ウイグル・ジェノサイドの認定を幸福実現党が求める理由

幸福実現党政務調査会ニューズレター No.23(2021.9.9)

 

政調会 News Letter

 

幸福実現党政務調査会
2021年9月9日
No.23

 

ウイグル・ジェノサイドの認定を幸福実現党が求める理由

 

ウイグル・ジェノサイドは、現在、非常に重要な国際問題です。先進国の多くが、中国のウイグル・ジェノサイドに関して、積極的に非難し、その真相を明らかにしようとしています。これに対して、わが国では、外務大臣は「深刻な懸念」としつつも、具体的な行動には至っていません。また、与党公明党代表は「わが国が制裁措置を発動するとすれば、(中国当局の)人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」と述べており、概して、消極的です。しかし、既に多数の証言や間接的な証拠は積み上がってきており、これを無視することは、「平和主義」を国是とする日本としては看過できません。本稿は、ウイグル・ジェノサイドを裏付ける、さまざまな情報を整理し、まとめたものです。既に、積極的に行動するに足る十分な資料は出揃っていると言えます。

 

ウイグル・ジェノサイドの認定を幸福実現党が求める理由

 

1. ウイグル問題に関して、「ジェノサイド」認定した国々

本項目に記すのは、ウイグル人に対し、中国共産党が、人権弾圧を超えて、「ジェノサイド」を行っていると認定した国々です。なお、「深刻な人権被害」に対する非難決議であれば、ニュージーランドなど、より多くの国々で決議がなされています。

  • アメリカ:トランプ政権で認定し、バイデン政権でも継承。3月30日に発表された国務省の報告書では、「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と「人道に対する罪」と非難した。議会もこれに同調し、北京五輪のボイコットを検討している。
  • カナダ:2月22日に下院で採択。
  • オランダ:2月25日に下院で採択。
  • イギリス:4月22日に下院で採択。
  • リトアニア:5月20日に議会で採択。

 

2. ジェノサイドは、「殺害」以外にも起こりうる

ジェノサイドとは、ユダヤ人法学者ラファエロ・レムキンがナチスのユダヤ人の大量虐殺を明らかにするために著した『占領下ヨーロッパにおける枢軸国支配』(1944年)で提起された概念です。その後、1948年の国連総会でジェノサイド条約が採択され、法的な定義が定められました(*1)。
ジェノサイド条約第2条では、以下のように定められています。

「ジェノサイドとは、国民的、民族的、人種的または宗教的な集団の全部または一部を、それ自体として破壊する意図をもって行われる以下のいずれかの行為を指す。

  1. 集団の構成員を殺害すること
  2. 集団の構成員に重大な身体的または精神的な危害を加えること
  3. 集団にその全部または一部の身体的破壊をもたらすよう意図した生活条件を故意に課すこと
  4. 集団内の出生を妨げることを意図した措置を課すこと
  5. 集団の子どもを他の集団に強制的に移すこと」

つまり、殺害以外でも、ある民族を消滅させるために、避妊などを集団的に強制した場合なども、ジェノサイドに該当するということです。

(*1)IGS(online)「IGSについて」
http://www.cgs.c.u-tokyo.ac.jp/igs.html(閲覧日:2021.8.26)

 

3. ジェノサイドを認める報告書が発表されている

そもそもジェノサイドを実証することは非常に難しいというのが実際のところでしょう。ナチスのホロコーストも本格的に調査が進んだのは、ドイツが降伏した後のこととなります。ウイグル問題に関しても、中国の全体主義体制の中で、その全容を明らかにすることは困難が伴います。
しかし、間接的な証拠は数多く出ています。そして、そうした事実に基づいて、ジェノサイドを認める報告書が発表されています。ここでは、いくつかの事例を示します。

また、ジェノサイドと断定しなくても、それを示唆する報告書や、ウイグルでの激しい人権弾圧を認める報告書は、相当数発表されています。そうした報告書がジェノサイド認定まで踏み込めない理由は、誰が見ても明らかな直接的な証拠を示すことができないためです。

しかし、ジェノサイドが存在することが確定的になってからでは遅すぎます。ジェノサイド条約第1条には「締約国は、集団殺害が平時に行われるか戦時に行われるかを問わず、国際法上の犯罪であることを確認し、これを、防止し処罰することを約束する」とあります。つまり、ジェノサイド条約の精神は、ジェノサイドを未然に防ぐことです。そして、ジェノサイドが疑われるのなら、国際社会で協調して、これを積極的に明らかにし、確定すれば、罰することが求められます。日本は、同条約に加盟していませんが、その精神を発揮することは、民主主義の大国としての責務ではないでしょうか。

