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米軍普天間飛行場の移設問題を巡る代執行訴訟で、移設工事の中止を含む和解勧告を国と沖縄県が受け入れました。双方の対立が深まるなか、今般の背景に、国として普天間固定化を回避したいとの意図があることは理解できます。しかしながら、外交・安全保障は国の専権事項にほかなりません。一地方自治体の意向によって左右されることなどあってはならず、辺野古移設は粛々と進めてしかるべきです。
北朝鮮が核実験やミサイル発射を行い、中国が強大な軍事力を背景に海洋進出の動きを強めるなど、日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、わが国の安全を確保するには、日米同盟による抑止力の維持・強化が不可欠です。この度の和解案受け入れにより、日米合意で「2022年度またはその後」とする普天間返還が遅れる可能性は否定できません。約束を違えたものとして日米の紐帯を損なうおそれなしとは言えず、政府の判断はわが国の未来に大きな禍根を残しかねないことを指摘するものです。
また、移設工事を中止する一方で、安倍晋三首相が「辺野古への移設が唯一の選択肢」と強調していることからは、和解成立が夏の参院選などをにらんだものであることもうかがえます。国の安全保障政策を党利党略に基づく判断に劣後させたとするならば、本末転倒も甚だしいと言わざるを得ません。
今回の一事をもっても、安倍政権に日本の未来を託すわけにはいかないというのが、わが党の考えです。この国を守り抜くとともに、日本をアジア太平洋地域の平和と繁栄の確保に貢献できる国家とすべく、わが党として雄飛を誓うものです。
以上