「米中新冷戦、どうする日本!?」

~ノンフィクション作家・河添恵子×釈量子(未来対談vol.3)

米中新冷戦、どうする日本!?~ノンフィクション作家・河添恵子×釈量子(未来対談vol.3)

 

【釈量子の未来対談】第3回 米中新冷戦、どうする日本!?

2018年12月18日、中国問題の第一人者でもある河添恵子さんをお呼びして「米中新冷戦、どうする日本!?」と題して対談をいたしました。今回はそのインタビュー全文を掲載します。

 

出演

釈 量子
幸福実現党 党首
河添恵子
(かわそえ けいこ)氏
ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、87年より遼寧師範大学(大連)へ留学。94年に作家活動をスタート。最新刊「トランプが中国の夢を終わらせる」をはじめ著書は多数にのぼる。新聞・雑誌等への執筆も多い。

 
 本日は、中国問題の第一人者でいらっしゃる、河添恵子先生との対談を始めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

河添 よろしくお願いします。

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
 中国を巡る問題については、随分長く私たちもみてきたつもりではいたのですが、ここ一年(2018年)、激動の年になりましたね。

河添 そうですね。

 

習近平氏参謀 謎の死

 まず、こちらのニュースから。HUAWEI(華為技術)の孟晩舟・副会長が逮捕されて、その同じ日に奇しくも……

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
河添 はい。スタンフォード大学の張首晟さんという教授、本当に理系の頭脳の方が自殺をしたと。それが12月1日なんです。たまたま同じ日だったのかというのが、非常に不可解でもあるし、どちらが先かというのが、よくわからないのです。

 それも、スタンフォード大学の大学内で命を絶たれたということですね。

河添 そうなんです。実は彼と学生さんとで組んで、2013年に投資会社をつくっているんです。その投資会社というのが、2013年と2018年で、計4億3,450万ドルも集めたと言われているんですが、その時に実は連動して動いていたのが、アリババのジャック・マー(※アリババグループの創業者)さんなんです。皆さんもご存じの方はいらっしゃると思いますが、これ以上は深くあまり言えないんですが、アリババのジャック・マーさんとソフトバンクの孫さんは、非常に近い関係にあるんですね。

 アリババの一番の株主が、ソフトバンクの孫さんですよね。

河添 はい、そうです。アリババが上場する時に、その上場益で儲けたと言われているのは、江沢民の孫、そしてアリババのジャック・マーさん、そして孫さんです。ですから、このごろちょっとソフトバンクは、ガタガタといろいろあるんですが、こういった事件と無関係ではないというふうに見ているわけですね。

 ちょっと何か、背筋が寒くなるというか。さっそく鳥肌が立ってきました。不用意なことをお話しになると、河添先生もそろそろ危なくなってきているのではないですか(笑)。

 

“スパイ天国”日本

河添 12月1日に、一人のすばらしい科学者が自殺された。その方は、ある種、産業スパイの胴元のような状況もあって、この技術を中国から入手するべきだ、この人をリクルーティングすべきだということをやっていた人です。彼はアメリカ担当なんですね。じゃあ、日本にもそういう人はいると、思うべきじゃないですか? ということで、私は正直、知っているのですが、日本はそのまま野放しですよね。どうなっているのか、私は逆に理解できないです。そういう日本が。

 

「千人計画」とは

 いわゆる「千人計画」を企画したと言われる張さんが、名前を挙げるような形で、日本でもこの技術を中国に持っていくべきだと、虎視眈々と目を光らせている学者の先生が、日本にいるということなんですね。

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
河添 はい、いらっしゃいますよ。少なくとも、日本の国費で入って来た方ですね。とても優秀な方です。その方自身も早い段階で「千人計画」に選ばれています。

 その「千人計画」の名前はオープンになっているんですか?

