12月15日、幸福実現党島根県本部代表の三原修一と松江市議会議員村松りえが、島根県丸山達也知事宛てに「マイナンバー制度の利用拡大への反対を求める要望書」を提出しました。
要望書を渡す三原修一代表(右側)村松りえ松江市議会議員(左側)
令和4年12月15日
島根県知事
丸山達也 殿
幸福実現党 島根県本部
代表 三原 修一
マイナンバー制度の利用拡大への反対を求める要望書
令和4年10月に政府は現行の健康保険証を令和6年の秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化することを発表しました。国民皆保険制度のわが国においては、これはマイナンバーカードの事実上の義務化に他なりません。マイナンバー法では、カードの取得義務は定められておらず、義務化には法改正が求められます。法改正を伴わずに、事実上の義務化を強行する場合、憲法第41条が定める「国会は、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である」という条文に抵触するおそれもあります。
そもそもマイナンバー法は、社会保障や税金等の各種申請に関する住民の負担軽減と、行政運営の効率化による公正な給付と負担の確保を図ることなどを目的に施行されましたが、多くの問題点を抱えています。
例えば行政機関からのマイナンバー関係の情報流出事故は数多く発生しており、令和2年1月の会計検査院からの「国による地方公共団体の情報セキュリティ対策の強化について」という報告書では、多くの自治体ではマイナンバーのセキュリティには非常に大きな問題を抱えており、いつ情報漏えいが起こってもおかしくない状況にあることが明らかとなっています。令和3年度だけでも、特定個人情報の漏えい事案その他のマイナンバー法違反の事案又はそのおそれのある事案について、111機関から170件(うち102件は地方公共団体)報告が内閣府の個人情報保護委員会になされています。このうち、漏えい等した特定個人情報の本人の数が100人を超える場合などの「重大な事態」は9件(うち3件は地方公共団体)報告されており、「万全のセキュリティ対策」という国のうたい文句は十分な信用に足りません。
また、マイナンバー関連の個人情報が海外に流出する懸念もあります。平成30年には日本年金機構からの500万人分のマイナンバーや配偶者の年間所得額などの個人情報データの入力業務を請け負った業者が、年金機構との契約に違反し中国・大連の企業に入力業務の一部を再委託していたことが報道されました。
このような情報セキュリティ上のリスクを放置したまま、現行の保険証を廃止し、マイナンバーカードの事実上の義務化を進める政府の姿勢には問題があります。マイナンバーカードが義務化されれば、マイナンバーを通じて国民の医療情報などを政府が集約できるようになります。現行法では、法令により特定個人情報の提供は制限されていますが、政令で公益上の必要があると定めれば、こうした制限は除外されます。つまり、政府の判断ひとつで、マイナンバー制度を「国民管理」と「国民監視」に転用できる余地は十分にあります。こうした状況下で、マイナンバーの利用を促進するということは、それだけ国民管理や国民監視が可能なシステムが整備されていくことを意味します。
政府の言う「利便性」を得られることへの対価として、国民の尊厳が冒され、国民が「自由」を失うことになっては、その代償はあまりに大きいと言えます。
よって、知事におかれましては、国に対してマイナンバー制度の問題点を指摘すると共に、これ以上、住民の暮らしの安心安全を脅かさないよう、下記のとおり要望致します。
記
1、本県において、マイナンバーカードを取得しない住民でも、保険診療を受けられる措置を講じること。
2、本県において、ワクチン接種証明書について、マイナンバーカードを利用した電子版に一本化し、書面のものを廃止することがないよう自治体に働きかけること。
3、マイナンバーカードの交付率を、地方交付税算定に反映させる国の取り組みに反対すること。
4、マイナンバー制度の安全性や透明性が改善されない状況下での利用拡大について国に反対を訴えること。
以上