多くの報告書は、ジェノサイドの可能性を示唆すると同時に、中国政府に対し、正しい情報の公開を求めています。証拠が無いからと言って、人権弾圧に対し消極的になるのではなく、むしろ積極的に、間接的な証拠を積み上げることで、真相の究明を試みていると言えます。

 

ウイグル・ジェノサイドの認定を幸福実現党が求める理由

 

4. 論点① 出生制限

  • ウイグル人の出生率が半減した

    中国では、ウイグル人に対し、避妊を強制する政策が採られています。有名な「一人っ子政策」は2015年末に廃止されましたが、ウイグル人に対しては一層厳格になりました。オーストラリア戦略政策研究所によれば、2017年から19年にかけて、出生率(人口千人当たりの出生数)は、ほぼ半減しました(*2)。
    なお、これほど激しい出生率の減少は、他の地域では見られず、減少しても緩やかなものに留まります。一方、ウイグルでは、17年まで全国平均より高い出生率でしたが、その後、不自然なまでに激減しています。

  • 地域によっては、出生率8割以上減少や、出生率目標がほぼゼロの報告もある

    半減というのは、ウイグル自治区の平均に過ぎません。ウイグル自治区は日本の4倍以上の面積を誇ります。従って、政策の厳しさも濃淡があり、地域によっては、より苛烈な出生制限が行われています。
    米国務省の先述の報告書では、新疆ウイグル自治区のある地域の出生率が実際に80%以上低下したことや、出生率の目標をほぼゼロに設定した地域があることが紹介されています。なお、こうした厳しい出生制限に違反すれば、罰として収容所に収監されうることも同報告書は示しています。

  • 不妊手術と人工妊娠中絶が中国全土で飛びぬけて多い

    ウイグルでの強烈な出生数の激減は、別の角度からも裏付けがなされています。それが、不妊手術と人工妊娠中絶の異常な多さです。『中国保健衛生統計年鑑』では、中国全土の「節育手術総数」が示されています。節育手術総数は、不妊手術数と人工妊娠中絶数の両方を合わせた数となります。これを筑波大学名誉教授の遠藤誉氏が各省の人口と合わせて分析しています(*3)。
    その結果、2018年におけるウイグルでの人口10万人あたりの手術数は509.2件。これは、2位の浙江省の210.4件と比べて2倍以上高い異常な数と言えます。

  • 中国政府による隔月妊娠検査の強制も報告される

    そうした強制不妊を政府主導で進めたことも明らかになっています。米国務省の報告書によれば、ウイグル人女性を対象とした強制不妊キャンペーンに資金提供し、四半期ごとのIUD(避妊リング)チェックや隔月の妊娠検査を強制したと言います。また、強制収容所のウイグル人女性に対し、一時的ないし恒久的に妊娠能力を奪う注射をしている疑いもあります。

(*2)オーストラリア戦略政策研究所 online )「 Family De planning: The Coercive Campaign to Drive Down Indigenous Birth rates in Xinjiang 」
https://www.aspi.org.au/report/family-deplanning-birthrates-xinjiang(閲覧日 2021.8.27)
(*3)遠藤誉 online )「 ウイグル「ジェノサイド」は本当だった:データが示すウイグル族強制不妊手術数 」
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20210520-00238867 (閲覧日 2021.8.27)

 

5. 論点② 大量投獄や拷問、処刑

  • 最大700万人のウイグル人が強制収容所に送られた

    ウイグルでは、2017年以降「再教育」という名目で、強制収容所が作られ、多数のウイグル人が収監されています。欧米では、100万から300万人が収容されているとよく報道されています。先述の米国務省の報告書では100万以上の収監だとしていますが、亡命ウイグル人でつくる「世界ウイグル会議」元議長で女性人権活動家のラビア・カーディル氏は、500万人から700万人のウイグル人が収容所送りとなったと述べています。
    情報が中国当局に隠蔽されている現状、実数を明らかにすることは不可能ですが、少なくとも100万人単位のウイグル人が収容所に送られているのは事実でしょう。なお、ウイグル人の人口は、約1270万人です。少なくとも13人に1人が強制収容所送りになっていると見れば、事の重大さがよく分かります。

