「需要に応じた生産」の法定化の見直しを(声明)

農林水産省が事実上の減反政策(生産調整)である「需要に応じた生産」を、来年の通常国会に提出予定の食糧法改正案に盛り込む方針を固めたことを受けて、党「魅力的な農業と自給率向上を実現する連絡会議」より声明を発表いたしました。

 

「需要に応じた生産」の法定化の見直しを(声明)

2025年12月27日
幸福実現党 魅力的な農業と自給率向上を実現する連絡会議

農林水産省が事実上の減反政策(生産調整)である「需要に応じた生産」を、来年の通常国会に提出予定の食糧法改正案に盛り込む方針を固めたことが報じられています。前石破政権ではコメ政策を増産へとカジを切ることを表明しましたが、高市政権はこの流れを逆転させました。今回の法定化は政権が代わっても、コメ政策を簡単に変更できないよう法定化することで、旧来の農政を維持する狙いがあると考えられます。

昨年夏から起きたコメ騒動は、需要量を見誤ったことによる生産量不足だったことを農水省も認め、石破政権ではこれまでの政策を見直し「増産」の立場を鮮明にしました。しかし、高市政権で農水大臣に就任した鈴木憲和氏は事実上の減反政策(生産調整)を進める「需要に応じた生産」を再び訴えました。また、「おこめ券」の配布を自治体に推奨し、需要を公費で下支えすることで、結果として米価を維持するバラマキ政策も推進しています。さらに今回こうした「需要に応じた生産」を法定化しようとしています。これらは一見、消費者や生産者のために見えますが、中長期的には生産性向上を阻み、高米価が維持される一方で、生産者の所得さえも抑制される結果となりかねません。

幸福実現党では一貫して「減反」の廃止とコメの増産を求めてまいりました。これは消費者のためにコメの価格を下げるだけでなく、有事の際に国民を守る食料安全保障の面からも不可欠だと考えております。
日本の食料自給率は1961年度の78%から減り続けて、2022年度の時点で38%しかありません。もし台湾有事が起きて食料やエネルギーの輸入途絶が長期化すれば、日本人の多くが餓死する事態にもなりかねません。加えて、現在では農作業も機械化が進みガソリンをはじめとする化石燃料を多く必要とします。また農作業に欠かせない化学肥料の原料も大半を輸入に頼っています。だからこそ、平時には、輸出に回せるほどの余力を持つ食料生産量を確保するとともに、エネルギーや肥料を含めた生産基盤を強化しておく必要があります。このような観点から見れば、「需要に応じた生産」=「減反政策」は食料安全保障を損ない、日本を危険な状況に追いやるものと言わざるを得ません。

今必要なのは、「おこめ券」などの一時しのぎの施策ではなく、消費者に安心してコメを買っていただけるように減反政策を廃止し、増産へと政策を転換してコメの価格を下げることです。さらに、主食米をつくる農家の保護については、欧州などで一般的な主業農家への直接支払い制度に移行し、やる気のある主業農家に土地を集約することで、農地の大規模化と生産性向上を進めるべきです。

物価高に苦しむ国民の生活を守り、食料安全保障を強化するためにも「需要に応じた生産」を法定化することを見直さなければなりません。事実上の減反政策(生産調整)を完全に廃止し、コメを増産して輸出するだけの余力を持つことが、政府が今取り組むべき緊急課題だと考えます。

以上

 

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