尖閣諸島沖の日本領海内で中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突した事件で、那覇地検は本日、公務執行妨害の疑いで逮捕された漁船船長を処分保留のまま釈放することを決定した。同地検は「捜査を継続した場合のわが国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、捜査継続は相当ではないと判断した」と述べたという。
また、同地検の決定を受けて仙谷由人官房長官は「那覇地検の判断を了としている」と述べたとされる。
幸福実現党は同地検の決定、および仙谷官房長官の発言を極めて不適切なものと認定し、これを強く非難する。理由としては以下のとおり。
1.日中関係を考慮して、捜査、取り調べを完了することなく船長の釈放を決めたことは、中国政府の圧力によって国家主権の一角をなす捜査権の行使を放棄したことを意味し、尖閣諸島周辺の領海が日本の主権の及ばない地域であることを認めることに等しい。これは「尖閣諸島に領土問題は存在しない」とする政府見解と矛盾する決定であり、そもそも那覇地検に国家主権の及ぶ範囲を決定する権限は与えられていない。
2.中国人船長の処分は今後決定するとのことだが、船長は釈放後、中国に送還される見通しであり、送還後に処分を下してもその処分には何らの実効性が担保されない。起訴をして裁判上で真相を究明することも不可能となる。
3.政治的圧力を加えれば日本政府は主権の行使をためらうというメッセージを、中国政府に対して送ることになる。今後、日中間で利害が衝突すれば、中国政府はその欲するところを実現するため、わが国に対して益々威圧的な態度を取るようになり、とても真の意味で健全で互恵的な外交関係を築くことにつながらない。
併せて、仙谷官房長官に関しては、国家主権の維持と国益の確保という官房長官の職責を担う資格なしとして即時の辞任を要求する。
さらに今般、中国河北省石家荘市で当局により日本人4人が拘束された事件については、真相を徹底究明の上、万一不当逮捕であれば、中国政府に外交ルートを通じて即時釈放を要求するよう、日本政府に求めるものである。
幸福実現党 党首 立木秀学