  • 収容所は劣悪で、拷問が繰り返されており、多数の死者が報告されている

    収容所は、非常に劣悪な環境です。元拘禁者の一部は、過密状態で、他の人とベッドを共有しなければならず、交代で寝ていると説明しています。また、中国政府は、収容所を単なる「職業技能教育訓練センター」だと主張していますが、漏洩した内部公式文書では、被拘禁者が「罰せられる」と繰り返し言及されていたとヒューマン・ライツ・ウォッチは報告しています(*4)。
    ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書では、収容所では、日常的に拷問がなされ、死者も出していることが示されています。メヒルグル・トゥルスン氏は3か月の拘禁中に9人の死者を目撃したと述べ、自身も裸にされたり、尋問中に電気ショックを受けたり、殴打されたと訴えています。
    米国務省の報告書によれば、これらの他にも、生存者から、水責め、強姦、強制避妊、強制売春、ストレス・ポジション(身体に負荷をかける姿勢を強要する拷問手法)、未知の薬物の強制投与、寒い独房にさらされたと言います。その結果、数多くのウイグル人が死に至っているのです。(なお、具体的な事例について、日本語文献としては、千葉大学のムカイダイス氏の『ウイグル・ジェノサイド』(ハート出版)や、強制収容所から脱出したサイラグル・サウトバイ氏の『重要証人』(草思社)に詳しい。)

  • 2017年から19年にかけて、ウイグルの少数民族が164万人以上減少した

    一連のウイグル人への弾圧によって、実際に犠牲になった人数は不明です。何度も繰り返しますが、中国共産党が「ジェノサイドでウイグル人がこれだけ死んだ」と公表するわけがありません。実際、ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書によれば、中国当局は、収容所関連の使者をほとんど認めないとしています。
    しかし、間接的には、ジェノサイドを裏付けることができます。東京大学大学院教授の平野聡氏による『中国統計年鑑』の分析です(*5)。彼によれば、新疆ウイグル自治区では、2017年~19年にかけて、総人口が2444万6700人から2523万2200人へと78万5500人増加しました。しかし、少数民族人口は1654万4800人から1489万9400人へと、164万5000人も激減していると言います。こうした人口動態は、ウイグルのみの異常事態であり、中国の他の少数民族は、人口を漸増させているのです。

  • 殺したウイグル人の臓器ビジネスで儲ける

    さらに、弾圧したウイグル人の臓器を摘出し、ビジネスで儲けているという非難まで存在しています。米国務省の報告では、そうした臓器移植システムの直接的な証拠は得られなかったとしつつも、間接的な証拠を挙げています。例えば、すべての新疆ウイグル自治区における12歳から65歳の居住者の生体認証データ(DNA、指紋、虹彩スキャン、血液型など)を当局が収集しました。また、収容所では、被拘禁者の胸部および腹部の臓器の健康診断を受けることを強制したという元収容者の証言もあります。

  • 中国での臓器移植の待機時間は、わずか2週間である

    また、臓器狩りの間接的な証拠として、臓器移植の待機時間が挙げられています(*6)。ほとんどの国では、あらゆる種類の臓器を移植するための待機時間は、最短で数カ月、しばしば数年かかります。対して中国はわずか2週間だとされます。それだけ迅速に臓器が提供できる理由は、はっきりしていません。
    ただし、発表データと照合すると、非合法的な臓器ビジネスの疑念が強く残ります。2017年の中国における公式の登録されたドナー(臓器提供者)はわずか37万5千であり、その中で、実際に「適格なドナー」と認められ、臓器提供を行ったのは5146人です。対してアメリカでは、100万人がドナー登録を行い、1万人以上が適格なドナーとして、臓器提供を行っています。これでは、中国の待機時間の短さは説明できません。
    実際の臓器移植は、年間6万から9万回行われているという推計もあります。これは、China Tribunalの報告書で示されたものです。公式発表の約5千の数値と比較したとき、非合法的な臓器狩りの存在が疑われるのです。なお、同報告書は、ウイグル人に加え、宗教団体である法輪功への臓器狩りを指摘しています。