河添 それを最近、隠すようになったんです。要するに、中国のエリートなので、みんな海外に出ているんですが、2015年からアメリカFBIの捜査対象になってしまったので、2018年時点では、(「千人計画」のWebサイトから)その名簿は削除されてしまったんです。私はそこでチェックしていたので、データは持っているんですが、その名簿欄をクリックしても削除されて、何も出てこないんです。本当か嘘かわかりませんが、「『千人計画』のメンバーの名前を今後公にしないように」「新たに応募する際は、今後はFAXと電話を使うように」という通達が出まわったという記事を、中国の関係者から聞きました。

 じゃあ、アナログで対応しようということですね。いわゆる「千人計画」に名前が挙がっていた対象者は、アメリカからすれば逮捕対象ということになるわけですね。先ほどのスタンフォード大学の張さんは、自殺なんでしょうか? 他殺なんでしょうか?

河添 中国で言われているのは、「自殺という他殺」。よくわからないんですね。死人に口なしなので何とも言えないのですが、自殺という形で死んでいる人はいないんじゃないいかと、よく中国の方はおっしゃいます。

 

トランプが「中国の夢」を終わらせる

 2017年3月、河添先生のご著書が発刊されました。

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 

河添 『トランプが中国の夢を終わらせる』ですね。

 これはかなり踏み込んだタイトルですね。発刊されたのは2017年3月。

河添 このタイトルを決めたのは1月です。その段階では「こいつ、何を言ってるんだ」という感じで、私のことを見ていた人も多いわけです。少なくとも、トランプ大統領にそんなことができるわけないと思われていたわけですが、私自身、なぜこのタイトルをつけたかというと、トランプ大統領がどのような人間関係を持っていて、どのような思想の持ち主かというのは、本人の過去を調べればわかるわけです。その段階で、トランプ大統領は筋金入りといいますか、中枢には保守の人たちがいることが分かりました。アメリカと中国の「いい関係」というのは、アメリカの左派と中国共産党の関係だったのですが、

 もう一つ言えることは、中国がどんどん醜(みにく)く、大きくなっていくことを、西欧社会はもう許さない。そういった状況を強く感じた事件がありました。
2016年5月、エリザベス女王の園遊会で、女王が習近平一行のことを「rude(失礼なやつ)」とおっしゃったんですね。それを聞いた時、私の頭の中で、ゴーンとゴングが鳴るのが聞こえて、「ああ、これで西欧社会は全部、コロッと変わっていくな」ということを、私は確信したんですね。

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 なるほど。エリザベス女王の発言で、「キター!」と思った。

河添 はい。習近平の一行がイギリスに行った時に、大変失礼な行動を取っていたことは、イギリスメディアでも相当報道されています。エリザベス女王が90歳の時の園遊会で、わざわざ中国を警備した女性の警備長に「大変だったわね」という話をわざとして、その声をBBCに漏らさせて、その時に女王が「rudeだ」と言っていたんです。中国はいつも文句を言ってきますが、さすがにエリザベス女王の言葉に関しては反論できないだろうと。ですから、(西欧社会の)最高級の方が「もう許しませんよ」と言ったということです。

 このあたりの英国王室の動きというのは、非常に絶妙なものがありました。こうした国益や世界の秩序に関して、ご発言なさるエリザベス女王のお姿というのは、確かに大きなメッセージがありますね。

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
河添 必ず意味があるんですね。ですから、そういうキーワードなどを私は必ずキャッチして、それが何を意味するかを解析するわけです。

 2017年はロシア革命からちょうど百年でした。ロシア革命というのは、ユダヤ系左派の人たちが共産主義社会をつくっていくという革命だったわけですね。それからもう百年がたち、ある意味で、その流れをずっと汲んでいる大国というのは、中国だけになってしまいました。もちろん、北朝鮮という存在もありますが。ですから、そのフェーズがずっと続いてきた中で、「マルクス・レーニン主義を正統に受け継いでいるのは俺たちだ」と中国は言っているわけですが、少なくとも今のトランプ大統領の政権は、「赤い人たち」を嫌いな人たちが集まっている政権です。ですから、そういった流れの中で西欧社会が一丸となって、今、中国の醜い肥大化を防ぐために取り組んでいるところです。

