ロシアに対する追加制裁の撤回を求める(党声明)
令和4年4月9日
幸福実現党
岸田文雄首相は8日、ウクライナへの戦闘を行うロシアに対し、石炭の輸入禁止をはじめとする追加の制裁措置を発表しました。さらに外務省は、在日ロシア大使館の外交官など8人を国外追放とする措置を発表しています。これはロシアへの敵対行為そのものであり、世界のためにも日本のためにもならず、即刻撤回すべきと考えます。
岸田首相は追加制裁の根拠として、ロシアが民間人への虐殺という「戦争犯罪」を行っていることを挙げていますが、これはウクライナ、欧米側からの報道による一方的な見方です。ウクライナは今年3月「民間人がロシア兵を殺害する権利」を合法化しています。ロシアが責められるなら、市民が標的になる状況を意図的に作り出したウクライナも咎められなければ公平とは言えません。
そもそも、制裁では今回の戦争を終わらせることはできません。インドは今回の件で中立を保っており、中国もロシア制裁に反対しています。中国やインドとの関係が維持できればロシアの戦闘は継続でき、追加制裁は日本が自らの首を絞めることにつながるのみです。
石炭の禁輸はエネルギー価格の高騰と、それに伴うインフレを深刻化させます。岸田首相はインフレ対策として経済政策を実施する方針を掲げていますが、財政赤字が膨らむのみで根本解決にはなりません。それどころか、国際的にエネルギー不足が深刻化する今、日本の石炭輸入量の1割以上を占めるロシアの石炭を自ら断つことは自殺行為です。
岸田首相は原子力と再エネを最大限活用すると説明しましたが、それだけでは安定した電力供給は見込めません。LNGや原油などの他のエネルギーが今までのように輸入できる保証もなく、これ以上の不測の事態が起きれば日本は電力不足に陥り、停電が頻発する可能性が高まります。
さらに懸念されるのは、安全保障上の危機です。安易に欧米に追随して制裁を行い、ロシアを国際社会において孤立させることは中露接近を招き、日本にとって亡国の選択と言えます。
ロシアは日本からの制裁を受けて以降、海軍の艦艇を北海道周辺に航行させる動きを活発化しています。また、軌を一にして北朝鮮のミサイル発射も頻発しています。トップの決断の誤りにより、日本は中国・北朝鮮にロシアを加えた「三正面作戦」を余儀なくされています。
中露の急接近は米国にとっても脅威です。岸田首相は、欧米に追随していれば国防の危機に陥った際に助力が得られると考えているのかもしれませんが、中露が接近し、北朝鮮も米国本土に届くミサイルを開発している今、米国が日本を守ってくれる保障などないのです。
ウクライナを守ることが正義とみなされ、マスコミの支持を集める「広島的平和主義」が蔓延するなら、日本の未来は「ナイアガラの滝」のごとく落ち込むほかありません。ウクライナを応援してロシアで失ったものの大きさに気づいた時には遅いのです。外交判断を間違えば国そのものがなくなってしまいます。
今回の戦争を一刻も早く止めるために必要なことは、ウクライナはロシアにとって緩衝地帯であり、国防上重要な地域であると理解することです。その上で日本は、ウクライナが抵抗を止め、EUとロシアと中立の関係を築けるよう働きかける役割を担うべきです。ウクライナの中立化に成功しなければ、世界は二分されて世界大戦へと発展し、より多くの尊い人命が奪われます。平和実現のためには、地球全体を鳥瞰するより大きな「正義」の視点が必要だと考えます。
さらに、日本や世界における「自由・民主・信仰」の価値観を守るためには、ロシアの十倍近くの国力を有する中国の覇権拡大をどう食い止めるかが最も重要と言えます。欧米諸国に対露制裁の撤回を働きかけ、信仰を持つ国であるロシアを対中包囲網に入れるべきというのが、わが党の考えです。
中国や北朝鮮の脅威を食い止め、ロシアへの独自外交を進めるためにも、日本は憲法9条の抜本的な改正や非核三原則の見直しを一刻も早く行い、自国を守る体制を整えなくてはなりません。
私たちは、信仰ある国が協力し合う体制をつくることこそ、世界大戦を食い止め、神が願う世界秩序を構築する道と信じるものです。
一日も早い戦争の終結、平和実現のための「正義」の樹立に向けて、わが党はこれからも声を上げてまいります。
以上