緊急事態宣言の全面的な解除を求める(党声明)
令和2年5月13日
幸福実現党
全国に発令されている緊急事態宣言について、政府が14日にも、「特定警戒都道府県」の5県とそれ以外の34の県で宣言を解除するとの可能性が取り沙汰されています。政府に対して、感染拡大に向けた細心の注意を払いつつも宣言の全面的な解除に踏み切り、経済活動を順次再開させるよう求めるものです。
1.人災によって“大恐慌”を到来させるなど、あってはならない
緊急事態宣言に基づいた休業要請や自粛要請により、わが国の経済はすでに大きな危機に直面しています。政府は、経済苦による自殺が今後大幅に増加しかねないことを危険視すべきです。感染症による死者も、自殺による死者も尊い生命であることに変わりはありません。
米国では、コロナ禍の影響により、4月の非農業部門の就業者数が前月比で2050万人減、失業率が14.7%となり、いずれも戦後最悪の水準に陥っています。今後の状況次第では、かつての世界恐慌並みの規模に至るとも考えられます。
むろん、これは日本にとって対岸の火事ではありません。今、経営基盤がぜい弱な中小企業や小規模事業者ばかりか、大企業までもが経営的な危機に直面し、“生死”の瀬戸際に立たされているというのが実態です。政府による誤った対策実施による経済不調は、人災そのものと言えます。大量の失業者を発生させる企業の連鎖倒産は、何としても避けなければなりません。
移動自粛の長期化は、地方の衰退を呼び込むばかりか、航空や鉄道など交通各社の経営に対し大きな危機に晒すことになります。交通インフラを含め、工場や各店舗など、経済インフラが使用不能に陥り、廃墟と化すことにでもなれば、国家にとって大きな損失となるのは言うまでもありませんが、それを再起動させるのも、決して容易いことではありません。こうした未来を持ち来たらすなど、決してあってはなりません。
企業等への融資策については、万全を期すべきことに異論はありませんが、それを延々と続けることも困難が伴います。企業が、経済活動を再開できないまま、今の局面で融資を受けて難局を乗り切ったとしても、コロナ終息後には膨れ上がった債務の返済に追われ、積極的な設備投資などできなくなります。こうしたことから、場合によっては今後“失われる20年”が到来しかねません。
また、家賃支援を中心とした第二次補正予算の議論も進められようとしていますが、休業要請と補償はセットであると考えた場合、感染症が長期に及ぶと財政的に持ちこたえられなくなるというのが実際のところでしょう。やみくもに歳出を拡大させれば、将来的に待ち受けるのは大増税です。家賃支援や困窮学生への給付などは本来、緊急事態宣言の長期化がなければ、その大部分は本来、不要な歳出と断言できます。
同じお金であればそれは、将来わが国にとって新たな雇用や富そのものを生み出す分野に重点的に使われるべきです。国として、生産拠点の国内回帰を一層進めるための減税策のほか、万全なエネルギー供給体制の構築、農業生産力の強化など、国内経済の成長、危機に対応できる自給体制の構築に資する部分に対して重点投資すべきです。
2.政府や自治体は「働く自由」を保障せよ
大阪府は国に先んじて、各種要請を解除するための府独自の基準「大阪モデル」を公表しており、今後、国や他の自治体も軒並み、こうした基準を設定することも考えられます。しかし、もし厳しい基準を設定してこれを厳格に適用するとなれば、一旦規制を緩和したあとに感染症の第二波、第三波が襲ってきたときにこれが足かせとなり、経済活動に支障をきたす恐れも否定できません。
財政状況などを踏まえても、国や自治体は、国民の生命・財産の全てにおいて責任を負えるわけではないことは明白です。政治的パフォーマンスを優先し個人の自由を奪い、座して死を待つ経営者、従業員を生み出すなどあってはなりません。
国民各自の知恵を信頼して「働く自由」を保障し、国や自治体による対策については必要最小限に抑えるべきです。したがって、経済再生に向けた対策の指針を作成するのはあくまで業種、事業者ごとであるべきで、それに沿って万全な感染症対策を行いながらも、経済活動を順次再開させるべきとの考えです。
また昨今は、営業を続ける事業者、店舗等に対して時には強硬的な手段も辞さずに営業等の自粛を促す「自粛警察」なるものが蔓延しています。誤った正義に基づいた違法性が高い行為は、断じて認められるものではありません。
これについて、国や自治体、マスコミによる過剰な危機意識に基づいた発信が、その行動を煽っていた面も否定できず、全体主義的な傾向が醸成されることで国民の自由が失われることを危惧するものです。経済活動に従事する人を責めるなど、決してあってはならず、経済は生命維持にとって欠かすことができないことからいっても、経済活動を行うことに対しては、総じてポジティブな発信を求めるものです。
3.各種学校も順次再開させるべき
学校教育についても、数十日にもわたって休校措置がとられるなど、異常な事態が続いており、子供たちや学生の学習の遅れ、不規則な生活の蔓延による精神的、身体的な健康被害などが危惧されるところです。
感染者が発生した場合には休校措置をとるといった、季節性インフルエンザに準じた対応を実施するなどしながら、基本的には速やかに学校を再開させ、長期休暇や土曜日などを活用して、学習の遅れを取り戻すべきです。
また、現在議論が進んでいる「9月入学案」については、その実施は社会システム全体に影響を及ぼすことや、そもそも感染の収束時期が見通せないことなどを踏まえて、総じて慎重を期すべきです。国際標準に合わせられるというメリットがあるといえども、優秀な海外人材を日本に呼び寄せるという観点で言えば、まずは大学をはじめとした国内の教育機関の国際競争力を高めるべく、教育の質の内容を高めるよう尽力すべきです。
今後、倒産や失業が大量に生じた場合、自殺による死者が一層増える恐れがありますが、感染症による死者も、自殺者も同じく尊い生命であることに変わりありません。政府には国民の生命・財産を守るための大局的な判断を求めるものです。
以上