 10月4日、ペンス副大統領の演説がありました。あれはエポック・メイキングというか、非常にすごい内容でしたね。

河添 あれは宣戦布告に近いと思うんですが、中国人という民族について言っているのではなくて、中国共産党政権のことを言っているんです。中国共産党は、政治、軍事、いろいろな意味で国際ルールにも従わない。人権も何もない。民主化するきざしもないということで、これ以上の膨張はもう許さないということで、ある種、宣戦布告をしたということだと思います。

 ペンス副大統領の口から、中国の悪行の数々が明らかになりました。その内容が非常にストレートだったのですが、日本の政治家の方々は、この演説全文をお読みになってらっしゃるんでしょうか。

河添 わからないですね。読んでるんですかね。

 これは絶対に知らなければいけない内容だと思います。

河添 本当は、日本の大メディア、少なくともテレビが採り上げるべきです。日経新聞などはある程度の内容を出していましたが、他は報道するのを嫌がっている。それはすなわち、中国が後ろでコントロールしているということも言えると思います。

 中国がメディア支配をしているところも、ペンス副大統領ははっきり言っています。最悪なことに、中国はアメリカ世論、それから2018年の選挙、2020年の大統領選挙の情勢に影響を与えようとしている、別の大統領を望んでいるということまで踏み込んで、発信しておられました。

河添 そうです。中国はそのように外国の政治の内側に入っていきます。

 結局、日本の政治も同じということですね。

河添 同じです。

 なので、戦略目標に対応する日本国内の政党、候補者、あるいは企業、メディア、学者など、すべてに日本も影響が及んでいると考えてよいでしょうか。

河添 長年、ずっと影響は及んできて、今に至るということです。日本のアカデミーは、本当に「アカ」です。完璧に「アカ」です。そうなってしまったのは、戦後のGHQの影響という話もありますが、1989年や1991年のソ連解体後、中国の影響がマネートラップとして大学にもお金が入れば、こんな教授を雇うなと。例えば、「30万人の南京大虐殺は嘘です」という教員は大学をクビになるわけです。それで中国が言っている嘘の歴史を話す人が教授になれるわけです。

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中国社会の限界

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
河添 中国は、中国国内だけでいろいろ技術革新していくことができないというのが、中国の限界なんですね。これについては、私も中国の大学に行っているので、つくづく感じるのですが、中国の社会というのは天才はいないんです。天才を生み出す土壌がないのです。要するに、全部暗記、暗記、暗記で、マニュアル人間なわけですよ。ですから、秀才はいます。暗記する大魔王の秀才は人のモノを盗むのも上手なわけです。だけど何も生み出せないわけです。暗記する時にさらに重要なのは、彼らは「答え」まで暗記するのです。例えば、「なぜ勉強するんですか」という問いには「なぜなら、社会に出て国に尽くすため」という答えを暗記する。思ってもいないのに。だから、結局、自分の思考というものがアバンギャルド(前衛的)にはならないので、彼らは何も生み出すことができないわけです。

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天才を育てる国 ロシアの文化

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
河添 それと対照的なのがロシアですね。ソ連ももちろんそういった部分では、共産圏だったわけですが、ロシアの教育は「0から100」なんです。何の暗記もないんですよ。要するに、白い紙を出されて「君、好きなことを書きなさい」という世界なんですね。だから、何かを生み出すことはできるけれど、何かをマネすることはできないじゃないですか。フィギュアスケートを見ていてもそうですが、独創的な方法で、美を勝ち取ってきたのがロシアです。日本はロシアに追随しながら、美しいものとか、ルールを守ってやってきている。そういう意味で、ソ連と中国は共産圏であっても、同じ教育ではないんですね。

 文化的に深いお話ですね。そう考えると、ロシアというのは確かにトルストイとか、非常に文化的深みがありますね。

河添 そうですね。あとはユダヤ系の一部の方々は音楽の才能もあり、ロケットを作るような理系の才能もあり、そういった才能をつぶされないような教育がソ連や今のロシアにはあります。ところが中国は、今、小学校を見ていても、いつも毎日漢字の練習や、英単語の暗記、計算など、朝から晩までずっと勉強しているんです。人間はどういうところでアバンギャルドで個性が出るかというと、そういう課題がない時間帯に人間は育つわけですね。

 例えば、私なんかもひとつの典型かもしれないけれど、私は幼稚園には1年半しか行っていないんですね。自分の好きなことしかしたくなかったので、大量に本を読んで大量に絵を描いて、ずっとピアノを弾いてたりしていたわけです。

 それは河添先生が子供の頃ですか?

