【及川幸久 海外を分かり易く解説】トランプの大減税で企業は発展するのか?

トランプチャンネル №25

 
こんにちは、及川幸久です。
いつも、トランプ大統領のTwitterをウォッチしていますが、今日は前々回のトランプ・チャンネルで取り上げましたが、昨年のアメリカ大統領選挙で民主党の候補者争いを、最後までヒラリー・クリントンと演じたバーニー・サンダース氏のTwitterを見ていきたいと思います。

 

バーニー・サンダース氏の批判とは

バーニー・サンダース

彼はトランプ大統領の税制改革、特に法人税の減税について、このように批判をしています。

 

 

「トランプは『アメリカの企業は世界で一番高い法人税を払っている』と言っているが、これは事実ではない。黒字を出している企業の5社に1社は、法人の税金を払っていない」(バーニー・サンダース)

 
彼のこの指摘は、当たっています。

主に大企業ですが、ものすごく利益を出しているのに、実際には全然、国家に税金を払っていないという、このような現象はアメリカだけではなく、日本でもありますね。

 

現制度は、大企業が納税逃れできる制度

以前、私が勤めていたニューヨーク投資銀行では、何を売っていたかというと、実は大企業で、特に儲かっているところに、税金を払わなくて済むような金融商品を開発して売っていたのです。

それから私が勤めていた会社も、本社はニューヨークのウオール街にありますが、額面上の本社はデラウエア州という場所にあります。デラウエア州は、州の法人税がほぼゼロなので、多くの会社がペーパーカンパニーとして、デラウエア州を本社にしています。

デラウエア州は、小さな州で人口89万人しかありませんが、企業の数は95万社もあるという、変わった州なのです。
このバーニー・サンダース氏が述べているとおり、利益を出している企業がアメリカに税金を払わないことは、確かに問題なのです。これを変えるために、トランプ大統領は税制そのものを変えようと提案しています。

 

トランプ大統領の税制改革とは

その提案とは、どういうものなのか。

前回のトランプ・チャンネル第24回でも触れましたが、4月26日、トランプ政権は記者会見を開き、スティーブン・マヌーチン財務長官が現れて説明をしました。

その時に、配られたのは、わずか1枚だけの内容でした。これは、何を表しているかというと、アメリカの税制というのはあまりにも複雑で、説明が何百ページにもわたるのですが、それをシンプルにするぞ、という表れですね。

この1枚のペーパーには、個人の所得税に関する部分と、企業の法人税に関する部分がありますが、法人税に関する部分は4行しかありませんでした。ものすごくシンプルにすると述べています。

アメリカの法人税は、すごく高くて35%も取られます。これは連邦政府の法人税で、さらに地方税に当たる州の法人税もあるので、アメリカは世界一法人税が高いと言われています。

そして、税制自体がものすごく複雑なのです。しかし、複雑だということは、専門家を使えばいくらでも抜け穴があるということなのです。この抜け穴がないように、税制をシンプルにするというのが、トランプ大統領の提案です。

まず、35%の法人税を、なんと15%に下げます。こうなると、アメリカは「世界一法人税が高い国」から、「世界一法人税が安い国」になります。法人税が10%台ということは、アメリカ全体がほぼ「タックスヘイブン(租税回避地)」になるようなものです。

そうすることで、高い税金を避けるために、私が勤めていたような投資銀行に高い手数料まで払って、手間暇をかけて、海外に子会社をつくり、そこに資金を移すようなことが必要なくなるわけです。

 

税制のシンプル化を訴えていたヘリテージ財団

そして、税制のシンプル化は、トランプ政権だけではなく以前から言われていた話で、特にアメリカのワシントンにあるヘリテージ財団というシンクタンクが以前から提案していた内容で、それを今回使っているのです。

そうなると、残った問題は「財源」です。減税するのはいいが、財源はどうするのかという議論は、必ず出てきますね。

この4月26日の記者会見でも、財源に関する質問が出ていました。マヌーチン財務長官はそれに対して、「財源は、これから起こすアメリカの経済成長によって賄う」と答えています。

 

過去2回の大減税を断行したレーガン政権とケネディ政権

過去の政権の中で、このような大減税を断行したのは、レーガン政権とケネディ政権です。過去にアメリカ史上最大・最長の経済成長が2回起きているのですが、それがこのレーガン政権とケネディ政権のときです。しかし、レーガン政権は双子の赤字「財政赤字」と「貿易赤字」をつくっているじゃないか。と言われると思いますが、確かにそのとおりです。

レーガン減税という大減税によって、大変長期の経済成長を起こしてはいますが、別の問題で赤字を作っています。これについては第15回トランプ・チャンネルで触れていますので、そちらをご覧ください。

 

トランプ政権の目的

トランプ政権の目的は、アメリカ経済の復活です。アメリカを経済的にもう一度、偉大な国にすることです。
そのための戦略は、3つです。

  1. 高くて複雑な税制を変える
  2. 規制緩和
  3. 不公正な貿易を再交渉によって変える

 
トランプ大統領はもともと経営者として、雇用を創ってきた側の人間です。この雇用を増やす側から見ると、何が大事なのか。それは、ワシントンが邪魔をしないでくれることです。ワシントンは常に、経営者の邪魔をしてきたわけです。

何が邪魔をしたかというと、「高くて複雑な税制」、そして「規制」、さらには「不公正な貿易」といった3つによってワシントンが邪魔をしてきたので、今度はこのワシントンに邪魔をさせないことで、自然に雇用が増えてアメリカの経済は復活する――これが、トランプ大統領の考え方です。

実際に2015年だけでも、アメリカ政府がつくった規制で2兆ドル以上の損失が生まれたというデータもあります。

 

国家が繁栄するために大切なこと

国の経済が繁栄するために大切なことは、企業が税金の納税から逃げていくのではなく、企業が納得して税金を払えるようにすることです。

そのために、減税をして規制を緩和し、自由な空気をつくることです。この「自由な空気」、これが大事ですね。トランプ政権が創ろうとしているのは、この「自由な空気」による経済繁栄です。

そしてまた、日本にこそ、この「自由な空気」が必要なのではないでしょうか。

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