  • 強制収容所の出現と時を同じくして、ウイグルの空港に「臓器専用レーン」が現れた

    臓器狩りを示唆する証拠して、空港の臓器専用の「高速レーン」も挙げられます。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジアは、ウイグルのカシュガル空港に「特殊旅客、人体器官運輸通道」と書かれた案内表示が出現したことを2017年に報じています(*7)。2017年と言えば、ちょうど強制収容所が作られた時期と重なります。まさに、国家事業として、強制収容所を作り、臓器ビジネスを行っている証拠と言えるのではないでしょうか。

  • ウイグル人をテロリストと考え、暴行を容認している

    ウイグル人を徹底的に弾圧し、残虐に扱うことができる理由の一つは、彼らをテロリストと同一視しているからです。ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書で次のような内部文書が紹介されています。「結果が確実に達成される」ために、「漠然とした理解、否定的な態度、もしくは抵抗さえ示す」被拘禁者に対し、「教育による暴行スタイルの変革」を通じて対処すること。さらには、習近平国家主席が演説で、イスラム教徒とテロリズムを混同し、「絶対に慈悲を示すな」と新疆ウイグル自治区の警察に指示したと言います。

  • 信仰というウイグル人のアイデンティティを徹底して壊す

    そうした習近平氏ですから、イスラム教に対して徹底して不寛容です。ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書では、祈りや断食など無害な宗教的慣行のために、イスラム教徒を拘留したと伝えています。
    そうした、信仰への警戒は収容所内でも同様です。同報告書は、収容所が最初のスクリーニングに基づいて、3つのゾーンに被拘禁者を分けて収監しているとしていますが、日本ウイグル連盟会長のトゥール・ムハメット氏は、収容レベルを分ける最も重要な基準は、実は「信仰心」であり、「コーラン」の暗唱や、お祈りの頻度をAIに分析させ、3段階に分けていると述べています(*8)。ウイグル人の根幹をなす信仰を徹底して破壊することで、民族自体を消滅させようとしているのです。

(*4)ヒューマン・ライツ・ウォッチ online 「血筋を絶やし、ルーツを絶やせ」
https://www.hrw.org/report/2021/04/19/break-their-lineage-break-their-roots/chinas-crimes-against-humanity-targeting(閲覧日 2021.8.27)
(*5)平野聡 online )「 これぞ動かぬ証拠 “新疆ジェノサイド” 示した中国統計年鑑」
https://wedge.ismedia.jp/articles/21994(閲覧日 2021.8.27)
(*6)China Tribunal online )「 Independent Tribunal Into Forced Organ Harvesting of Prisoners of Conscience in China 」
https://chinatribunal.com/wp-content/uploads/2019/06/China-Tribunal-SUMMARY-JUDGMENT_FINAL.pdf(閲覧日: 2021.8.27)
(*7)ラジオ・フリー・アジア online )「 南航空運活體器官逾500宗器官來源再受關注」
https://www.rfa.org/cantonese/news/organ-10062017075527.html(閲覧日 2021.8.2 9)
(*8)ザ・リバティ online )「 なぜここまで残虐なのか 習近平 徹底解剖 パート 1 残虐さ」
https://the-liberty.com/article/18610/(閲覧日 2021.8.27)

 

6. 論点③ 強制労働

  • 強制収容所からの出所後に、中国全土への「強制労働」が待っている

    強制収容所で、十分な「教育」をなされ、「卒業」できた者には、本人の意志と反する強制労働が待ち受けています。このことは、米国務省の報告書でも示されています。
    また、彼らの強制労働はウイグル近郊にとどまりません。中国全土の工場に送り出されていると報告されています。送り出されたウイグル人は、「移動の自由」が制限され、AI技術で、徹底的に監視されます。なお、2014年から19年にかけて、新疆ウイグル自治区の労働者に対し、毎年平均129万人に「職業訓練」を提供したと認めています。

  • 日本企業もウイグル人の強制労働に無関係ではいられない

    強制労働としてウイグル人は、強制収容所以外からも送り出されていますが、その送り先の工場は、非常に幅が広くあります。2020年3月のオーストラリア戦略政策研究所の報告書によれば、アップル、BMW、ギャップ、ナイキ、サムスン、ソニーとフォルクスワーゲンなどで強制労働が強く疑われていると言います(*9)。
    2021年になると、強制労働に加担する企業への視線より重いものとなっています。7月には、「人道に対する罪」を隠蔽した疑いで、ユニクロを含む衣料品小売り4社をフランス検察当局が捜査を開始しました。現在、脱炭素で脚光を浴びる太陽光パネルに対しても、ウイグル人の強制労働が疑われています。米バイデン政権は6月に、中国の関連企業5社に対し、制裁を科しました。その結果、太陽光パネルや主原料のシリコンは高騰。特に、シリコン価格は5倍まで上昇しました。
    強制労働は、全国に広がっているため、たとえウイグルに工場を持たない企業であっても、中国に進出している限り、その影響を免れることはできません。また、一般の日本人であっても、衣料品や太陽光パネル等の購入によって、間接的に強制労働を助長してしまう恐れがあります。

