【THE FACT】「マスコミが報道しない中国の人権弾圧」

ザ・ファクト公開セミナーin大阪 奥津貴之(ザ・ファクトプロデューサー) ✕ 数森圭吾(幸福実現党大阪府本部統括支部長)

ザ・ファクト公開セミナーin大阪「マスコミが報道しない中国の人権弾圧」

奥津貴之(ザ・ファクトプロデューサー) ✕ 数森圭吾(幸福実現党大阪府本部統括支部長)

 
いま中国国内では、中国共産党政府による激しい弾圧が行われています。
しかし被害者が声を上げるものの、日本の大手メディアではほとんど伝えることはありません。
ザ・ファクトではこれまでに弾圧を受けた当事者を中心に関係者への取材をしてきました。

今回、2018年9月2日に大阪の寝屋川市立市民会館で開催されたザ・ファクトセミナーの公開収録で、その事実の一端をご紹介しました。

 

【出演】

奥津さんと数森さん

奥津貴之(ザ・ファクトプロデューサー)
数森圭吾(幸福実現党大阪府本部統括支部長)

 

ザ・ファクト公開セミナー in 大阪「マスコミが報道しない中国の人権弾圧」

奥津:今日のテーマは「中国の人権弾圧について」です。FACTでも、ずっと中国の問題についてはやりたかったんですが、なかなか人気が出なかったんですよ。それが最近、中国のこういう問題を採り上げると、結構見られるようになってきて。随分意識が変わってきたのかなと感じます。

数森:それは、やっぱり中国の怖さみたいなものを、知る人が増えたということなんですか。

奥津:そうだと思います。それこそ、FACTを始めた頃やもう少し前までですと、例えば中国は危険だから、ちゃんと日本も備えなきゃいけない。備えることによって、危険がなくなるんだということを言っても、「何言ってるんですか。攻めてくるわけない」。尖閣の話ですね。尖閣を実際に取りに来るわけないじゃないか、みたいな話をされていたんですが、最近のいろいろな流れで、「ちょっと本当に危ないかも」という。

数森:危機感を感じる人が増えてきたんですね。実は最近、ちょっとおもしろい話があって。僕の知り合いの中国人の方が、中国料理屋さんを経営されているんですけど、久々にそこに食べに行ったんですよ。そうしたら、その私の知り合いの方が、私が政治関係の仕事をしているというのを知っているので、「どうですか、最近」と聞いたら、その方はつい最近、中国に帰ったらしいんですね。北京のほうに家を持ってらっしゃるんですが、そうしたら習近平体制に変わってから、現地に帰った時の締め付けがむちゃくちゃひどくなっていると。すごく強烈になっていると言っていました。だから、LINEも向こうでは使えないんですね。中国独自の、中国が監視できる……

奥津:中国はWeChatというのがありますね。

数森:本当に怖いなと思いましたし、「プーさん」も禁止でしたっけ?

奥津:「プーさん」禁止です。「プーさん」を検索できないんですよ。それは習近平に似ていると言われるので、検索できない。中国という国は、皆さん、読まれていないと思いますが「進撃の巨人」という漫画があるんですよ。「進撃の巨人」というのはどういう話かというと、高い壁に囲まれた国があるわけです。その中に人類が生きていて、その壁の外には巨人がいて、その壁の外の人たちはみんな巨人によって殺されてしまったのだと。人間は我々しかいないのだ、と教えられて生きてきたわけです。でも、話が進むうちに、実はそうでもなくて、他にもいろいろ国があるということがわかってくる──という話なんです。

 この高い壁に囲まれている国というのが、中国なのかなと。というのは、要するに、高い壁に囲まれることによって、さっき、LINEが使えないと言いましたけど、Googleも使えないわけです。いわゆる日本で使えるような普通のインターネットが使えないんですね。中国独自のインターネットを使うんです。検索できない言葉は、さっきの「プーさん」だけではなくて、たくさんあるんです。

