本日、北朝鮮が「人工衛星」と称する事実上の長距離弾道ミサイルの発射を行った。ミサイルは発射後1~2分で爆発し、海に墜落したため、危惧された日本へのミサイル本体や部品の落下は幸いにしてなかったものの、このような北朝鮮の行為は我が国の安全を脅かすものとして断じて容認できない。
関係各国は北朝鮮に対し、ミサイル発射は国連決議に違反するとして自制を求めてきた。にもかかわらず、北朝鮮は宇宙空間の平和的開発・利用は「国際的に公認された主権国家の合法的権利」などと強弁し、発射に踏み切ったのである。
今回のミサイル発射は、北朝鮮にとっては国威を発揚するはずのものであったが、発射が失敗したことで、失地回復を図って、今後さらなる軍事的挑発行為に及ぶ危険性が十分にある。北朝鮮は2006年7月と09年4月のミサイル発射事案では、いずれもその後数ヶ月以内に核実験を行っていることから、今回も核実験を強行する可能性が高い。弾道ミサイルに搭載可能な核兵器の小型化に成功すれば、北朝鮮は我が国を射程に収めたノドンを配備しているだけに、日本の置かれた状況はより深刻さを増すこととなる。
したがって、今回の北ミサイルの発射失敗で脅威が去ったわけではない。09年の北朝鮮のミサイル問題を契機に立党して以来、我が党は外交防衛上の国難を打破するための国防強化を訴え続けてきたが、この訴えが正鵠を射ていることは、北東アジア情勢が緊迫する現在、誰の目にも明らかとなりつつある。政府はいわゆる「吉田ドクトリン」を脱却して、近隣諸国の軍事的脅威から国民の生命・安全・財産を守るため、国防に真正面から取り組まなければならない。
その際、日米同盟を維持・強化すべきは言うまでもないが、米国の安全保障政策に不透明感が漂う中、その核の傘に頼り切る現状を見直し、日本独自での実効性ある抑止力を整備すべきである。今回の北ミサイル発射でも、政府の情報確認・公表が遅れたが、これは米国に我が国の安全保障を全面的に依存することの問題を露呈しており、情報確認等に遅れが生じた原因究明はもとより、日本として早期警戒衛星の導入等を積極的に進めなくてはならない。国防強化には、戦争放棄や戦力不保持などを定めた憲法9条改正も必要だが、「今、そこにある危機」に即応するために、憲法解釈を変更し、「日本の平和を脅かす国家に憲法9条は適用されない」ことを明確にすることで、主権国家として国際法上当然認められる自衛権を確立すべきである。併せて、外交的なアプローチとして、北朝鮮の核の脅威除去に向けた認識を日米韓はじめ関係各国で共有し、連携を深めることも肝要となろう。
我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、幸福実現党は、頼むに足りない現政権になり代わって、国民を守るための国防強化策を引き続き提言していく所存である。
幸福実現党 党首 ついき秀学