  • 強制労働が民族根絶の手段として使われている

    ところで、強制労働とジェノサイドでは、同じ人権弾圧であっても、種別が違うとも考えられます。しかし、2020年12月のジェームズタウン財団の報告書によれば、ウイグルから他の地域に連行し、強制労働を課すことは、ウイグル人を根絶し、同化させ、人口削減を進める国家計画の一部であると指摘しています(*10)。
    例えば、中国の学術出版では、強制労働によって、「(ウイグルの)固まった社会」を解放し、宗教の悪影響を緩和する決定的な手段だと説明しています。また、2017年のある研究論文によると、ウイグル人の過剰人口が現体制への潜在的な脅威となるとしています。つまり、強制労働によって、ウイグル人を分散させることで、そうした脅威を無くすことを狙っているわけです。

  • 南海報告書は、ウイグル人強制労働の真の目的を示した

    こうした強制労働の真の目的を明らかにした南海報告書が確認されています。南海報告書は、2018年3月に実施されたフィールドワークを元に2019年12月に公開された報告書で、南海大学の「富と経済学の中国研究所」に所属する3人の学者によって編集されたものです。同報告書は、2020年半ばに中国のインターネットから削除されましたが、先述のジェームズタウン財団の報告書で詳細に分析されています。
    南海報告書では、強制労働における労働者の子ども扱いにも触れています。同報告書は、労働移転の段階を7つの段階で示しており、最終段階として「労働者の定着」を挙げています。ここで、「当局は、労働者の子どもと高齢者の親族を集中介護施設にいれる」とされています。
    これは、ジェノサイド条約に違反する可能性があります。第2条の(e)では、「集団の子どもを他の集団に強制的に移すこと」を該当条件として定めているからです。この指摘は、ジェームズタウン財団の報告書でも述べられています。

(*9)オーストラリア戦略政策研究所( online )「 Uyghurs for sale 」
https://www.aspi.org.au/report/uyghurs-sale (閲覧日 2021.8.27)
(*10)ジェームズタウン財団 online )「 Coercive Labor and Forced Displacement in Xinjiang’s Cross Regional Lab or Transfer Program 」
https://jamestown.org/product/coercive-labor-and-forced-displacement-in-xinjiangs-cross-regional-labor-transfer-program/(閲覧日 2021.8.27)

 

7. 結論 日本人には、ウイグル・ジェノサイドを明らかにする責務がある

ウイグル・ジェノサイドは、現在進行形で進んでいると考えるべきです。冒頭で述べた通り、ジェノサイドを示す明確な証拠はありません。しかし、間接的な証拠は枚挙に暇がありません。それも事例を整理すれば、ジェノサイド条約第2条に示される、5つの条件にそれぞれ該当する事例を示すことができるのです。

日本は、アジアを代表する民主主義国として、こうした人権弾圧に対して、積極的に声を挙げていかなければいけません。「ジェノサイドの明確な証拠がない」と言って、中国共産党の行いを看過すれば、それが助長され、更なる悲劇が拡大再生産されるだけです。
最後に、大川隆法党総裁の近著『コロナ不況にどう立ち向かうか』のあとがきより、一節を抜粋します。

中国のアジア覇権拡張主義は、共産主義革命というよりは、愛国主義ナチズムの登場だと考えるべきだし、北朝鮮の核兵器も二〇三〇年より前に廃棄させることである。悪魔の法治主義や、悪魔の世界一元管理などは絶対に阻止することである。悪魔の帝国への「内政干渉」などは概念として成り立たず、人類としての救済の責務があるのみである。香港・台湾は助けよ。万一難民が出たら、日本は保護せよ。日本を核攻撃するという国に対しては、万全の備えをせよ。国防をおろそかにする国に、国民は納税の義務はない。神仏を信じる国としての自覚を高めるべきである。

以上

 

ウイグル・ジェノサイドの認定を幸福実現党が求める理由

 


 

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