 それはどういうことかというと、国民を高い壁の中に囲い込んで、外国はどういう国かというのを、わからなくしているんですね。だから、中国の人たちは、日本やアメリカという巨人がいるんだと。あいつらはちょっと油断すると、またここを攻めてくるから、もっとちゃんとやらなきゃいけないんだと。そういうふうにやっている。

 そしてそれだけではなく、そこにいる人たちを監視して、それこそ「プーさん」で検索すると「あいつはプーさんと入れた」と捕まってしまう。

数森:わかるんですね。

奥津:最近は、習近平のポスターに墨汁をかけた人がいて、それをTwitterでネットにあげたんですけど、その人はすぐに捕まって、はじめは行方不明になった。結局、今は精神病院に入れられている状態、軟禁状態になっている、そういう国ですね。中の人も大きい壁があるから、外のことが見えませんけど、逆に外にいる我々にも高い壁があるので、中のことがよくわからないんですよ。それが中国という国です。

数森:なるほど。では、外も見ていないし、中で独自の生活が営まれていて。逆に外からも、何をしているか見えない。

奥津:だから今、だんだん裕福になっているじゃないですか。ハリウッドとかにも投資しているので、どんどん中国にも出てきていますよね。だから、意外といい国なんじゃないか、みたいな。

数森:アジア圏でも、結構怖いんですよね。「一帯一路」といって、中国がアジア圏の影響力を強めようとして、今、習近平体制でやっていますが、あれも相当なお金を発展途上国に投資して、その分、土地をもらい受けたり借り受けたりしてるんですね。

奥津:投資というか、借金。

数森:そう、金貸し。

奥津:「いいよ、いいよ、お金は出しますよ」と言って、別にあげているわけじゃなくて、借金として持っておいて。借金のかたに「この土地、もらうよ」と土地や港をもらったり。

数森:あのやり方は、エグいですね。

奥津:ヤミ金ですよね。

数森:こんな中国が、国内では人権弾圧をめちゃくちゃやっているということですが。

奥津:それが今回のテーマです。まず1つはウィグル問題。もう1つは宗教弾圧。もう1つは、臓器狩り。それらについてお話ししたいと思います。

 

中国とウイグル問題とは?

数森:まずウイグル問題というのは、どういう問題ですか。

奥津:ウイグルというのは、もともと東トルキスタンという国だったんです。そこを中国に攻められて、今、中国(の一部)ですと言われているんですけど、そこでずっと迫害はあったんです。2016年に、ウイグル自治区のトップが陳全国という人に替わって以来、弾圧が桁違いに厳しくなっているというのが、今の状況です。「再教育キャンプ」という名前の、いわゆる強制収容所ができていて、そこに100万人とも300万人とも言われるウイグル人が入れられているというのが、今の状況です。

数森:ウイグル自治区と聞くと、基本的にそこに住まわれていた方々が「自治国家」として運営しているのかと思いきや、最近トップになったという陳全国さんは、お話を聞くと完全に中国の人間が来ているということですね。

奥津:そうです。

数森:「自治区」と言われているけれど、自治権なんかないということですね。

奥津:そうですね。自治権というのは、ないですね。普通の省と一緒です。自治権はないですし、そこには漢人がたくさん入ってきて、仕事を奪ったりしていますし。警察は半分ぐらいはウイグル人なんですが、それ以外は漢人がいるので、基本的に漢人に管理されている。大きなオリですよね。それがウイグルです。そもそもウイグルはどんな所なのかというのを、VTRで見ていただきます。

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 この緑のところがウイグル自治区で、東トルキスタンが自治区になった。これはイスラム教のモスクです。基本的にイスラム教の国だったわけです。だから、ご覧いただくとわかるように、ちょっと中東っぽい感じがしますね。明らかに顔の感じも中東系、トルコ系の顔だと思います。こういう帽子をかぶったり。公園でバトミントンをしたり、バスケットボールをしたり、楽しくやっているんですけれども、ちょっとこの奥を見ていただくと、このように警察が見張っているんです。要するに、人が集まるとそこで暴動を起こすかもしれないということで、見張っています。これも、こういうふうに監視カメラが至る所にあり、それ以外にも警察車両がずっと並んでいたり、とにかく警察が至る所にいます。