河添 はい。大人の本も大量に読んでいて。それを親も許したというか、やれと言ったのではなくて、24時間、寝ているか、ご飯食べるか、読書をしてたわけです。そうすると、自分はいい意味で偏った人間になっていくじゃないですか。だから、自分がやっている物書きとか、何かを考えるということが、いまは何の無理もなくできる。もし(子供時代に)逆に抑えつけられて、「この時間は何をしなさい」「この時間は塾に行きなさい」と言われたら、もう私は気が狂ってるか、ただの普通の人になっていました。

 

プーチンとの最強タッグが創生する新世界秩序

 私は河添先生とお話しして、すごく魅力的だなといつも思うのが、そのあたりの気持ちがわかりました。河添先生の独創性があらわれていると思うのが、この『トランプが中国の夢を終わらせる』という著書の中で、「プーチンとの最強タッグが創生する新世界秩序」という章があります。幸福実現党も実は、米露、そして日本、世界中の自由主義の国、「自由」「民主」「信仰」を持っている国々で中国を封じ込めるべきだということを、強く言っているのですが、このロシアというのは……

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河添 私は、一番好きなのはプーチンですから(笑)。ずっとプーチン・ラブで見ているわけで。

 男の趣味としてはプーチンがいいと(笑)。

河添 世界最強の男ですよね。少なくともトランプさんが出てくるまでは、孤軍奮闘していたわけです。世界はグローバルでボーダーレスの時代になっていく中で、ロシアの利益を考えるために動いている。もちろん、それはプーチンの利益も含めていると考えていいわけですけど。孤軍奮闘しながらナショナリズムを保っていたところも含めて、私はプーチンが好きだし。

 もうロシアに対しては見方を大きく変えて、とにかく中国にフォーカスしないといけないですね。

河添 そうです。やはりトランプ政権がロシアを警戒している理由は、中国とくっつかないように警戒しているということですよね。

 日本にとっても、これから警戒しなければいけないのは、まさに尖閣、沖縄、最近では奄美大島も中国の爆買いで今大変なことになっているという報道も出てきています。中国の南進、南シナ海や台湾海峡あたりでこれから起きる危機を考えたときに、日本と中国の二正面にするのではなく、ロシアと中国の関係を分断しないと。

河添 だから一枚岩になってはいけない。特に新潟、日本海側、北海道もそうですし、北方四島の問題もあります。ロシアと中国が一丸となってしまったら、日本にとってもよくない上に、アメリカにとっても脅威なわけですね。ある意味、世界の秩序を変えるために、習近平はプーチンと組みたかったのですが、プーチンの思惑は中国に石油や天然ガスを買ってもらえばいいと。別にあなたのことはタイプじゃありませんというのが、プーチンの気持ちというか、ロシアの動きだったと思います。

 どちらかというとプーチン大統領は、トランプ大統領のほうがタイプ?

河添 タイプだと思います。恋人みたいな話になっちゃいますが。

 

5G時代の到来

 話は戻りますが、先ほどのファーウェイをはじめとする5Gの覇権が、かなり象徴的ですけれども、世界的に見たら、もうこれは決まったという感じですよね。

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※5G:第5世代移動通信システムの略で、次世代無線通信システムの中心としてなる核心的な通信技術。現在、パソコンや携帯などで運用されている通信速度は4G。5Gになると体感速度で4Gの100倍速くなると言われている。日本での提供開始予定は2020年。

 
河添 決まったと思います。要するに、5Gの時代が2019年から始まると言われている中で、中国共産党系の企業を排除するということは、もうファイブ・アイズ【Five Eyes】、少なくとも西欧社会のアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、プラス日本もそうなるし、もうなっている状況。プラス、おそらくインドもそちらに動いていくということになると思います。

