【政務調査会】「緊急事態宣言」対象地域の全国への拡大について

新型コロナウィルス対策

幸福実現党政調会

2020年4月17日

安倍晋三首相は16日、新型コロナウィルスに対処する特別措置法に基づく「緊急事態宣言」について、その対象を全国に拡大することを表明しました。その期間は、すでに対象となっている7都府県と同様、来月6日までとなります。

対象地域の拡大に至った背景には、これから迎える大型連休を踏まえ、安倍首相が「都市部からの人の移動でクラスター(感染者集団)が各地で発生」する恐れがあると指摘しているように、今後、感染拡大の動きが全国に広がりかねないとの懸念があります。

ただ、緊急事態宣言の全国への拡大は、かえって国民の生命や財産を侵害する可能性が高いと考えます。

 

経済的ダメージが甚大に及ぶ恐れ

緊急事態宣言の対象地域となると、都道府県知事は、事業者への休業要請・指示ができるようになります。要請・指示に従わない場合には罰則が伴うわけではありませんが、その事業者名が公表されることもあって、一定の強制力を有すると考えられます。その他、臨時の医療施設の開設のため、所有者の同意なしに土地や建物を使えるようになるなど、地域が宣言の対象に含まれることで、国民の持つ様々な権利に大きな制約が課されることになります。

東京都では、感染者は今月15日時点で2446名(死者数は53名)にまで至っていますが、岩手県ではいまだに感染者が確認されていません。感染者数は地域によって大きな差があり、医療崩壊に対する懸念は、地域によって開きがあるのも事実でしょう。

対象地域外への人の移動によってクラスターが発生するという懸念についても、現行法の下では、緊急事態宣言を出したところで強制力を持って移動の自由を制限できるわけではありません。むしろ経済活動が大きく委縮することで、企業の連鎖倒産やそれに伴う自殺を誘発させるなど、国全体に甚大なダメージを与えかねません。短期間の収束は難しいとする見方もあり、東京都で実施されているような、不要不急の外出の自粛要請や一部休業要請のようなレベルの規制を、全国に広げることは決して合理的ではありません。

なお、複数の政府関係者が、対象地域を全国に広げることで、国民一人当たり現金10万円の一律給付策を行う理由づけになると語ったとする報道もあります。しかし、給付金制度の実施のために緊急事態宣言があるのであれば、本末転倒も甚だしいところです。

一律給付は景気浮揚効果も見込めず、将来の増税につながるとして一層の将来不安を招きかねません。この施策は経済活動にさらなるブレーキをかけ、ダメージはより深刻になると言えます。内需喚起策としては、すべての家計が恩恵を受けられ、かつ経済に与えるインパクトが強い消費減税こそ望ましく、今こそ、税率5%以下への消費税率の引き下げを実施すべきです。

 

コロナ禍からの脱却に向けて

政府は、医療崩壊の予防措置としてオンライン診療の普及促進を行ったり、医療物資の十分な確保を図ったりするなど、万全な医療体制の整備を推進すべきですが、コロナ禍からの脱却に向けては、困難な道ではあるものの、医療と経済の両立を目指すことを前提にすべきです。

新型コロナの感染拡大阻止と経済的被害を最小限に食い止めるためには、政治として適切な対策を実施する必要があるのは言うまでもありませんが、その前提には、神仏の目を意識した為政者の謙虚な判断、そして信仰心に基づく祈りの心こそ必要であると信ずるものです。ウィルスに対する恐怖が蔓延する今、宗教政党として人々の苦しみに寄り添いながら、人々の心に灯をともすべく、活動を展開して参ります。

以上

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