尖閣周辺への中国の侵入行為を受けて

今月23日、わが国の尖閣諸島周辺の領海内に、昨年9月の尖閣国有化後、最多となる8隻もの中国の海洋監視船が侵入した。また、同日に40機を超える中国軍機が尖閣周辺への威嚇飛行を行っていたことも明らかとなった。26日には中国外務省が尖閣諸島について、「中国の核心的利益」と公式に表明したが、尖閣奪取の姿勢を強める中国が、ついに武力行使も辞さない姿勢を鮮明にしたものと見做さざるを得ない。

また、中国政府は2012年版の国防白書では、従来掲げてきた核兵器の「先制不使用」を削除している。中国側は核政策に変更はないとしているものの、これは尖閣紛争を見据えた上で、日本への核攻撃もほのめかす恫喝ともみられ、わが国にとって安全保障上の脅威が高まったことは疑うべくもない。

わが国が直面する軍事的脅威は中国だけではない。核ミサイル開発を進める北朝鮮は、国際社会に対する挑発をエスカレートさせている。わが党は2009年5月の立党以来、一貫して国防上の国難到来を訴えてきたが、日本を取り巻く安全保障環境が著しく悪化するなか、われわれの主張が正鵠を射ていることは、火を見るより明らかである。

国防強化は待ったなしであり、日本政府は、集団的自衛権の行使容認による日米同盟強化を急がねばならない。併せて、わが国における米軍依存の安全保障政策を見直し、「自分の国は自分で守る」という主権国家の原則に立って、自主防衛力の強化に取り組むべきである。日本への核ミサイル攻撃という最悪の事態も踏まえ、巡航ミサイルなどの敵基地攻撃能力の保有を進めるとともに、日本独自の核抑止力構築も検討すべきだ。

もちろん、国防体制の建て直しのためには、戦争放棄や戦力不保持及び交戦権の否認を定めた憲法9条の改正が必要である。しかしながら、国防強化には一刻の猶予も許されない。そこで、「今、そこにある危機」に対応すべく、憲法解釈を変更し、憲法前文で謳う「平和を愛する諸国民」とは言えない中国、北朝鮮に対しては、憲法9条を適用しないことを鮮明にし、有事への備えを抜本的に強化するよう改めて提言する。

なお、国会では道州制推進の動きがみられるが、日本が危機に瀕するなかにあって、道州制の下では、国家としての外交・安全保障政策が遂行できなくなるおそれがある。「日本の自殺」となりかねない道州制について、わが党として断固反対するものである。

 

幸福実現党 党首 矢内筆勝

尖閣周辺への中国の侵入行為を受けて

おすすめコンテンツ