 日本の警察みたいな警察ではなくて、武装警察ですね。拳銃やライフルを持っています。これはたまたま、その公園に公安と救急車が来て、実際に何が起こったのかはわからなかったんですけれども、かなり騒然としていました。

 これは私が5年前の2013年、実際にウイグルに行ったことがあって、その時の映像です。

数森:かなり物々しい感じですね。あそこまで監視されてるんですか。

奥津:そうですね。大きい通りの交差点ごとに警官が立っているというよりは、テントみたいなものを出して、そこにずっと座っていて。武装車の上にいたり。特にその時は天安門前でウイグル人が抗議の焼身自殺をしたという事件があって、厳戒態勢が敷かれていたということです。とにかく警官の数が尋常ではない。

数森:この映像は2013年ですね。陳全国さんという強権を発動されている方が終任したのは、一昨年ですね。ということは、今はこの映像の時よりも、もっとひどくなっている?

奥津:そうです。このあと見ていただくビデオで、たくさんのウイグル人にインタビューした映像があります。5年前から結構厳しかったですが、もう全然そんなのは比じゃないよと。まったく変わっていると。あと、技術的にもどんどん進化していますので、監視が半端じゃない状態のようです。ご覧いただきましょう。

 

 
ナレーター:中国新疆ウイグル自治区。この地区に住む数百万人のウイグル人に対して、激しい中国政府の弾圧が行われている。その弾圧の方法とは。再教育キャンプと呼ばれる強制収容所。これらの施設に、数百万人のウイグル人を収容し、中国共産党への忠誠を強いる教育を行っているという。

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日本で働いて10年目のウイグル人

カミル氏(仮名):名前はキャンプとは言ってるけど、実際は刑務所よりもひどい。有名な人たちは、みんな死んでるんですね。

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大学院に通うウイグル人留学生

オスマン氏(仮名):罪があるかないかは、関係ないです。ウイグル人だったら、これは罪です。

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ナレーター:この歴史上、類を見ない政府による大弾圧に対し、アメリカ政府からも批判の声が上がっている。

ペンス副大統領:中国政府は、数十万、数百万の規模で、イスラム教徒のウイグル族を「再教育キャンプ」に収容し、24時間一睡もさせず、政治的な洗脳を強いている。

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日本ウイグル連盟会長 トゥール・ムハメット氏:何百体、何千体の遺体を焼却できるような大規模な焼却炉施設を造ってるんです。今逮捕している300万人のウイグル人を焼却処分する施設なんです。

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ナレーター:今回、The FACTは、月刊「ザ・リバティ」の綾織次郎編集長とともに、日本に住む4人のウイグル人に話を聴いた。

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綾織:ご家族の中で、収容所に入れられている方がいらっしゃるわけですか。

ナスリ氏:3人います。お母さんは、生きているか、どこにいるかわからない。

カミル氏:何人か向こうで聞いたら(知人が)収容キャンプに入れられたり、私の家族も弟も入れられたいたいで、直接連絡が取れないからわからない。いろいろ来てるか死んでるか、うちの親たちもわからない状態。

オスマン氏:私も2017年の9月、中国共産党の19回党大会の前、家族と1回連絡できて、その時から、今は全然連絡はできない状況です。

カミル氏:日本に留学していた知り合いの方で、日本の会社に就職して、後年の12月頃、出張で北京に行って、(空港で)降りた時点で公安に拘束されて、それから行方不明になった。あの子は名前はウイグル人だけど、言葉はわからない。イスラム教もわからない。完全に中国人になってる。頭も共産主義で、友達も全部中国人で、イスラムのことも好きじゃない。そういう状態で育ってきた子だったけど、逮捕された。

