コロナ対策の特措法・感染症法の改正、入院拒否への罰則は基本的人権の侵害!

言論チャンネル

 

コロナ対策の特措法・感染症法の改正、入院拒否への罰則は基本的人権の侵害!

 

幸福実現党党首 釈量子

 

はじめに、コロナでお亡くなりになられた方に哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方には心よりお悔やみ申し上げます。

 

入院拒否への罰則を導入

1月22日、政府は新型コロナウィルスへの対応策として、特別措置法(特措法)や感染症法の改正案を閣議決定しました。

その後、与野党の修正協議が続き、1月28日現在、前科のつく「刑事罰」についてはさすがに見送られる方向ではあります。

しかし、改正案では、コロナ患者が知事等による入院勧告を拒否した場合や、入院先から抜け出したりした際の罰則を導入し、2月上旬にも成立するものと見込まれています。

一時期、「懲役刑」を閣議決定したという政権の発想自体、とても恐ろしいものがありますし、罰則が科されること自体、国民の心理や経済活動をものすごく萎縮させることは間違いありません。

しかし、この政府の対応には、あまりにも大局的な判断を失っていると言わざるを得ません。

まず政府の本音としては、「東京オリンピックを強行したい」ということではないでしょうか。ワクチンの接種と合わせて、感染の拡大を強力に抑え込むことで、諸外国から見て東京五輪を開催できる環境を整えなければと焦りって悩乱しているとしか思えません。

 

ロックダウン

 

コロナ感染の冷静な分析を

日本の状況を見ると、新型コロナの感染は、1月28日現在で32万人、死者数は5000人を超えた程度です。

一方、季節性インフルエンザに、年間1000万人の人が感染し、関連死を含めて、約1万人が亡くなっているとされます。肺炎でも、毎年10万人の人が亡くなっています。

コロナ感染対策の結果なのか、今シーズンはインフルエンザによる死者数が激減し、そのほか、風邪や肺炎患者による死者も含め、トータルの死者数は減少しているのです。

日本ではむしろ例年よりも死者数が減少していることを考えると、罰則を科すことは、バランスを欠いているのではないでしょうか。

PCR検査で陽性となっても、それで他の人が感染するかどうかは確実ではありません。

濃厚接触者でも感染する人としない人がいるように、その人から必ず感染すると決まっているわけではありません。にもかかわらず、罰則を導入しようとしています。

 

罰則は「基本的人権」の侵害

はっきりいって、今回の菅政権の方針は、 国民の「基本的人権」を侵害しているものです。

「基本的人権」は、日本国憲法の三原則(「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」)のうちの一つです。
そのうちの最大のものが「自由権」です。

日本国憲法は、第十三条で「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を定めています。

また、「経済的自由権」として、第二十二条で、「居住、移転及び職業選択の自由」、第二十三条で「財産権」を認めています。

菅政権は、国民の「健康を守る」という名目で、国民に様々な規制をかける傾向があります。しかしこれは、国民の「基本的人権」を侵害する、非常に危険な傾向性なのです。

「国民の健康を守る」という、一見、誰も反論できないような、素晴らしい大義名分を掲げて、政府が国民を管理していくというのは、これは恐ろしい「全体主義」の特徴です。

ナチス・ドイツは、「優れた遺伝子を残し劣っている遺伝子を残さないことで、人類が進歩する」という「優生学」の考え方に基づいて、1933年に、遺伝的で矯正不能のアルコール依存症患者、性犯罪者、精神障害者、そして子孫に遺伝する治療不能の疾病に苦しむ患者を、強制的に断種することを可能とする法律を立法化しました。

これによって、36万件から40万件に上る強制的な不妊手術が行われました。

そして、1939年からは、「T4作戦」(テーフィアさくせん)と呼ばれる、精神的な障害および肉体的な障害を負っている人への安楽死政策が行われ、7万人から数十万人が殺害されたと言われています。

ナチスの話を持ち出すのは、極論に見えるかもしれません。

しかし、1月15日、コロナに感染した東京都内の家族で、30代のお母さんが「自分が周りの人にうつしたかもしれない」「娘の居場所がなくなるかも」というメモを残して自殺するという痛ましい事件がありました。

先に陽性になった夫も濃厚接触者で、小学生の娘さんと同時に陽性判定が出たということです。

小池都知事は「心のケアが必要」と仰っていましたが、政治が「ゆるみ」だとか、買い物に至るまで外出を制限したり、家にいることがほかの人を守るだとか、感染者を「バイキンマン」扱いするかのようなメッセージを発信した責任もあるのではないでしょうか。