 一時期、オーストラリアが中国に随分浸食されているという話が出ていましたが、それは。

河添 やはり、もう2016年あたりからコロッと変わってきました。ファーウェイのお金で接待されて、オーストラリアの議員は中国に行っていたんですよ。だから今、みんな気まずい状況で、そこから離れている。

 じゃあ、これはもう決定的ですね。私が非常にすごいなと思ったのは、ソフトバンクの基地局はファーウェイが提供しているんですね。

河添 そうですね。ファーウェイが無償で提供して作っていたんですよね。だから、最近、ちょっと何かソフトバンクで、電波障害の事故がありましたよね。あれはどこがしたのかなあ……っていう、まあ、ちょっと言えませんけど、何となく想像はつきますよね。「わかってるよね」ということですよね。あとは、顔認識システムも、どこかで技術を盗んだのか開発したのかわかりませんが、やはりファーウェイが中国全土でやっていて、そういったものを含めて世界にどんどん輸出しています。ということは、常に我々が中国共産党に監視される世界になるということですよね。

 中国も、ペンスさんが「ジョージ・オーウェル式」と指摘していましたが、24時間生活のすべてを監視する類をみない体制を、中国は国家として実現しているわけです。それを必ず、今度は世界に広げていくことが予想されます。

河添 そうです。それが5Gになると、やりやすくなるわけです。ですから、その5Gは絶対に許さない。それをされてしまったら、本当に世界中が中国共産党によって監視されるということになるわけですね。

 中国は「天網」という犯人追跡システムを作りましたけれども、まさにその「天」という言葉を、ペンスさんは「人間は現在しか見ないが、天は未来を見る」ということわざを最後に使って、その「天」が見せる、未来を見るという信仰、それは神の恵みによって米中はともにその未来が見えるのだという、そういう美しい言葉を使っておられました。まさに、中国の神をも恐れぬという……。

河添 中国は、自分が神様ですから。金様、神様ですよ(笑)。

 本当ですね。だから日本もまさに、その金様、神様ですよね。中国が差し出すお金を取るのか、それとも世界の平和と安全、それから人間の良心をとるのか。それを本当に考えなければいけないところですね。

河添 本当にそうです。特にペンスさんは福音派とも言われているけど、お母様はアイルランドの移民で、原理原則に近いカソリックなんですね。だから、ものすごく神様を信じていて、「神の下の自分」という考えがあります。それと、やはり中国は2018年9月にバチカンを攻略して、司教の任命権のことで手打ちしたというニュースが流れました。それはもうペンスさんたちのグループ、神への信仰を持っている人たちからすれば、もう本当に許せないことなんですよ。

 

中国による人権侵害

 この感覚が、日本人にはわからないんですよね。私たちも幸福実現研究所というNGOとして、先般、国連の人権理事会のプレセッションに参加させていただきました。アメリカも批判していますが、バチカン司教の任命権だけではなく、アメリカからすれば許せないのは、十字架を破壊して聖書を燃やし、子供にクリスマスを教えるのも禁止して、牧師さんたちは次々と逮捕されています。仏教もそうですね。チベットではここ10年間で、百何十人もが焼身自殺をしています。

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河添 そうですね。尼僧も多いです。

 それからウイグルも、イスラム教徒に24時間、棄教を洗脳して、中国共産党体制を植え込む。

 

中国による臓器ビジネス

河添 国連も人権委員会も、中国の牙城なんですね。だから国連でも何の改善もできないという中で、今、イギリスなどが裁判を始めています。エリザベス女王が任命した弁護士が勅選弁護士という形で、チームを組んで、何をするかというと、今回も人権デーに合わせて12月8~10日で初めてやったのですが、いわゆる法輪功の方などを含めた臓器オンデマンド、要するに臓器収奪についての裁判が始まっています。この20年、だいたい100万人ぐらいが殺されているのではないかと言われていて、その専門家や、ほうほうのていで逃げてきた宗教の方、もちろん法輪功以外ではチベットやウイグルの方々が証言台に立つという裁判が始まってるんですね。ドナー提供者がいないのに、なんで年間6~10万人もの臓器移植が行われているかということで、世界の専門機関があらゆる方法で調査しています。中国側は「1万~1万5000しかやっていない」と言っているけれど、専門機関は6~10万と言っているんです。