オスマン氏:罪があるかないかは、関係ないです。(中国では)ウイグル人だったら、これは罪です。

ナレーター:今、ウイグル自治区では、思想や宗教に関係なく、ウイグル人というだけで収容所に入れられているという。その理由は、何なのか。

オスマン氏:今、1980年代生まれと1990年代生まれのウイグル人は、危険人物と言われているみたいです。若者は。彼らを対象にして、すべて収容所に入らせたみたいです。評価する時に、80年代生まれの人は難点、90年代生まれの人は何点、海外に親戚がいる人は何点、宗教で毎日お祈りする人は何点とか、たくさん点数があるみたいです。マイナスの点数が高いほど、先に収容所に入らせるんです。

 

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 (逮捕される)もう一つの理由としては、2017年頃から(ウイグル自治区で)パスポートの取得が急に簡単になったんです。(役所から)ウイグル人に「パスポートを作りなさい」と言われて、たくさんの人がパスポートを作ったみたいです。作ったんですけど、その後でパスポートを作った人すべてを、収容所に入れています。誰が作ったかをチェックして、すべての人、海外に行っても行かなくても、「何の目的で作ったんですか」って。

綾織:再教育キャンプの中では、何が行われている?

カミル氏:名前はキャンプと言っているけど、実際は刑務所よりひどい。有名な人たちはみんな死んでるんですね。お金持ちの企業家たちとか、イスラムのコーランを翻訳した人とか、
先生たち。

オスマン氏:収容所の話を聴いたら、何平米の部屋で何十人も交代で寝てるって話、聞いてるんです。寝れないから。一部の人が別の場所で待っていて、(残りの人が)何時間寝てから、立って交代で寝てるって。

 私たちは今、日本のペットのような価値観もないんですよ。中国人は私たちを、人と思わないんです。

トゥール氏:今、中国が何をやっているかと言いますと、各地にナチスのガス室に似たような焼却施設を作っているんです。これは、逮捕している300万人のウイグル人を焼却処分する施設なんです。ヒトラーはガス室だったけれども、彼らは電気炉ですね。

ナレーター:さらに、中国政府の弾圧は、ウイグル人の言語にも及んでいるという。

──:昔、私たちの時代は、ウイグル語があったんですよ。今はウイグル語は、完全に教えないようにしている。

──:この状況を全世界の人々に知ってほしいんです。日本人、すべての人に知らせて、知ってほしいんです。中国でこんな状況が起きていることを、ほとんどの人が知らないんです。

──:日本人は歴史上、ユダヤ人を助けたこと、満州でユダヤ人の国をつくろうとしたことがありました。ウイグル人に対しても、日本で暮らすことができるように、法律面で何かしてほしいです。

トゥール氏:中国は、体制はファシスト体制だし、もうすでにファシストそのものになってるんです。中国は今。ウイグル人は、中華ファシズムの最初の犠牲になっているけれども、じゃあ今度、我々が片付けられたら今度は中央アジアが待っているし、東南アジアが待っているし、それから南シナ海、台湾、こっちは日本、もうみんな餌食ですよ。だから、ウイグル人の問題はウイグル人で終わるのだと思ったら、それは大間違いです。これはウイグル人を助けたいんじゃなくて、日本をいかに守るかという問題です。この自由・民主をいかに守るのか。このアジアの平和をいかに守るのか。地球の平和をいかに守るのか。こういう大きな問題につながっていくわけです。

数森:これは衝撃的ですね。刑務所よりひどい所に、何の罪もない人たちが入れられているということですね。

奥津:理由がわからない。完全にウイグル人だからという理由で入れられているということです。

数森:これは、人権弾圧というレベルを超えているんじゃないかと思います。

奥津:一つは、トップが替わって、この人がもともと習近平と違う派閥に属していた人なんですけど、習近平の言うことをききますよというアピールをして、それで点数を稼いでいるんじゃないかと言われていて。去年、大きな政府の役員人事が中国であったのですが、この人は政治委員に抜擢されているんです。

