幸福実現党政務調査会
2024年5月15日
「国際保健規則(IHR)」と「パンデミック条約(WHOCA+)」について――「感染症全体主義」への流れを食い止めるために(党政調会見解)
現在、WHO(世界保健機関)において、新型コロナウィルス感染拡大の経験を踏まえ「国際保健規則(IHR)改定」と、いわゆる「パンデミック条約(WHOCA+)」に関する議論が進められています。
こちらに関する現時点での考え方について、以下にまとめました。
1.中国の責任追及を怠ったWHOの権限強化には反対
「国際保健規則」とは、WHO加盟国に適用される国際規則であり、既にある規則の改定作業が進められています。一方、「パンデミック条約」とは、今回新たに作成されるものです。両者とも、5月中に行われるWHO総会での採択を目指しています。
「パンデミック」条約は、新型コロナ対策の「教訓」をもとに、国際的な感染症対策を強化し、新たなウィルスの流行を予防する目的があります。
締約国は感染症対策のための計画を作成して定期的に見直すことや、途上国の対策のために資金を出すこと、ワクチンや治療薬を途上国でも生産できるように技術移転を促すことなどが盛り込まれる見込みです。
WHOの権限を強化し、ワクチンや治療薬の特許を持つ先進国に負担を強いる内容ではありますので、決して望ましいものとは言えません。
そもそも、WHOは新型コロナの感染対策が適切であったか、十分な検証をしていません。特に問題なのは、新型コロナウィルスの起源に関する追及を曖昧にしていることです。
幸福実現党は、新型コロナは中国発の生物兵器であることを訴えてきました。このウィルスの起源を追及し、中国の責任追及をすることこそ、最大の感染対策であるはずです(参考:2022年4月主要政策)。
中国に政治的に配慮してこの原因追及を怠り、世界に感染を拡大させたWHOの権限を強化することは、感染症対策にはつながらないと言えます。
2.日本のパンデミック対策に「利用」される懸念
なお、SNS等においては、「国際保健規則」の改正や「パンデミック条約」採択によって、各国は主権を奪われ、ワクチン接種が強制され、自由が奪われるという説が見られます。
しかし、「ワクチン接種の強制」という内容は現時点(3月13日時点)での草案には書かれていません。また、「国際保健規則」の条文案には、国家主権の尊重に触れた箇所があります。
少なくとも日本においては、「国家が締結した条約や国際法規は誠実に遵守する」ことが憲法(第98条2項)に明記されているものの、憲法に反する内容であれば効力は有しない(第98条1項)とされています。
万が一、ワクチンの強制などが盛り込まれたとしても、憲法では基本的人権や自由が最大限尊重されているわけですから(第13条など)、そのような条約や国際法規は無効です。
そもそも、WHOのような国際機関には、その取り決めを強制的に守らせる権限や実行力(警察や司法機関など)があるわけではありません。あくまでも、そのような国際的な取り決めをどの程度受け入れ、どのような法律をつくるか、ということは各国の判断にゆだねられています。
ただし、先のコロナ禍においては、日本をはじめ各国でワクチンを事実上強制したり、過度な自由の制限がなされたりしたことは確かです。また、日本は特に「外圧」や「国際機関のルール」などを理由に“空気”が醸成され、政府に都合の良いものが創られがちではありますので、「パンデミック条約」などを理由に私たちの自由が制限されないか、注視する必要はあるでしょう。
3.「緊急事態条項」創設は国民の自由の制限につながる
その意味で今、大きく警鐘を鳴らすべきものとしては、憲法に「緊急事態条項」を創設しようという動きです。
緊急事態条項とは、テロや大規模災害等の緊急時に、一時的に政府や国会に強い権限を与えるものです。「大規模災害」のなかには、感染症の拡大なども含まれます。
議論されている内容は、「国会議員の任期延長」と、国会召集もままならない状況に陥った際などに政府が法律と同じ効力を持つ政令を定めることができる「緊急政令」の二点です。
「緊急政令」については野党を中心に反対論が多く、現時点では、「国会議員の任期延長」に焦点が当たっていますが、「緊急政令」の議論も引き続き行われています。
いずれにせよ「緊急事態」を名目に政府の権限強化や任期延長を行うことは、国民の自由を奪うことにつながります。私たち幸福実現党は、国民の自由の保障が何より重要であると考えます。
実際、コロナ禍においては、何度も「緊急事態宣言」が出され、「自粛」という建付けながら、事実上、外出や営業の自由が制限されました。さらにはワクチン接種者に「ワクチンパスポート」(接種証明)を与え、ホテル代割引などの「ご褒美」を与えました。このような“実績”を見ても「緊急事態条項」の創設で、国民の自由がより制限される危険性は高いといえます。
