【外交政策】「日露平和条約」締結が最優先

中国の野心を押しとどめるために

幸福実現NEWS 平成30年9月27日 特別号

中国の野心を押しとどめるために

「日露平和条約」締結が最優先

 
ロシアで行われた「東方経済フォーラム」で、ロシアのプーチン大統領が、「無条件の日露平和条約締結」を提案しました。9月には、日本外交の岐路となる事象が複数起こっています。特別号では、幸福実現党としての見解をまとめました。

 
 ロシアで9月12日に行われた「東方経済フォーラム」で、ロシアのプーチン大統領が、年内に「無条件で日露平和条約を締結」することを提案しました。中国の習近平国家主席を挟み、日本の安倍晋三首相を相手に「いま思いついた」と提案。これを受けて日本政府は、「北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結する方針」に変わりはないとしています。

 

東方経済フォーラム会場である極東連邦大学。この場で、プーチン大統領の大胆な「提案」が行われた。FEFU press center. DaBler

 
 北方領土の返還について、ロシア側はこれまでにも1956年の日ソ共同宣言での、平和条約締結後の二島返還という立場を維持してきました。

 これまで20回以上の日露首脳会談を行ってきたプーチン大統領と安倍首相ですが、いっこうに結論が出ない中、プーチン側が「動いた」のです。

 

プーチンの提案に日本は迷いなく乗るべきだった

 プーチン大統領は日本に秋波を送りつつ、中国と日本を天秤にかけているかのようです。ロシアが2014年にウクライナにあるクリミアを編入して以降、欧米、日本は、ロシアに対する経済制裁を行いました。その結果、ロシアと中国が接近。プーチン氏は、東方経済フォーラムに初めて招待した習近平氏と一緒にクレープを食べる姿を見せ、蜜月ぶりをPRしています。

 大川隆法・幸福実現党総裁は、2016年の講演「繁栄への決断」において、「日本がロシア制裁に参加したために、北方領土は遠のいた」と指摘しています。また、大川総裁は12年以降、プーチン大統領の守護霊霊言を4回収録してきました。その中で、「中国ではなく、日本と協力して極東の経済開発をしたい」「日本との話し合いが北方領土問題ばかりだと話が進まない」として、「まず平和条約を締結したい」との本音が明らかになっています。

 また、日米同盟が存在する以上、ロシアの立場でいえば、平和条約の締結前に返還した場合、「米軍が北方領土をミサイル基地に変える」といった結末も懸念されます。


繁栄への決断

2016年12月23日発刊
『繁栄への決断』
大川隆法著
幸福の科学出版刊


ロシア・プーチン新大統領と帝国の未来

2012年4月5日発刊
『ロシア・プーチン新大統領と帝国の未来』
大川隆法著
幸福実現党刊

 

中国は、アメリカを抜いて世界を支配しようとしている

 中国は、2020年代に経済規模でアメリカを抜くことを目指しています。軍事費も拡張させ、2049年までには軍事的にも世界一になるという戦略で進んでいます。そうなれば、アジアの海をハワイまで支配するのは中国となります。

 ロシアに対して、EUとアメリカ、日本が経済制裁を行っても、中露を接近させるだけになり、意味がありません。

 2025年から50年にかけて、中国対日米のアジアの制海権を握る戦いが行われると予想すれば、ロシアを味方につけるという意味で日露平和条約は大きな意味を持ちます。日本との経済・安全保障上の協力を深める中で、北方領土にあるロシア軍事基地も、中国から日本を守るものになります。

 

ドイツが中国の「餌食」に

 中国は「一帯一路構想」を進め、アジアからヨーロッパまでを中国の経済的植民地に変えようとしており、EUに急速に接近しています。EUのトップ国であるドイツは貿易額で中国が1位となっています。ドイツが、EUと中国を結びつけようとしているため、ここにも楔を打ち込む必要があります。

 しかも、ドイツでは旧日本軍の「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」などがあったかのように報じられ、安倍政権も「ファシズム化政権」などとみられています。中国・韓国によるプロパガンダがそのまま報じられ、反日感情があおられているのです。

 ドイツでは、トランプ大統領も「自由貿易の破壊者」などと批判されていますが、中国に関税をかけ、貿易黒字を消し込もうとしている今のアメリカの動きは、まさにナチスのように侵略を狙う中国を封じ込めるためのものです。

 日露の接近と、EUと中国の離間策で、一帯一路構想を挫折させ、中国経済を軍事予算削減に向かわせなければなりません。幸福実現党としては、ロシアと無条件で平和条約を結ぶべきと考えます。友好と話し合いを深める中で、北方領土問題を解決するべきです。この決断は、プーチン─安倍時代に行うべきでしょう。

ドイツが中国の「餌食」に

photocosmos1 / Shutterstock.com

 


 

北朝鮮を西側へ迎えるために

経済的に中国と北朝鮮を分離させよ

 
 9月22日に韓国と北朝鮮の南北首脳会談が行われた際に、北朝鮮の金正恩委員長が公の場で初めて、「トランプ大統領の一期目に非核化を実現したい」と発言したと、韓国大統領府が発表しています。6月の米朝合意締結の後、北朝鮮とアメリカとの交渉が続いていますが、目立った進捗はみられず、米朝は今年中にも2度目の米朝会談を行う方向であると報じられています。

