消費増税に関する3党合意を受けて

一昨日15日、民主、自民、公明の3党が、「社会保障と税の一体改革」関連法案を巡る修正協議で合意した。これにより、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げる消費増税法案は、今国会を会期延長したうえで、成立する公算が大きくなった。

しかしながら、我が党がかねて指摘してきたように、長引くデフレ経済下にあって、増税は愚策の極みでしかない。消費増税が、消費の停滞やさらなる景気悪化を招き、失業者や企業倒産の増加、そして税収減をもたらすことは明らかであるからだ。

ましてや、ギリシャに端を発する欧州債務危機の影響で、世界的な景気減速も危惧される中、国内需要の減少によりデフレを助長する消費増税に踏み切るのは、経済音痴というほかない。「我が国のギリシャ化を回避するため」との言辞をもって、消費増税に正当性を与える論もあるが、増税で国民から富を収奪し、再配分を行う非効率な経済財政運営こそが、官の肥大化を招き、日本のギリシャ化を招くのである。結果として、大規模な経済対策のために巨額の財政出動を迫られ、かえって政府債務は急激に累増するであろう。

財政再建に必要なのは、増税ではなく、高い経済成長によってこそもたらされる税収増であり、そのためには、デフレ克服に向けた金融緩和と、実効ある成長戦略が急務なのである。

国会では、一部勢力を除き、与野党あげて消費増税に邁進しているが、そもそも議会制度は、権力者による課税権の濫用を納税者が抑止するところから確立したのが歴史的沿革である。この観点からすれば、納税者たる国民に信を問う手続きを欠いたまま、消費増税に突き進む勢力は、もはや課税権の濫用を自ら画策する主体と化しており、議会制民主主義の本旨を完全に逸脱していると断ぜざるを得ない。

2009年の政権交代の際、「4年間は消費税を上げない」と公約した民主党はもとより、自民党も今回の修正協議で、当初、法案から、景気悪化時に増税を一時凍結する「景気弾力条項」の数値目標の削除を求めるなど、もはや「自由」「民主」など名ばかりの、国民の経済的自由を奪う政治勢力に堕したと言えよう。

かような国民不在の増税合意によって、「日本沈没」がもたらされようとしているが、これは経済面ばかりではなく、安全保障の観点からも看過できない。経済成長を背景に中国が軍事的に膨張する中、日本が経済的に凋落し、その防衛力を低下させることは、東アジア地域を中国の独壇場となさしめ、安全保障上のリスクを致命的な水準にまで高めることにもなりかねないからだ。

そこで、我が党としては、「日本亡国」につながる消費増税法案の否決へ向けて議員諸氏の良識ある判断と行動に期待しつつ、引き続き増税阻止に向けた論陣を張っていく所存である。

 

幸福実現党 党首 ついき秀学

消費増税に関する3党合意を受けて

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