「人生100年時代」
揺れる年金問題、今こそ抜本改革を
幸福実現党
党首 釈量子
20代の若い人たちは毎月の給料から年金保険料として平均約4万円を納めています。
しかし、納めたお金は自分の老後のためではなく、現在の年金世代を支えるために使われています。
それでもお金が足りず、度重なる増税で年金不足分を補っているのが現状です。
日本の年金制度は破綻寸前の自転車操業なのです。
年金維持のための増税が不況を招き、給料を減らし、老後の不安を増やす──。
これでは本末転倒です。
私たちは年金制度の抜本的改革と「生涯現役社会の実現」「少子化対策」「経済成長」などが必要だと考えます。
「公的年金の財政検証」発表──年金は、「100年安心」か?
今年6月「、老後に夫婦で2000万円が必要」との金融庁の報告書が出され、国民の間で年金不安が高まっていましたが、厚生労働省は8月末、年金制度の健康診断ともいわれる「公的年金の財政検証(※1)」の結果を発表しました。
(※1)「公的年金の財政検証」(8月27日、厚生労働省)とは、年金制度の「健康診断」とも言われ、5年に1度発表される将来的な年金の支給水準の試算などをまとめたもの。
日本の年金制度では、現役世代の平均手取り収入に対して、どれくらいの比率で年金が給付されるかを示す「所得代替率(※2)」を50%以上に維持することを法律で定めています。今回の調査結果では、2019年は現役の平均手取り月収額35.7万円に対して夫婦の年金額は約22万円で、所得代替率は61.7%でした。しかし、標準的GDP成長率0.4%の想定でも何とか所得代替率50%を維持できる程度です。経済がマイナス成長になるGDP-0.5%の想定では2052年に年金積立金が枯渇し、所得代替率が46.1%まで低下します。また、今回の調査では非正規で働いている方のように、国民年金だけで老後の生計を立てるケースを想定していません。
(※2)「所得代替率」とは、年金を受け取り始める時点における年金額が、現役世代の平均手取り収入額と比較してどのくらいの割合かを示すもの。
10月には消費税が10%に増税され、社会保険料も増え続けることを考えると、日本経済が今後、再びマイナス成長に陥るケースも十分にあり得ます。
皮肉なことに、今回の財政検証を通じて年金改革が急務であることが改めて浮き彫りになったと言えます。
現在30代の夫婦が65歳時に受け取れる年金額(図)
「公的年金の財政検証(※1)」を元に作成
現在30代の夫婦が65歳時に受け取れる年金額
2046年(令和28年)
GDP高成長(実質0.9%)
物価上昇率2.0%
夫の手取り月収額 50.6万円
夫婦の年金額
26.3万円
所得代替率51.9%
厚生年金
12.8万円
国民年金
13.5万円
2047年(令和29年)
GDP標準的(実質0.4%)
物価上昇率1.2%
夫の手取り月収額 47.2万円
夫婦の年金額
24万円
所得代替率50.8%
厚生年金
11.6万円
国民年金
12.4万円
2052年(令和34年)
GDPマイナス成長(実質0.4%)
(実質-0.5%)物価上昇率0.5%
夫の手取り月収額 40.7万円
夫婦の年金額
18.8万円
所得代替率46.1%
厚生年金
7.6万円
国民年金
11.1万円
揺らぐ、年金制度 3つの問題点
1 政府官僚や政治家による”詐欺”!?
国民が、将来、もらえるものだと思って納めていた年金保険料を保養施設の建設費、天下り特殊法人設立など、年金以外の目的に使いました。
保険料を他の目的に流用した行為は、国家的詐欺ではないでしょうか。
2 税金投入で年金を回す「自転車操業」状態
公的年金制度は、事実上破綻寸前ですが、税金で埋め合わせることで年金は維持されています。
税金を投入して年金を回す「自転車操業」状態にありますが、増税すれば景気も冷え込みます。
3 世代間不公平
高齢者の年金を現役世代で支える「賦課方式」が採用されており、それが年金の受給と負担のバランスが世代によって異なるという不公平を生んでいます。
1950年
65歳以上1人に対して、15~64歳は12.1人
2017年
65歳以上1人に対して、15~64歳は2.2人
2065年
65歳以上1人に対して、15~64歳は1.3人
「高齢社会白書」(平成30年)より作成
この傾向を放置すれば、いずれ、受給額の引き下げ、支給開始を遅らせる、さらなる増税、支払期間の延長などが強いられることに……。
今こそ、幸福実現党は提案します
今こそ抜本改革に向けた議論を
1. 生涯現役社会の実現
意欲あるシニア世代の雇用を増やし、働き続けられる社会の実現を目指します。
現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答。70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答と合計すれば、約8割が高齢期にも高い就業意欲を持っている。
内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査」(平成26年)
2. 家族や地域社会による支え合い
遺留分制度(※)を廃止し親の老後の面倒を見る子供にメリットを与えます。
地域社会のネットワークを活用し高齢者の暮らしを支援します。
(※)遺留分とは、遺された家族が、遺言にかかわらず受け取ることができる一定割合の相続財産。
3. 人口増加と経済成長
安心して子育てができる環境を整備します。
親日国に限るなど一定の条件のもと、移民受け入れを検討します。
未来産業を育成し、経済成長によって所得をアップさせます。
4. 年金の抜本改革案を検討
年金制度の維持が困難な場合には破綻処理を行い、「年金国債」の発行(※)を検討します。
若年世代については新たな「積立型年金制度」を検討します。
(※)払い込まれた年金の金額分に応じて、譲渡性を持たせたもの。
リーダー国家
日本の針路
年金・日露外交・原発─
- 「人生百年社会」を生き抜く方法
- 「平均寿命」より「健康寿命」が十年も短い、どうする?
- 「やれることをやろう」精神
- 問題解決のヒント 他
大川隆法 著
幸福の科学出版刊
定価1,500円+税