数森:昇進したんですね。

奥津:実績を作って。

数森:自分の出世のために国民を政治利用している。人権なんか、そんなところにないんですね。

奥津:中国にとって一番大事なのは、国が分裂しないことなんですよ。それはもちろん、漢民族と言われている中国の主流派の人たちがいますけれども、その中でもそうなんですけれども、ましてや人種の違う人たち、ウイグルとかチベットとか内モンゴル、そういうような人たちを監視して、とにかく分裂させないようにしている。
 ましてやウイグルというのは、さっき地図で見ましたが、中国の一番西の端ですね。ここは今、中国が進めている一帯一路──一帯一路には、陸上の道が三つあるんです。一つはロシアのほうに抜けていく道。その重要な道の二つは、ウイグルを通って中東やヨーロッパにその鉄道が続いていくんですね。だから、ここの治安をちゃんと抑えておかないといけないというので、こういうことが進められているんじゃないかという話もあります。

数森:覇権を握るための種まきをしている状態でもあるということですかね。本当に、でもこういうことを平気でする国ということを考えると、はっきり言って、勝機があれば尖閣を取りに来るとか、沖縄を狙いに来ることも有り得ますよね。だって、ウイグルは他の国だったわけですよね。

奥津:そうです。日本のような自由と民主主義の国がありますね。日本もそうだし、アメリカもヨーロッパ諸国もだいたいそうです。中国という国自体は、そういう国への挑戦なんですよ。どういうことかというと、中国にはそもそも選挙がないですから、中国がどういうことをやろうとしているかというと、独裁だろうが、全体主義だろうが、それによって国が強く豊かになれば、結局は中国の人たちは得しているでしょう、暮らしは豊かになっているでしょうと。他の国をとったりということも含めて、それによって資源が手に入って豊かになっている。その何が悪いんだ、というのが中国の考え方です。
 そこで、本音はそうだけど、あまりにも他の国の反発が強い時は、ちょっと引っ込めたりするけれど、基本的にこういう考え方です。

数森:結局、豊かになってるだろうと言いますけど、そこまでいく段階で人々の自由も制限されて、下手したら人権まで侵害される。これはちょっと論理が飛躍している感じがします。

奥津:要するに、この秩序の中で政治的なことに口出しせずに、我々の方針に従っていれば、要するに家畜ですよね。家畜として生きるんだったら、あなたたちは幸せに生きられるし豊かになるんだから、逆らわずに生きろよというのが中国の考え方。ただ、ウイグルの人たちは別に逆らってもいないのに、収容所に入れられている。それが怖いところなんです。そういう国なので、例えば日本に攻めてもアメリカは何も言わないかなと思っていたら、攻めてきますよ。それに対しては、何をしなきゃいけないのかというと、さっき壁に囲まれていると言いましたが、このウイグルの話も日本ではほとんど報道されていない。その隠れていたことを、メディアは明らかにしなきゃいけないですね。それと当時にメディアではない我々一人ひとりも、そういうことに対してちゃんと意識を向ける。さっき数森さんが言いましたけど、「豊かになってるんだからいいだろう」と言ってるけど、いや、よくないです。中国からすると、一人ひとりは「道具」なんですよ。国を豊かにしていく、中国共産党が繁栄していくための道具として、一人ひとりがあるという考え方なんです。

数森:それが、全体主義ですよね。全体のためだったら、個人が犠牲になることもいとわないと。

奥津:だけど、民主主義は逆ですよね。一人ひとりが目的なのだと。一人ひとりが主人公で、その人たちがより幸福に暮らすためには、どうしたらいいのかということなので。そういうほうが、本当は幸せだよね。豊かになるからいいだろうと言ってるけど、例えばウイグルの人たちは、よくないじゃないかということを声に出していくことが、やはり大事なのかなと思います。

数森:日本を同じようにしたくないという思いも、ありますね。あと、宗教弾圧と臓器狩りについて、簡単に聞きたいんですけども、宗教弾圧に関しては、キリスト教の教会がつぶされたりしていますね。

 

中国は共産党という宗教を信じないといけない?