 その乖離というのは、中国はやっと公式に、1万数千の臓器の提供元は死刑囚だと言い始めましたが、それでも、とても足りないですよね。

河添 足りないです。しかも、ドナー提供の登録者は30数万人なのですが、それを考えるとアメリカでの手術の割合から計算すると、二十数名しか手術はできないはずなんです。だったら、いったいどこから? 完璧にオンデマンドですよ。なぜ法輪功の方なのかというのが、私も長年気になっていたので聞いてみたのですが、気功をやっていて身体がきれいな上に、お肉もあまり食べなかったりするし、タバコは吸わない。お酒も飲まない。身体がきれい。だから(臓器を)取られる。

河添 それから、お医者さんで公聴会で証言している話を、この間見せてもらったのですが、死刑囚を殺す時に右胸を撃っているんですよ。わかりますか? 心臓を取り出すためですよ。そんな殺し方、ありますか。いろいろな方法があって、あとは致死量の薬を投与して脳死のような状態をつくるとか。殺し方というか、死刑囚の人権もないのかという恐ろしい殺し方です。もちろん、誰だって自分の命は重要だけれども、その背景に、誰かが殺されているのだとすれば、それは非常に大きな問題です。

 結局、根本的なところですが、臓器移植というのは誰かが死なないと成り立たない医療なんですよね。だから、誰か死なないかなあと、待たざるを得ない。これはちょっと不幸な医療だと思うので、できれば私たちとしては、人工臓器や再生医療の開発が待ち望まれると思っています。

河添 そうですよね。

 そのあたりは医療の進歩とともに変わっていくところもあるかもしれませんが、日本もここは非常に弱いところですね。

 

中国製造2025

 中国の「製造2025」が、最近、2035年になるという話が出てきましたが。

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
河添 はい。私も夕刊フジの連載で書かせていただいたのですが、2025年に中国は半導体など、ハイスペックな技術をほとんど持って、メード・イン・チャイナでやるという目標を持っていたのですが、「千人計画」の人たちがどんどん捕まっているので、2025を10年延ばして、2035年にしたんです。だけど、それを公に言うのはメンツが立たないので、こっそりと中国の中枢が「2035」という言葉を使いだしたという話を聞いたので、その段階で私も夕刊フジに書いたんです。2025年にある程度のものを、中国が全部作っていくことは、もう無理です。なぜかというと、やはり産業のコメと言われているハイスペックな半導体の技術は、日本とアメリカと、一部分は台湾、あとはイスラエル、ドイツ、フランスもあるかな。でもヨーロッパはもう売らないわけですよね。あと頼りになるのは、中国が自分の国にすることですよね。そこで取ってしまおうと思っているわけです。

 日本は、こうした流れの中で考え方を大きく変えて、今もう冷戦が始まっているんだと。

河添 とっくに。

 ソ連との冷戦時代の考えを捨てて、今はもう米中の冷戦時代なのだと。もう新しい戦争は始まっているんだよという考え方に変えられないと、のんびりしたかたちで……。

河添 もう完璧に始まっていますよ。中国共産党政府を弱体化するかつぶしていくということは、西欧社会の中ではほぼ答えというか、結論があって動いていると、私は見ています。日本はまだ無防備なので、いろいろな技術が取られる可能性があると思います。「この企業のこの技術が欲しい」というのをリストアップしている、日本にお暮らしの優秀な中国人の方がいらっしゃるということを、皆さん、忘れてはいけないということ。そして、そういう人たちは表面的には非常に「いい方」ですから、「ああ、優秀でいい人だな」とみんなは思っているけれども、誰の後ろで動いているのかということを、ちゃんと考えなくてはいけない。彼らは別に日本のために、日本に帰化していても、日本のために動く人なんか1000%いないと、私は考えています。それなりの法整備をしながら、日本の技術が買われないようにするしかないし、あとはいい意味でも悪い意味でも、私は別に親米ではないのですが、今のアメリカの動きにくっついていくべきだと思います。一緒に連動していって、世界を変えていくというか、中国共産党の力を弱めていく方向に、政府や我々も一緒に動いていくべきだと、私は思っています。

