今月15日、香港の反日活動家らが我が国領海を侵犯し、尖閣諸島・魚釣島に不法上陸した事案に対し、本日、日本政府は強制送還という幕引きを行った。事態の収拾を優先する日本政府が、法に基づく対応とはいえ、強制送還を選択したことは事実上の釈放に等しく、周辺国からは、「日本与し易し」との侮りを受けることになろう。領海侵犯や尖閣上陸の再発を招く恐れが強く、我が党としては今回の政府の対応は到底容認出来ない。
先般の韓国・李明博大統領による竹島上陸など、我が国領土・領海で不法行為が続発する中にあって必要なのは、日本として国家主権を守るために「国家の気概」を示すことである。今回の尖閣上陸事案では、活動家らが海上保安庁の巡視船にレンガを投げつけるなど、公務執行妨害容疑等で刑事手続きを進めることも可能だったと見られるだけに、政府に対しては真相を国民の前に明らかにすべく、海保が撮影したビデオの公開を求めるものである。また、民間人による犯行だったとはいえ、中国政府に一定の責任があることは明らかであり、謝罪と賠償を求めて然るべきだ。
我が党がかねて指摘してきたように、日本の領土・領海が侵略の危機に直面しているのが誰の目にも明らかとなった今、政府は憲法9条の解釈変更を行い、その外交・安全保障の基本方針を今日の情勢に相応しいものに改めるべきである。加えて、領海侵犯そのものを取り締まる法整備を早急に進めるなどして、国家として領土防衛の強固な意思を内外に鮮明にしなくてはならない。
特に尖閣諸島を巡っては中国による活動が活発化していることを踏まえ、施設建設などによる実効統治の強化を急ぐと共に、周辺国の不法行為や、悪質な不法入国者を抑止するために、領海警備における武器使用基準を緩和すべきである。言葉や放水等による警告だけでは、侵入や上陸を防ぎきれないのは今回の事案を見ても明らかだ。また、海保巡視船の増強や重武装化、尖閣を守る自衛隊の先島諸島への配備など、防衛体制の構築が肝要である。
そもそも国家主権が侵害され続けているにもかかわらず、日本として毅然とした対応が取れない背景には、民主党政権の「国家意識」の希薄さが見て取れる。また、自民党もその過去の甘い対中外交によって、今日の尖閣問題のそもそもの原因を作っており、我が国の未来を託す政治勢力ではないことは論を俟たない。日本に危難が迫る中にあって、我が党は国家の主権を守り、国民の生命・安全・財産を守るために邁進する所存である。
幸福実現党 党首 ついき秀学