【声明】消費増税法の成立を受けて

本日10日、消費増税法が参議院本会議で可決、成立した。デフレ下での増税は経済政策としては究極の愚策であり、消費増税が決したことに強い怒りを禁じ得ない。税率引き上げまでの間、一時的に駆け込み需要が発生し、見かけ上は景気上昇する可能性はあるものの、増税後の反動による消費停滞で内需は一層萎縮し、日本経済の沈没がもたらされることは避けられないからだ。しかも、「政治生命を賭ける」との言葉とは裏腹に、短命政権が常態化している昨今、野田首相が2、3年後の経済財政状況に責任を取るつもりがあるとは到底思えない。

今般の消費増税をして「決められない政治」からの脱局が図られたとみる向きもあるが、誤った政策決定をもって「決める政治」とするのは本末転倒も甚だしく、そのような言説を肯んずることは決してできない。日本の財政状況はギリシャなどと同様に危機的水準に達しており、増税は必要だとの見方もあるが、我が国は国内で政府債務の殆どを消化しており、長期金利は主要先進国でもほぼ最低の水準に抑えられている。世界最大の債権国であることも考え合わせれば、日本の財政危機を徒に喧伝するのは、増税正当化の「ためにする」議論にしか過ぎない。

真に財政再建を望むならば、景気下押しの主因となる増税ではなく、高い経済成長により、債務残高の対GDP比率を縮小させることを志向すべきであり、そのためには、デフレ克服を可能とする金融緩和と法人税等の大減税、実効性ある成長戦略こそ実施すべきなのである。

消費増税法と衆院解散を巡る与野党の対立は、8日の民主、自民、公明による三党首会談で、「同法成立後、近いうちに国民に信を問う」ことで収拾したが、そもそも三党は同法の今国会成立で合意していたはずである。にもかかわらず、自民党は党利党略により早期解散を求め、三党合意を反古にする構えをみせた挙句、一転、採決合意に至った。この間繰り広げられた空騒ぎで露わになったのは、民主はもとより、政権復帰を窺う自民も、増税という政策面のみならず、その国民不在の政治姿勢からも責任政党たり得ないということである。

合意を受け、早速、解散総選挙の時期を巡って様々な憶測が飛び交っているが、民主党政権の延命を許さないという意味では、早期の解散・総選挙が必要である。しかし、その前に「一票の格差」で違憲状態が続く衆院選挙制度の改革は終えておかなくてはならない。定数削減と区割り変更、そして必要な周知期間を考えれば、格差是正には数ヶ月の時間を要するが、違憲状態を改めることなく総選挙に踏み切るのは、憲法よりも政局を優先することを意味し、国権の最高機関たる立法府にあるまじき行為である。国会議員が憲法遵守義務を無視して違憲状態を再び作り出せば、憲政史上、最大の汚点の一つとして歴史に刻まれることは免れまい。

また、今回の政局では、改めて二院制の弊害も明らかになった。消費増税法の廃案も取り沙汰されたものの、結局、先議した院の議決を覆すことは出来ず、参院は「良識の府」などではなく「政局の府」と化した末に、衆院の単なる追認機関と成り果てた。ましてや、衆参で多数派が異なるねじれ国会は国政の遅延をもたらすだけであり、我が党が提言するように、参院は廃止し、国会は一院制に改め、国益に沿った政策決定の迅速化を図るべきだ。

二大政党によって「日本沈没」がもたらされようとしているが、我が党は「日本復活」の一助となるべく、力強い活動を展開していく所存であり、引き続き諸賢の御支援を願う次第である。

 

幸福実現党 党首 ついき秀学

消費増税法の成立を受けて

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