日米間のTPP合意見送りを受けて

 このたびの日米首脳会談の意義は、台頭著しい中国の存在を念頭に、アジア太平洋地域の平和と繁栄に向けて、日米同盟を強化することにあったと考えます。その意味で、沖縄県の尖閣諸島を日米安全保障条約の適用対象と共同声明に明記されたことなどは評価できます。しかしながら、環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる日米協議では、農産品への関税などで折り合えず、合意に至らなかったことは誠に残念です。

 TPPは日本の成長力の強化はもとより、日米主導の経済秩序の構築による対中抑止の狙いもあり、日本および地域の安全保障に大きな意義を有するため、わが党はかねてTPP参加の必要性を強く主張してきました。

 TPPを成長戦略と位置付ける安倍政権ですが、農産品重要5項目については関税撤廃の例外扱いを求めてきたことから、交渉は難航してきました。しかしながら、選挙目当てに高い関税で小規模兼業農家などを保護し続けても、日本農業は先細りとなるばかりです。TPP参加を通じて農業の生産性を高め、輸出産業化を図ることで日本農業の未来も開けるのであって、食糧安全保障の観点から存続させるべき農家には、補助金で対応すればよいのです。

 日本として、大局的な立場からTPP交渉の決着を急ぐべきであり、国内事情に拘泥するあまり、国益を毀損するようなことがあってはなりません。対外的な関与へのオバマ大統領の慎重姿勢や、大量の米国債を中国が保有していることなどを鑑みれば、オバマ政権が日本との関係を見限り、より一層、対中融和へと傾く恐れなしとは言えません。

 日本政府には、国益を見据え、TPP交渉の早期妥結を重ねて要請するものです。

 

幸福実現党 党首 釈 量子

   日米間のTPP合意見送りを受けて(プレスリリースPDF)

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