「国会機能を維持することで、政府の暴走に対する抑止とすべき」という議論もあるようですが、そもそも先のコロナ禍では、国会は国民の自由を守る機能を果たすどころか、コロナ対策を強化する法整備を進めました。
緊急時の国会機能の維持は、現行憲法54条第2項の「緊急集会」で可能であり、自由の制限につながりかねない「緊急事態条項」の創設には反対です。
4.「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の重要な問題点
もう一つ危惧されるのは、政府が進めている「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の内容です。これは、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)第6条に基づく「法定計画」であり、国会の審議は必須ではなく、6月中に閣議決定される見込みです。
この計画には、「偽・誤情報に関する啓発」という項目があり、「感染症危機下には、偽・誤情報が拡散されるため、各種媒体を活用した啓発を行う」「ワクチン接種や治療薬に関する科学的根拠が不確かな情報等、偽・誤情報の拡散状況等のモニタリングを行い、科学的知見に基づいた情報を繰り返し提供する」という趣旨のことが述べられています。
さらに、「SNS等のプラットフォーム事業者が行う取組に対して必要な要請や協力等を行う」と記されており、インターネットへの「監視」が強化されることが予想されます。
しかしながら、情報の真偽の判断基準や誰が判断するのかは不明であり、「偽・誤情報」の範囲が恣意的に拡大される可能性があります。
実際に、政府は新型コロナワクチンの健康被害を訴える人々の声を「デマ」と切り捨て、「副反応は心配しなくていい」と繰り返し訴えてきました。その政府が、情報の真偽を判定し、「監視」を強化する流れは憲法第21条2項が禁じる「検閲」であり「言論統制」につながります。
SNS等では根拠不明な情報があることも確かでしょうが、悪意ある犯罪につながるものでなければ「言論の自由」は最大限に尊重されるべきものといえます。
情報の「監視」が強化されれば、学者やマスコミにも政府発信に反する言説を述べることを委縮させ、「自由」と「民主主義」を死滅させる危険が高まります。
5.ワクチンに関する正確な情報の開示を
コロナ禍において、特に正しい情報の提供が必要なのはワクチンについてです。
幸福実現党は、新型コロナワクチンによる健康被害の拡大は大問題であると考えており、ワクチンに関するデータを厚生労働省が隠蔽、改ざんしたことについてその責任を追及すべきです。特に、「ワクチン接種歴不明」の人を「未接種」として計上し、未接種の感染者数を実態より多く見せ、ワクチンの効果を大きく見せていたことは、国民への裏切りです。
そもそも接種開始時には、通常のワクチンよりも治験のプロセスが省略されており、リスクと効果の検証が十分ではないことを広く伝えるべきでした。
このように、各自が自身の考えに基づいて選択できるような情報を開示した上で、自由選択を尊重するというのが私たちの基本的な考え方です。
接種の強制はもちろん、事実上の強制につながるワクチンパスポートなどは当然反対ですが、ワクチン自体を全否定することも望ましくありません。ましてや、接種を望む人を非難することは問題です。
私たちは、自由こそ最も大切な守るべき価値だと考えており、各自が自分で考えて判断でき、その責任を負うことができると信じています。
もちろん、政府が接種勧奨を行ったワクチンで健康被害が出れば法律に基づいて補償をし、メリットを上回る健康被害が出れば接種勧奨を止めるべきことは当然です。
6.国民一人ひとりが「自由」の尊重を
このように、感染症対策を名目に政府の権限が強まり、国民の自由が奪われていく「感染症全体主義」への流れは、幸福実現党が最も危惧しているところです。
こうした動きを食い止めるために必要なことは、国民一人ひとりが自由の大切さを自覚することです。
緊急事態宣言が何度も発出されたのは、コロナ感染拡大への恐怖から国民が求めた結果でもありました。国家の暴走は、国民が自由と自己責任の大切さを忘れたからであるとも言えます。
私たちは、神から与えられた自由の大切さを繰り返し訴え、「全体主義」につながる動きに警鐘を鳴らし続けてまいります。
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「国際保健規則(IHR)」と「パンデミック条約(WHOCA+)」について――「感染症全体主義」への流れを食い止めるために(党政調会見解)