「世界大戦」を防ぐためウクライナの中立化を
ロシアは2月24日、ウクライナ侵攻を開始しました。ゼレンスキー大統領は「徹底抗戦」を掲げ、各国にも支援を求めています。しかし、ウクライナがこれ以上、欧米を巻き込みロシアと戦えば「世界大戦」へと発展します。一刻も早い平和回復のために、ウクライナは中立化の道を選ぶべきです。
ウクライナの火種は世界の危機を招く
現在、国際社会は、ロシアが一方的に悪く、ウクライナは被害者であるとの見方に立っています。しかし、今回の戦火は、ロシアの立場に対する理解に欠け、EU やNATO(※1)に加盟しようとしたゼレンスキー大統領が招いた失策と言えます。ウクライナ政府がこれ以上、日本や欧米を巻き込んで戦おうとすれば、ウクライナの火種は「世界大戦」へと発展します。ウクライナはこうした「越権行為」を改めるべきです。
※1北大西洋条約機構。冷戦期に旧ソ連に対抗するために結成された国際軍事機構
ロシアの立場を理解する
冷戦以降、欧米の軍事同盟である NATOはロシア側(東側)に向かって拡大していきました。しかし、これはロシアの安全保障を脅かすため、ロシアはかねてから NATOの東方拡大に反対してきました。特にロシアにとってウクライナには、ヨーロッパに対する緩衝地帯という地政学的な意味合いがあり ます(図)。かつて、ナポレオンやヒトラーの侵略からロシアが守られたのは、ウクライナという緩衝地帯があったからです。
ウクライナが欧米側に急接近すれば、ロシアが対抗措置を取ることは予見できることでした。
また、今回のウクライナ侵攻には、親ロシア派の人々を反ロシア勢力の迫害から守りたいというプーチン大統領の意図もありました(※ 2)。
※2プーチン大統領は、ロシア系住民の多いドンバス地方の自治権を守ることなどを定めた「ミンスク合意」が反故にされたとして、ウクライナに侵攻に踏み切った。
踏み込みすぎた日本
日本は欧米に追随し、国会でロシアの非難決議 を採択したり、経済制裁を行いました。さらに、ウクライナに防弾チョッキなどの提供もしていますが、これは「軍事協力」であり、踏み込み過ぎであると言わざるを得ません。
ウクライナがNATOに加盟すれば、モスクワの目と鼻の先にアメリカのミサイルが並べられかねない
バイデン大統領
プーチン大統領
ゼレンスキー大統領
“Joe Biden” by Gage Skidmore is marked with CC BY-SA 2.0.
“Vladimir Putin” by theglobalpanorama is marked with CC BY-SA 2.0.
President.gov.ua, CC BY 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0, via Wikimedia Commons
日本はロシアと敵対せず、中国包囲網形成を
独自外交でウクライナの中立化を
プーチン大統領の「(NATO 陣営と戦うという)負のシナリオを回避したい」との発言からも、ロシアにウクライナ全土を併合する意思はなく、欧米との戦争も望んでいません。ロシアは停戦条件として「ウクライナが NATOへ加盟せずに中立であること」を求めていますが、ウクライナにとっても抵抗の砲火を止め、ロシアと友好的につき合うことが、これ以上国民の犠牲を出さず、国家を存続させる道です。日本としては、ウクライナがロシアとEUと中立関係を築けるように、独自の外交努力をすべきです。
本当の脅威はロシアではなく中国
現在の日本と世界にとって、本当の脅威は中国です。中国は尖閣周辺への領海・領空侵犯を繰り返し、日本を狙う ミサイルを配備しています。さらに、言語や文化の異なるウイグルやチベット、南モンゴルを「自治区」として組み入れ、拷問や虐殺、核実験など苛烈な人権弾圧を行っています。
日本がロシアを追い込めば、ロシアは欧米や日本と対峙するために、中国や北朝鮮と手を組まざるを得なくなります。そうなれば、日本は中国とロシアと同時に戦うという最悪のシナリオもありえます。
中国は新疆ウイグル自治区において、地下や地上、空中で四十数回の核実験を行い、数十万人のウイグル人が犠牲になっているとされるが、その実態は公表されていない。
出典:Arms Control Association より
国益のためにも日露友好を
プーチン大統領はロシア正教を復活させた信仰篤い人物である一方、中国は「無神論・唯物論国家」であり、残虐な人権弾圧をも躊躇しない政治を行っています。ロシアの行動と中国の覇権拡大は、意味合いが根本的 に違うことを理解すべきです。また、対中包囲網の形成やエネルギー安全保障の観点からも、日本はロシアと友好関係を強化するほうが国益に適うのは明らかです。
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