 そうですね。幸福実現党としても、射程としては日本とアメリカで300年ぐらいの繁栄を実現することができるだろうというくらいの、壮大なビジョンを描いております。できれば軍事や宇宙分野も含めて、日本が自力でできるところをしっかりやっていかなければいけないと思います。

河添 中国共産党政権が問題なのは、国内でやっていることももちろん問題ですが、それを世界でやろうとしているわけですよね。だからその危険性を、私などをしみじみと認識しているつもりの人間ですが、多くは絵空事と思ってしまう。中国の毒牙というのは、もう相当日本に回っているので、それを認識しないといけないと思います。

 

2018年を振り返る

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
 今日はいろいろとお話を伺ってまいりました。背筋が凍るようなお話が、まだまだあるんですよね。2018年をあらわす字として、清水寺では「災」という字が選ばれました。災害が多かったということもありますが、災いを転じて福と成したいということで、この一字が選ばれています。

 国難としてのさまざまな災害だけでなく、静かに災いが迫っているということも、2018年は気づかせてもらうような一年だったと感じます。

 

2019年の展望

 また2019年も、動乱の一年になりそうですね。2019年はどのような年になると思いますか。

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
河添 そうですね。私の中のイメージでは、例えばパパ・ブッシュの時代に湾岸戦争があって、インベーダーゲームみたいな戦争が始まり、その時にCNNが出てきたんですよね。それまではCNNはそんなに有名でもなかった。そのように、必ず大きな出来事とメディアが一緒になったりしていて。10年前にはリーマンショックがありましたが、その前は9.11がありました。もちろん、9.11は人為的なもので、リーマンショックもそうですけれども、一番の責任者は捕まらずに、そうではない人たちばかりが、刑務所にいるわけですね。金融という分野でいえば、リーマンショック級よりももっと大きな出来事が、2019年あたりに起こる可能性が高いのではないかと思います。

 ドルペック制が崩壊するというようなことでしょうか。

河添 中国発の金融クラッシュみたいなことで、リーマンショックよりももっと大きなレベルの、世界同時株価下落みたいなことが、夏までには起きそうな気がします。勝手にそう思っているんですが。あとは、9.11のような、という言い方はあまりよくないんですけれども、ビジュアルチックな何かとんでもないことが起こる時に、今度はFOXテレビがそれを報じるのかなと。トランプさんに近いのはFOXテレビですから。

 今度はCNNではなくて。

河添 はい。そういう映画のような世界ですけど、何かそういうことが起きるのかもしれないという気がします。それと、四半世紀、25~30年に1回ぐらい、時代は大きく変わっていくんですね。私の中では、1986年~1991年、30年ぐらい前ですけれども、大きく時代が変わっていく中で私は中国にいたので、すごくそれを認識しているわけです。台湾と中国の間の戒厳令が解かれていったりとか、89年には天安門事件があったり、ベルリンの壁が壊れたり、そして91年にはソ連がロシアになるという流れ。本当に激動の数年間だったわけです。そういったことが2016年あたりから助走を始めていて、2019も続いていく。しかも前の時は昭和から平成へ、今回も平成から御代代わりという、何かあるのではないかと思っているんですね。

 そういう意味で来年も、私たちの生活にビジュアルチックに、衝撃的な何かが起きる一年になるかもしれません。私たち日本人としても、高い壁を築くところはしっかり築き、中国共産党政権に対しては警戒しつつ、中国国民に対しては同じ人間同士、差別することなく接していけるような未来を描いていきたいと思っています。本日は、「米中新冷戦、どうする 日本!?」ということで対談をさせていただきました。たっぷりいろいろなお話が聞けました。これからもまた新しい情報があるたびに、学ばせていただきたいと思っています。今日は本当にありがとうございました。

「米中新冷戦、どうする日本!?」

 
河添 ありがとうございました。

 

 

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