移民政策に関する基本的な考え方について
(党政調会見解)
2021年5月15日
幸福実現党政務調査会
コロナ禍などによる情勢の変化を受け、現在、幸福実現党政調会は政策の見直しを進めております。その中で、問い合わせの多かった「移民」や「国家像」に対する、党政調会の現時点での基本的な考え方について、下記の通りまとめました。
1.リーダー国家としてのあるべき人口政策
人口(とりわけ労働力人口)が中長期的な経済成長を左右する重要な要因の一つとなっていることを踏まえると、昨今のわが国の人口減少傾向は国力低下に直結する可能性が高いと言えます。その傾向に歯止めをかけ、人口増加を目指すことは、国家永続のためにも避けては通れないと考えます。
人口増加に向けて、まず取り組むべきは出生率の向上策です。経済的負担を理由に出産を諦めなく、安心して子供を産み育てられる社会を目指します。少子化対策の次に取り組むべきなのが、移民受け入れに向けた制度設計です。
これまで幸福実現党は、少子化対策と親日移民の受け入れを進め、当面は「1億5千万人」を目標とし、将来的には「3億人国家を目指す(『2009年衆院選公約』などより)」としてきました。
しかし、同政策を掲げた当初と比べ、情勢は大きく変化しました。習近平国家主席就任後に中国は覇権主義を急速に拡大させ、同国がアジア諸国に影響を及ぼしていることにより「産業スパイ」が増加しました。さらに、コロナ禍により日本人の雇用が失われ、感染抑止のため、人の国際間移動にも制限が設けられている状況にあります。こうしたことを踏まえて、党政調会として、人口の数値目標に関しては見直しを行います。
ただ、人口減少傾向に歯止めをかけるべきとの考えには変わりありません。政治や経済、文化など各分野で、世界を牽引し得る新たな日本モデルをつくり、日本がさらなる発展を目指すためにも、アフターコロナを見据えて、「子育てしやすい環境」を整備するとともに、不法移民は日本に入れないよう厳格なルールを整備した上で、その条件を満たす適切な移民は一定程度受け入れるべきとの考えです。
2. 移民政策に関する基本的な考え方について
移民を積極化するにあたっては、健全な国家観・防衛意識を前提とすべきです。「自由・民主・信仰」の価値観を共有できる国々からの移民を受け入れて日本固有の文化を伝え、日本を正しく理解して親日感情を持つ人を世界に増やしていくとの観点なくして、本来、移民の受け入れは進めるべきではありません。
まず、入国管理を厳格化することで、外国人の無秩序な入国は抑止します。その上で、外国から労働者や永住者を受け入れる際には、経済状況や、最低限の日本語能力、あるいは日本への愛国度・忠誠度をチェックするなど、秩序ある移民政策実現のために、然るべき法整備を行う必要があります。
最低限のルールとして、「特定国への偏重や反日国、共産主義国からの移民は制限する」「受け入れ数の上限、国籍別の受け入れ枠を設定する」といったことは徹底されるべきです。また、外国人に対する参政権付与については、日本国民としての自覚・誇りを持つ国籍取得者のみに限るべきとの考えです 。
3. 日本の現状とその問題点
安倍晋三前首相のもと、2018年12月に「出入国管理法」が改正されました。政府はその際も「移民は受け入れない」との考えを示しましたが、この法改正を機に、現在、外国人労働者の流入数がなし崩し的に増加している状況にあります。国連による「移民」の定義を念頭においても、実質上、日本は既に「移民大国」であるとも考えられます。
近年は特に、外国人労働者の失踪、不法滞在なども顕著となっていますが、安い労働力を求めて結果的に不法移民を増やした政界と財界の責任は追及されるべきではないでしょうか。
移民の受け入れ体制やルールの徹底が不十分であり、スパイ防止法などが定められていないわが国において、大勢の外国人受け入れを容易に許してしまうことになれば、不法滞在者、中国人留学生のスパイ等の流入が一層進み、国益を大きく損ねかねないというのが実情です。
4. 難民について
一方、迫害のおそれなどから、自発的ではない形で祖国を追われた難民について、日本政府はこれまで受け入れに消極的な姿勢を示してきました。
現在、国会で審議されている入管難民法改正案に関して、難民認定の申請中は送還が停止されるとの規定について、それが適用されるのは新たに「2回まで」との制限が設けられるとの見込みです。
外国人の不法入国や不法滞在は断じて許されるべきではありませんが、中国政府の苛烈な人権弾圧を受けるチベットやウイグルに加え、北朝鮮など情勢が不安定な地域からの政治難民が今後、急激に増加する可能性もあります。たらい回し的、かつ非人道的な扱いは、国益を損なうことにもなりかねません。申請者の出身国、地域の状況の把握に努めつつ、難民受け入れの条件を明確にし、人道上の必要性を認められる場合にのみ、難民の受け入れを行えるよう環境整備を進めるべきです。
以上