 

経済支援は、非核化後──米
拉致被害者の帰国後──日

 北朝鮮の非核化は、北朝鮮に全ての核関連施設の申告や国際機関の査察受け入れ、核兵器や関連工場など一切の廃棄、核関連物質を国外に搬出、実行の確認により進められます。トランプ大統領は、非核化が確認された後の経済支援を表明しています。

 そんな中、日本の安倍首相は国連総会に出発する前日の23日に「全拉致被害者の即時一括帰国を!」集会に出席。被害者の帰国の実現を経済支援の条件としています。

 

北朝鮮を西側へ迎え入れるために、日本の取るべき態度

 北朝鮮をめぐる問題において、拉致被害者の帰国が重要であるのは言うまでもありません。ただ、アメリカ主導で北朝鮮の経済開放・復興を焦点として交渉している中、日本が拉致問題に固執した場合、足並みがそろわない恐れがあります。北朝鮮国内の強硬派にクーデターを起こさせるような動きは避けなければなりません。

 トランプ氏は非核化の過程で、当面は金正恩体制を続けたまま、経済的に開国させ、西側へと迎え入れる方向を取っています。北朝鮮が平和裡に解体され、日本などへのボートピープルを出さない方向で事態を着地させる必要があります。そのために、日本の交渉の優先順位は間違わないようにせねばなりません。

 

北朝鮮の民主化の最大の好機

 金正恩氏は南北首脳会談で、「発展した国に比べると、われわれの宿舎はみすぼらしいでしょう」と発言しました。経済発展への意欲を上手に生かし、これまで経済的にも後ろ盾になってきた中国と距離が生まれるよう、日本も民主化・自由化に協力する必要があります。

 わが党としては、トランプ大統領の任期中に北朝鮮の完全核兵器解除を確実にすすめ、日米主導で民主化・自由化を行う中で、中国と北朝鮮を経済的に分離させる必要があると考えます。

 


 

台湾・香港の危機は、日本の危機

──バチカンの敗北

 
 バチカンが中国の宗教弾圧に押されています。

 カトリック司教の指名を政府が管理していたことで、中国はバチカンと対立していました。このたび、中国とバチカンとの暫定合意が結ばれ、「中国側の提示した司教候補を法王が最終決定する」制度が始まる見込みです。

 

バチカンが台湾を見捨てる日

カトリックの総本山、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂。

カトリックの総本山、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂。(Photo by Lora Beebe)

 中国では政府に認められた教会しか存在できず、管轄外にある「地下教会」の信者が弾圧されるなど、宗教の自由が事実上、認められていません。

 今回の合意の内容は明らかになっていませんが、中国との国交正常化に向かっているとみられます。これまで中国は、バチカンとの合意に向けて「台湾が中国に帰属することを認める」ことなどを要請していました。

 バチカンはヨーロッパで唯一、台湾と国交のある国です。今回の合意でバチカンが台湾と断交する恐れがあるとして、台湾はバチカンに政権幹部を派遣することを決めています。

 今回のバチカンとの合意に、香港の民主活動家である元カトリック司教も危惧を表明しています。香港ではカトリック信者が民主化・自由化運動を率いています。「バチカンが中国政府に従う」となれば、香港にも宗教弾圧の波が押し寄せてきます。このままではまもなく、香港・台湾占領作戦が具体化していく恐れがあります。

 

台湾に味方し、沖縄を守れ

台湾の蔡英文総統。

台湾の蔡英文総統。stepmorem / Shutterstock.com

 台湾を取り巻く危機は、もう一段階、深刻なものとなりました。日本としては、台湾防衛・独立支援を進める必要があります。わが党はかねてより日本と台湾との国交回復や独立国家としての承認を目指すべきと訴えてきました。経済・安全保障関係の協力をさらに深める必要もあります。

 また、沖縄の防衛ももう一段強めなければなりません。米軍基地への反対が沖縄知事選の焦点にもなっていますが、現時点で米軍基地が撤退すれば、台湾、そして沖縄への中国進出を呼び込むことになってしまいます。米軍普天間基地の辺野古への移転を速やかに実現し、日米同盟を強固なものにする必要があります。

 また、日本は憲法改正を進め、自分の国は自分で守れる体制を早急に作らねばなりません。防衛省は2019年度の防衛予算にマッハ5以上の速度で飛行し、相手のレーダー網などをくぐり抜ける「極超音速巡航ミサイル」の研究開発費を要求しました。これは防衛力を高め、米軍との協力を強めるために必要な施策と考えます。

 あらゆる状況から考えて、日本はアメリカと歩調を合わせつつ、「中国包囲網」を軸に外交・安全保障政策を組み立てる必要があります。「自由・民主・信仰」を重んじる国家の連帯が必要な時です。

 

参考(幸福実現NEWS 平成30年9月27日 特別号 )

「日露平和条約」 締結が最優先

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