先日26日、野田佳彦首相は国連総会で演説し、中国による尖閣諸島の領有権主張を念頭に「国の主権、領土、領海の防衛は国家の責務」との表明を行い、続く記者会見でも、「(尖閣の)領有権の問題は存在しない。後退をする妥協はあり得ない」との意思を示した。野田首相が国連総会の場で、尖閣、竹島に関する日本の正当性を主張したことは是とするが、中国側の外交攻勢に対して依然後手に回っており、日本の領土・領海を守り切れるのか、強い危惧を抱かざるを得ない。
野田首相が今回の演説で中国などの国名の名指しは避けたのに対し、中国の楊潔篪外交部長(外相)は27日、国連総会で、尖閣は中国に帰属しており、日本が中国から尖閣を「盗んだ」と名指しで非難した。加えて、日本による尖閣国有化は、中国に対する重大な主権侵害、世界反ファシズム戦争の勝利の成果に対する公然たる否定、戦後の国際秩序及び国連憲章の目的と原則への重大な挑戦などと、盛んに罵詈雑言を連発した。各国の首脳・閣僚クラスが集まる国連総会の場で、我が国を「盗人」扱いし、かような品性を欠く発言を行った楊外相について、日本政府は中国政府に対し罷免を要求すべきである。
中国は対外的には、尖閣はもとより、南シナ海でも覇権拡大に乗り出し、国内的にはチベット人やウイグル人等の少数民族はもちろん、漢民族にも人権弾圧を続けている。こうした中国の横暴を如何に抑止するかが、国際社会の最大の課題となりつつある以上、中国が「国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任」(国連憲章)を負う、国連安保理の常任理事国たる資格を失っていることは明白である。したがって、日本政府は、国連安保理常任理事国から中国を追放するよう、国連憲章の改正を提起すべきである(なお、竹島問題の公正な解決を図るために、国連に対し、韓国人である潘基文事務総長の交替も求めるべきである)。
そもそも先般、数多くの日系企業が操業停止に追い込まれたり、暴徒化した参加者によって店舗・工場を略奪・破壊されるなどした反日デモが、中国政府の一定の統制下にある「官製デモ」だったことは明白である。よって、日本政府はその野蛮な不法行為に対して、中国政府に損害賠償請求を求めてしかるべきである。暴動被害への補償について日中投資協定で具体的な規定がないからと言って、日本政府は不作為を決め込んではならない。
ちなみに昨日、沖縄県警が日本人による尖閣上陸事案で書類送検を行った。しかし、、日本人の上陸を禁じること自体、尖閣の管理を日本政府が中国政府から委託されているかのような措置である。尖閣を巡って日中の対立が先鋭化するなか、「亡国無罪、愛国有罪」とする日本の姿勢では、「愛国無罪」とする中国にまともに対抗することは不可能と言わざるを得ない。日本政府に対し、日本人による尖閣上陸の解禁とその実効支配強化を強く求めるものである。
幸福実現党 党首 ついき秀学