長する一方で、増税により国民から富を吸い上げようとするのが、民主党政権による国政運営の本質にほかならない。国民の生命・財産・安全を守り、国益を確保する意思がないならば、野田政権は潔く退陣すべきである。我が党としては、これからも増税反対を力強く訴えていくと共に、あるべき外交・内政運営の実現を目指し、活動を続ける所存である。

 

幸福実現党 党首 ついき秀学

復興財源確保法の成立を受けて

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