中国海軍による海自護衛艦へのレーダー照射を受けて

海上自衛隊の護衛艦が先月30日、東シナ海で中国海軍艦艇から射撃にあたり使用する管制レーダーを照射されていたことが明らかになった。また、同月19日にも、東シナ海において、海自のヘリコプターが中国海軍からレーダー照射を受けたとみられている。

中華帝国主義を加速させる中国は、尖閣周辺で公船による領海侵犯を常態化させるほか、領空侵犯を行い、軍機による領空接近も繰り返している。習近平総書記が、全軍に対し対日戦争準備を指示していたことも明らかになっており、今回のレーダー照射からは、中国側が日本との軍事衝突も織り込み済みであることが窺える。政府は公表まで約1週間かけているが、分析・検討にそれほどの時間が必要とは思えず、何らかの政治的思惑があったものと推察される。3年前にも民主党政権下で同様の事案が発生し、民主党内の親中派有力議員がその公表を抑えていたとの情報もあるが、こうした姿勢こそが、中国の暴走を招いていることに気付くべきだろう。

不当な領土要求を押し通そうと、中国が挑発行為をエスカレートさせる中、日本政府は、抗議をもって終わりとしてはならない。今回、数分間に及ぶレーダー照射に対し海自は回避行動をとったが、迂闊に中国の挑発にのる必要はないものの、再発防止に向けて日本として断固たる姿勢を示す必要がある。そこで、安倍首相には、「再発の際は自衛隊への攻撃意思があると見なし、対抗措置も辞さない」旨明言するよう求めたい。

また国際社会に対し、尖閣が日本領土である事実をあらゆるチャンネルを通じて発信し、中国の主張や行為の不当性を明らかにすると同時に、尖閣防衛のため、強制力をもって海・空からの不法な侵犯行為を排除しうる法整備を急ぐべきである。

そもそも、こうした侮りを受ける背景に、日本の防衛政策である「専守防衛」や、いわゆる「吉田ドクトリン」があることは明らかだ。日本を取り巻く情勢が悪化する中、自分の国は自分で守るという主権国家としての大原則に立ち、安全保障政策を早急に見直さねばならない。抜本的な国防強化には憲法改正が必要だが、「今、そこにある危機」に即応するためには、我が党がかねて主張するように、国際法上当然認められる自衛権の行使を堂々と認め、報復能力を備えることも有効だろう。

先月25日、習近平氏は、訪中した公明党・山口代表との会談で、尖閣の「対話・協議による解決」に言及した。しかしながら、今回の事案からは、尖閣奪取へ向けて軍事衝突も辞さないとの中国の“本心”がみてとれる。また、19日の海自ヘリに対するレーダー照射について、安倍首相には山口氏の訪中前にその報告が入っていたとされる。同氏の訪中に配慮し、公表を控えたとするならば、首相の対中姿勢は無定見と言わざるを得ない。安倍首相は経済再生を最優先とする構えだが、選挙目当ての“安全運転”に徹し続ければ、中国に足元を見られ侵犯行為が加速するばかりか、不測の事態も生じかねない。立党以来、一貫して国防上の国難到来を訴えてきた我が党として、安倍政権に対し尖閣有事への備えを強く求めるものである。

 

幸福実現党 党首 矢内筆勝

中国海軍による海自護衛艦へのレーダー照射を受けて

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