奥津:つぶされています。これは教会が破壊されている様子です。共産党自体がある種の宗教、神様のいない宗教で、共産党を信じろだったり、習近平に関しても、もともと十字架がかかっていたのを外されて、そこに毛沢東と習近平の写真やポスターを貼れと。この教会も、このように破壊されてしまって、それに反対して戦った信徒の皆さんは捕まってしまった。こういうことがどんどん起きています。

 

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 この人は牧師さんで、今アメリカに亡命して、こういう事実があることを訴えている。信徒の皆さんも、教会を破壊するなら我々も死ぬと1カ月ほど抗議したけれど、結局は捕まったり追い出されてしまったと。そういうことが実際に起きている。

数森:日本では当たり前で、憲法にも書かれている信教の自由が、まったく認められていないわけですね。

奥津:そうですね。

 

臓器狩り‐人間はいけすの魚と同じ

数森:臓器狩りに至っては、これは本当に犯罪ですよね。

奥津:そうですね。臓器狩りとは何かというと、臓器移植というのがあるじゃないですか。例えば私が心臓疾患で、誰かの心臓を移植しないと生きていけないという時に、「私は臓器移植したいんです」と手を挙げます。そうすると、「私は臓器移植してもいいですよ」という人の中から、私の体質とマッチする人が出てきた場合に、はじめて手術ができるんです。それってどういうことかというと、何年も待たなきゃいけないということです。手を挙げて、じゃあ1年後というわけにはいかなくて、長い人だと10年、20年待たなければいけない人もいる。その間に亡くなってしまう人もいるわけです。というのが臓器移植です。

 中国では、イスラエルのお医者さんが心臓の臓器移植のスペシャリストで、「先生、私ちょっと中国で心臓移植してきます」「何言ってるんだ。相手がいないとすぐに移植なんかできない」「いや、でも2週間でできると聞いたので、中国に行ってきます」と、実際にその人は行ってきて、2週間で心臓移植して帰ってきたんです。

 これはどういうことかというと、活き造りと一緒です。お魚をいけすに囲っていて、刺身ください、この魚をくださいと言ったら、そこでさばいてということがありますね。それと同じように、収容所の中にいる人たちを、例えば心臓が必要だというと、1人それ用に殺すわけです。死刑ですね。死刑にしたところ、たまたま臓器が残っているので、その臓器を移植しますということが行われているという話が、ずっと都市伝説としては伝わっていたんですけれど、これが実際に行われているということが、だんだん明らかになっています。

 要するに、これって臓器を提供する人たちが一定の数、いるわけです。提供したいわけじゃないんですけどね。

数森:ドナーなわけじゃないですよ。

奥津:ドナーではないんですが、そういう人たちが一定の量確保できれば、これは儲かるわけですよ。

数森:ああ、そういうことですか。お金になる。

奥津:だから、どんどんいろいろな病院が、新しくなって。移植手術ができる施設がどんどんできているんです。

数森:それって、現代版の人身売買。

奥津:人身売買というか、鬼婆というか。

数森:人を身ぐるみ剥いでというやつですよね。ウイグルの強制収容所に入っている数百万の人たちは、ウイグル人というだけで罪にされている。そういうまったく何もしていない、犯罪者でも何でもない人たちが、強制的に国家の資金稼ぎも含めて、強制的にドナーにさせられていると。

奥津:そうです。これがおかしいのは、そういうおかしな人たちがいて、マフィアでお金が儲かるからといってそういうことを闇で臓器狩りをしているというのなら、百歩譲ってわかりますよね。犯罪集団がやっているんだから。全部、国ぐるみでやっているわけですよ。国ぐるみというか、共産党の国なわけです。日本と違うのでややこしいんですが、国というよりも、共産党の人たちが支配している国で、その人たちが自分の私腹を肥やすために、給料もそんなに高くないので、いろいろビジネスをやっているんです。その賄賂とかも、すごくたくさんやっている国で、その一環として、これは病院が儲かるじゃないのとやってるんです。