もし「インフルエンザの患者に罰則を科す」というならば、なんて冷たい政治なのか。自分は犯罪者なのかと。人々は暴動を起こし、「革命」だって起こしたくなるでしょう。

これは、ナチス・ドイツと同じ傾向性が出てきていると言えます。

 

新聞

 

ワクチン接種を管理することの危険性

さらに、河野太郎ワクチン担当大臣は、1月25日、ワクチンの接種状況を把握するために、ワクチンの接種状況とマイナンバーを紐づけする計画を明らかにしました。

これによって、国民は、ワクチンを接種しているのか、していなのいかを、政府によって一元管理されてしまうことになります。強制的にワクチンを接種しなければならなくなる可能性もあります。

しかし、ワクチンには副反応の懸念があります。

本来、ワクチン開発には4~5年程度かかるものです。今回はあくまで例外措置として各国で使用されているにすぎず、これから続々と副反応が報告される可能性があります。

コロナに感染して亡くなる方もいれば、亡くならなくても、ワクチンの副反応で亡くなる場合もあるということです。

また、ワクチンは、すでに流行しているウィルスの型を元に作られているので、イギリスから始まった「変異株」が流行すれば、当然ワクチンが聞かなくなることがありえます。

このように、「恐怖による支配」をまず考える菅内閣は、中国政府に似てきています。

それは、国民をデジタル庁で管理し、ジョージ・オウエルの『1984年』状態にしようとする傾向は許しがたいものがあります。

私たちが、「重要だ」と提唱する「自由」は、「人間が、人間として生きていくための、基本的な人権」は守られなければならない、ということです。

冷静に考えれば、日本の死者数などを見ると、インフルエンザと同じような危険度のものを、恐怖心によって巨像化されている状況です。

 

恐怖感をあおるマスコミ

テレビの影響も大きく、家に「巣ごもり」することによって、テレビは視聴率が上がっています。

ビデオリサーチの調査によると、2021年の正月三が日の総世帯視聴率は、過去10年で最高を記録しました。

マスコミが、コロナに対して恐怖感をあおることによって、必要以上に、「コロナは怖いもの」「とにかく家にいることが大事」という価値観が広がってしまいました。

アメリカの世論調査会社によれば、日本は、コロナ感染症への恐怖心が、他国に比べて特に強い傾向にあります。

政府の悩乱策と恐怖を煽りがちなマスコミ報道の行きつく先に、国民に、「巨大借財」が残されようとしています。

 

マスコミ

 

財政出動は未曽有の規模、ツケは国民に

2020年度には、「コロナ対策」の名目で、巨額の予算が投下されました。

新規国債発行は100兆円を超え、3次にわたる補正予算が組まれた結果、2020年度一般会計予算は175.6兆円に膨れ上がりました。

2020年度の当初予算が過去最高の102.6兆円だったことを考えると、とてつもない膨張です。今回の財政出動は未曽有の規模に達し、「コロナ対策」の名目でさまざまな予算が増えました。

日本のコロナ対策費は、GDP比42%と、世界主要7か国で最高となっています。例えば、アメリカは約15%、イギリス・フランスは約20%、ドイツは約30%です。

これら残りの主要国よりも、感染者数・死者数がはるかに少ないにも関わらず、日本は巨額の予算を投下しています。

1月26日に可決された第三次補正予算では、「Go To トラベル」の追加分約1兆円が計上されています。しかし、1次補正予算で計上された約1.1兆円のうち、執行されているのは4842億円であり、まだ半分以上の金額が、未消化のまま残っています。

今回のコロナの感染拡大も、国民の自由を奪っておきながら、一方で「Go To 〇〇」と称して、税金を使って矛盾したキャンペーンを行った罪であると言えます。

当然出てくるのが、増税です。無限に国債を発行し続けることはできないので、国民に「増税」となって返って来ることになります。

すでに言われているように「消費税の増税」や、戦後まもなく行われたように、貯金や株、金融資産などの財産に課税する「財産税」が導入される可能性があります。

菅政権は、そのツケを国民に回し、「恐怖によって国民の自由を抑圧し、感染症対策で大幅に増えた予算を国民への増税で賄う」という結果をもたらそうとしています。

ナチスの「全体主義」をつくったのは、民衆でした。民衆のムーブメントによって、自分たちが民主主義的に当然のことをしていると思ってやっているうちに、独裁的な恐怖支配がなされました。今、冷静に考えなければならないのではないでしょうか。

 

増税

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