数森:でも、確実に強制収容所から、その臓器が流れてきている。そのルートがある以上は、政府も黙認しているというか、加担している可能性がありますね。

奥津:黙認というか、許可と表だってはいわないまでも、取り締まっているということはないわけです。

数森:ルールどおりに政治犯が処刑されて、その臓器を有効利用しているぐらいに言うわけですね。

奥津:さっき、生き作りと言いましたけど、完全に死んでしまうと心臓が止まるわけじゃないですか。そうすると、「生きが悪くなる」わけですよ。だからひどいことを考えて、装置を作って、こめかみに鉄の玉が当たる機械。それをすることによって、心臓は止まらないんだけど脳死状態になる。その状態にして臓器を取るということ。これは悪魔ですよ、本当に。

数森:えげつないですね。例えばウイグルの人たちって、そんな目にあってるわけじゃないですか。でも、一つ海を越えたら、極端な話、アメリカもこれを助けない。他の国も助けに来ないから、今、日本を攻めたら中国は日本をとれるぞと判断して、もし日本が取られたとするじゃないですか。今も何も抵抗する手立ても持ってませんからね。すると、日本自治区みたいになるわけですね。そうしたら日本にも強制収容所がたくさん建てられて。

奥津:当然、想定内です。

数森:つまり、日本を自分たちで守れなかったら、ウイグルで起こっているこんなひどいことが、我々の身近でも起こる可能性があるということですね。

奥津:全然有り得ると思います。

数森:ぞっとします。

奥津:国が強くなって富めばいいじゃないかと言いましたけど、全然よくないよねという話ですよ。なので、ここら辺はやはり働きかけていくと同時に、日本もそういうことに対して対抗できるだけの力を持たないといけないと思います。

数森:これを見て、まだ手放しで対話をすればいいという政治家がいたら、本当に馬鹿げてるなと思いますよ。

奥津:仕組み自体がおかしいから、こういうことがまかり通っているわけですよね。人を殺して臓器を移植するとか、全然罪もない人を人種がウイグル人だというだけで収容所に入れるとか、全部おかしいわけですよ。他の国だと犯罪ですよ。それを国ぐるみでやっている。国ごと逮捕ですよ。なのに、それがまかり通っているおかしな仕組みなので、それ自体を変えなければこの問題は解決しない。それは、別に中国人の人たちが人種的にそうだ、ということではないんです。

数森:共産党の考え方が。

奥津:共産党の仕組みと、今のやり方が間違っていて。それは明らかに人々を不幸にすることなので、それは止めないといけないし、それに対しては我々も微力ながら発言していかなければいけないかなと思います。

数森:こんなウイグルの現状、そして宗教弾圧、臓器狩り、これはニュースで見たことないですね。一部、NHKなどでありましたけど。臓器狩りはほとんどないですね。

奥津:臓器狩りでターゲットになっているのが、法輪功という気功団体、宗教団体ですね。法輪功とキリスト教徒、そしてウイグル、チベット人、そこら辺の人たち。この体制に対して危険だと言われている人たちが、いろいろな理由で収容所に入れられて、そういう臓器狩りをされているということです。
 僕はこの話を聞いた時に、怖さしかないのと、あと、日本を守らなければいけないという意識、これに尽きるなと思いましたし、もっと言うならば、日本はアジアのリーダーとして、こういうとんでもない犯罪が国家ぐるみで行われている状況を、やはり止めないといけないですよね。

奥津:本当に、人間として止めたいですね。

数森:そうですよね。お隣ですよ。お隣でこんなことが行われているという、この状況を知るだけでも違います。

奥津:台湾に取材に行ったり、チベットのダライ・ラマがチベットに亡命して、亡命政府というのを作っているんですが、そういうところに取材に行く時に言われたこととして、日本はもうちょっと頑張ってくれと。日本以外に中国に対抗できる力を持つ国は、アジアにはないのだから、リーダーとして立ち上がってくれと。これは本当に胸に残っていますね。実際、本当は日本にはそういう責任がある。アメリカは他の国に対しても、口を出すことがありますね。それは単純に、自分の力でいいようにするということではなくて、世界のリーダーとしての責任感があると思うんです。そういう部分は日本も持っていかなければいけないと思います。

 

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